「打ち切り」の版間の差分

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== 漫画雑誌の方針 ==
週刊・隔週刊・月刊で数多く(大体、1号で20作ほど)の連載作品を掲載する[[漫画雑誌]](特に[[少年雑誌|少年誌]])では、付属の葉書やインターネットの公式ホームページを利用した読者アンケートによる人気調査が各号毎に実施されている。このアンケートは各号毎に集計され、その結果に基づいを判断材料として「不人気作品は連載を早々に打ち切って淘汰する」「一時は人気を博した長期連載作品でも読者アンケート結果が低迷すれば打ち切る」という方針を徹底している雑誌は多い。限られた誌面を弾力的に運用し、次の新連載作品の投入と才能ある人材の発掘を効率よく行うための手法であるが、この結果、期待の新連載として華々しく誌面に登場したはずの作品が、数回掲載されただけで公式な事前予告もないまま短期間で打ち切り終了となることはよくある出来事であり、むしろ長期連載としてコミックス数十巻という規模で制作を続けられる作品は、その膨大な数の全体から見れば一握りという厳しい業界である。
 
打ち切りとなる理由については、不人気の他にも作者側の事情や都合によるものも多いが、雑誌自体が休刊したり編集部・誌面の全面的な刷新が行われるなど、出版社や編集部の都合が原因の打ち切りもある。また、出版社・編集部が他ジャンルへの[[メディアミックス]]展開を行うための原作にすることを企図して連載をスタートさせたものであったり、あるいは[[ライトノベル]]など他に原作を持つ作品のメディアミックス企画に伴う[[漫画化]]作品などの場合には、[[アニメ化]]など密接に関連するメディアミックス企画の終了ないし頓挫や、原作サイドでのトラブルの発生によって各種権利関係の都合や制作進行上の問題が発生し、誌上の人気とは無関係に事実上の打ち切り終了となる場合がある。
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* 突然に作品の雑誌掲載が無くなるも、編集部からのアナウンスは何も無くそのまま「最初から存在しなかったこと」も同然の扱いになり、後日、連載再開や単行本未収録部分の単行本化の可能性が完全に無くなった時点などのタイミングで、作者が自身の[[ホームページ]]や[[ブログ]]などで連載打ち切りという事実を公表する。
 
他方で、一見した限りでは打ち切り終了と大差ない短期間での連載終了であっても、連載期間・総ページ数・テーマ・ストーリーなどの規模や概要を編集部と作者の間で事前に決めた上で連載される作品<ref>主な例としては、『[[元気やでっ]]』などが挙げられる。なお、この様な作品は「短期集中特別連載」などと総称されることが多い。</ref>もあり、この場合は打ち切りには該当しない。また、基本的にこの様な作品では物語の短期完結を前提として当初から計算された物語の展開がなされるため、結末に至るまでの様相も上記のような打ち切り終了の作品とは全く異なることが殆どである。
 
読者アンケート結果の人気低迷による雑誌連載の打ち切りは、基本的には作者にとっては不本意なものである。ただし、全盛期には雑誌・コミックスレーベルの経営を支えた人気作品が長期連載の末に人気ランキングが下降しての連載終了となった場合には、編集部側が物語をきちんと完結させるために連載終了までの期間・ページ数などで短期打ち切りとは大幅に異なる配慮を行う事が多く、概してその様な作品では作者も納得の上で比較的円満な形で終了している。ただし、単行本にして数十巻規模の作品ともなれば各種設定や伏線は膨大なものになるため、たとえ週間連載で完結に向けて半年程度の期間が設定されたとしても全ての伏線を回収することは難しく、結局は幾つかの主要な伏線も含めて謎を残したまま大団円に向かってなだれ込むというパターンは決して珍しくは無い
 
現在の週刊連載の漫画作品の大半は、規模の大小こそあるにせよ、直接の作者となる漫画家を頂点に複数の[[アシスタント]]や[[ブレーン]]となるスタッフが携わる集団制作によって担われている。その為、連載を行うにあたってはこれらスタッフ以外にも必要量の機材([[画材]])・消耗品などを予め用意する必要があり<ref>複数のスタッフが使用する以上、機材などはその人数分以上のものが必要になってくる。また、作画作業を[[コンピュータ]]化している場合には一般的な作画用の機材以外にも[[パソコン]]・[[サーバ]]や各種[[アプリケーション]]・周辺機器・[[Local Area Network|LAN]]などの導入なども必要になってくる。</ref>、作業空間の確保なども含めて漫画家は自ら様々な初期投資や準備を行わなければならない。だが、特に短期打ち切りの場合、その初期投資すら満足に回収出来ない事も珍しくない上、連載を行うに当たって出版社と専属契約を締結している場合には専属契約の存在が障害となって他社雑誌への投稿や持ち込みも出来ない事から、再起の為の活動がおぼつかなくなってしまう事も見られる。この為、特に職業漫画家としてのキャリアがまだ浅く経済的基盤が確立されていない者の作品が短期打ち切りに終わった場合、収入を断たれる事で直接的に経済的な窮地に追い込まれたり、ひいては漫画家としての活動継続・再起が困難になってしまう事も少なくない。
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打ち切りが決定すれば、いかにストーリー展開が中途半端であろうとも連載終了となる。長期連載された作品の場合は終了までに若干の時間的余裕が与えられ、一般的な完結の体裁が取られることは多い。いずれにしても、その後ジャンプ本誌で連載が再開されたケースはほとんどない<ref>ただし、『[[ライジングインパクト]]』のように一旦打ち切られたが、読者から連載再開の希望が殺到したため、復活したケースも過去にある。また、週刊ジャンプでの連載終了から10年以上を経てからリバイバル人気を見込んで続編・リメイク作が連載された長期連載作品は多数存在、この場合同じ集英社の他の漫画雑誌はもちろん作家本人と集英社の間の専属契約が終了していれば一ツ橋グループの内外に関係なく他社で展開されることもある。{{main|魁!!男塾#関連作品|珍遊記2#概要|聖闘士星矢#概要}}{{see also|スーパージャンプ#概要}}</ref>。
 
