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{{参照方法|date=2012年2月}}
'''先例'''(せんれい)とは過去に存在した同様の事例。また、その中で特に規範としての重みを持ち、諸々の判断基準として位置づけられるもの。'''前例'''。また、特に繰り返し行われてきたものについては「'''慣例'''」「'''通例'''」などともいわれる。
 
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先例が法源となりうる意義は、先人の事例に倣うことで不測の事態を防止しようという考えに基づくと考えられる。その歴史は古く普遍的であり、[[ローマ法]]にはすでに「先例拘束の原則」 (stare decisis) が現れ後世の法制度にも影響を残している。先例の拘束力は政務や相続などの分野に強い影響を持ち、特に役所では先例のない仕事を忌み嫌い、新しいことをやりたがらないという風潮があるため、たびたび「前例主義」として批判されることがある。先例を重んじる理由として他に、連綿と続いている作法はそれ自体尊重するべきものであるという思想があり、日本では[[公家]]、[[武家]]などの支配階級はあらゆる行事において[[有職故実]]を重宝してきた。故実とは過去の実例のことであり、有職とはそういった知識が豊富な人を意味する。[[平安時代]]以後、公家社会では[[儀式 (書物)|儀式]]と呼ばれる儀式書が編纂され、先人が残した[[日記]]も資料として尊重された。[[中世]]以前の共同体によっては、特に[[神事]]などの公的行事で先例を破ること(「違例」という)は、公的な制裁、懲罰を受ける正当な理由になるとも考えられ、累積して行われてきた行為がそれ自体、神聖性を帯びることがあった。
 
先例は蓄積されると[[慣習法]]を形成することがある。先人によって繰り返されてきた行動類型は社会構成員に当然守るべき規範としての意識付けがなされ、[[成文法]]としての明文化如何にかかわらず法的拘束力を持つものとされる。[[英米法]]における[[コモン・ロー]]はそうした慣習法の蓄積であり、また日本の[[公家法]]は律令法を母体としつつもその多くが[[国例]]・[[庁例]]などの先例や[[明法勘文]]などの法解釈などを取り込んであり、[[武家法]]は公家法を一部取り入れつつも基本的には武家社会の慣例、特に「右大将家([[源頼朝]])の先例」を機軸として発展してきたのである。ただし、その先例を採用するか否かは後世の為政者による権威付けに依拠するところが大きく、しかもそれが実際に存在した先例であるかは別問題である。<!--文章的に明らかに変 [[鎌倉幕府]]は[[平家政権]]の先例を「平家以往の例」として否定したが実際には平氏政権の制度を一部取り込んでおり、[[建武の新政]]は既存の法的慣例を自らの権威で否定しようとしたが実際には[[延喜の治]](ただし、今日では当時及び後世に伝えられていた「延喜の治」像は中世初期に理想化されたものとされている)を先例としており、更に[[室町幕府]]も自らの基本法である[[建武式目]]を鎌倉幕府の定めた[[御成敗式目]]の[[追加法]]として標榜しながらも、実際には独自の政治体制の確立を推し進めていった。-->
 
先例は今日でも[[国際法]]や[[商法]]の分野で重要視されることが多く、成文法の補助的効力を有するとされる。日本では[[法の適用に関する通則法]]第3条において「公の秩序又は善良の風俗に反しない慣習は、法令の規定により認められたもの又は法令に規定されていない事項に関するものに限り、法律と同一の効力を有する」とされている(詳細は「[[慣習法]]」参照)。
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先例は[[裁判所]]の判断にも一定の拘束力を持つ。[[判例]]は過去の裁判における判決例であるが、法の公平性維持の観点から[[上級裁判所]]における判決、繰り返し出された同類同種の判決はそれ自体先例として未来の判決にも影響を及ぼす(詳細は「[[判例]]」参照)。
 
<!--収録基準がない。== 先例が影響を与えた事例 ==
{{雑多な内容の箇条書き|date=2009年3月}}
* [[応神天皇]]5世の孫とされる[[継体天皇]]の即位により、[[皇位継承権]]は5世まで有効であるとする認識が広がった。
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* 戸籍事務担当者、[[登記官]]や[[司法書士]]などの場合、先例が法を補充するものとして重視されており、「[[戸籍]]事務先例集」「[[登記]]業務先例集」の類が発売されている。
 
-->
以上はごく一部であり、歴史上の事柄、現在の公的実務、[[商慣習]]などにおいて先例が重視される実例は枚挙にいとまが無い。
 
== 関連項目 ==