また、『ジャンプ』では執筆する漫画家は全て専属契約制で、たとえ連載が短期間で終了しても契約期間が満了するまでは競合する他社雑誌への移籍が事実上不可能なシステムが構築されており、これにより編集部がその意に従わない漫画家・伸び悩む漫画家を俗に言う「飼い殺し」の状況に長期間追い込む事も可能である(例として1970年代に連載を持っていた[[小室孝太郎]]は作者本人が気づかず結ばされていた専属契約を理由に集英社が他誌との交渉を妨害した事例がある<ref>『まんが秘宝Vol.2 つっぱりアナーキー王』 [[洋泉社]]、1997年 ISBN 978-4896912777</ref>)。この様に、極端に言えば漫画家の職業生命の一端までをも読者アンケートが握っており、それアンケート順位データと専属制度を利用してすれば編集部・編集者がその胸三寸で漫画家や作品を自在に左右できことも可能な、圧倒的に編集部に有利な力関係の構図が作られている。{{main|週刊少年ジャンプ#新人の登用と専属契約制度}}{{see also|長野規#来歴・人物}}
 
メディアミックス展開がなされた長期連載作品であろうと、過去に作品が商業的に成功した経験のある作家でも、次回作の人気読者アンケート結果が振るわなければ過去の経歴に関係なく打ち切りの対象になる([[ゆでたまご]]、[[車田正美]]、[[高橋陽一]]など)。一方で『[[男一匹ガキ大将]]』や『[[ドラゴンボール]]』など、雑誌・コミックスの発行部数の維持や総合的な販売戦略に必要と判断した作品では、編集部の意向により作者の思惑に反して連載を続行させられた作品もあるが、それにより長期的に休載が続いても連載が終了しない作品<!--「忍空」、「HUNTER×HUNTER」、「D.Gray-man」など-->もある。{{main|はだしのゲン#作品史|ドラゴンボール#連載終了までの経緯}}{{see also|HUNTER×HUNTER#休載|男一匹ガキ大将#ストーリー|西村繁男#功績}}
 
『ジャンプ』での短期打ち切りは基本的に10週〜20週前後での終了が大半を占める。これは[[単行本]]にして1巻〜2巻に収まる分量である事や、2〜3ヵ月毎に定期的に新連載と終了作品を入れ替えている為である。ただし、後述の『週刊チャンピオン』と違い、短期で打ち切られた作品でも最終話まで必ず単行本化される。{{main|ジャンプ・コミックス#歴史}}
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『[[週刊少年チャンピオン]]』([[秋田書店]])は人気アンケート・単行本販売実績の双方を重要視するスタイルを取っている。連載開始当初から極端に人気が低迷した場合は他誌よりも厳しく、上記の『週刊少年ジャンプ』などの様に物語を完結として最低限度の体裁を整えるための猶予すら与えられないまま、何の脈略もなく突然に連載終了となることがある。決定後1~2週でストーリーを完結させることができない場合連載終了ではなく「第1部完」とされることも多いが、第2部が開始される保証は一切なく、事実上打ち切りと変わらない(例外的に第2部開始時期が明言されている場合などは除く)。
 
また、上記理由による打ち切りが発生した際、単行本が1巻も発売されていなければ発刊が見送られる。既刊である単行本の売上が不振著しい場合、連載・刊行の双方が中途打ち切りの対象となり、最終話まで全て単行本化されないということがある。過去には[[少年チャンピオン・コミックス]]で最終話まで発刊されていたにもかかわらず[[コンビニエンスストア|コンビニ]]向けのAKITA TOP COMICSや秋田文庫で刊行が途中打ち切りになった作品もある。{{main|少年チャンピオン・コミックス#他社少年誌コミックスとの相違点|週刊少年チャンピオン#概要}}{{see also|コンビニコミック#秋田書店}}
 
近年では、打ち切り前に想定されていた数回分の展開を数行のあらすじ欄に押し込み、最終回では「その設定が既に作中で描かれた」ことを前提とした上で無理矢理に締めくくった『[[悪徒-ACT-]]』や、原作[[小説]]がある[[漫画化]]作品で当初から期間限定連載の企画であったにも関わらず、編集部の大異動による方針転換により話数削減となり、原作や序盤の展開をまるで無視する内容となった『[[ゆび (漫画)|ゆび]]』など、あまりにも強引なまとめ幕引きの図りで読者層などから問題になっ視された作品もある。{{main|悪徒-ACT-#最終回について}}
 
==== 小学館 ====