「K-Pg境界」の版間の差分

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===巨大隕石衝突説の登場===
[[File:K-T-boundary.JPG|thumb|right|アメリカ[[ワイオミング州]]で採取されたK-T境界を含む岩石。中央の白い粘土層は上下の白亜紀・新生代第三紀に比べて千倍のイリジウムを含んでいる]]
[[1980年]]、アメリカ[[カリフォルニア大学]]の地質学者[[ウォルター・アルヴァ]](一般にはアルバレスとも)とその父でノーベル賞受賞者でもある物理学者[[ルイス・アルヴァ]]および同大学放射線研究所核科学研究室の研究員2名が、K-T境界における大量絶滅の主原因を「'''隕石'''」とする論文を発表した<ref>{{Cite journal|last=Alvarez|first=L.W.|authorlink=ルイス・アルヴァレズ|coauthors=Alvarez,W., et al.|year=1980|title=Extraterrestrial Cause for the Cretaceous-Tertiary Extinction|journal=Science|volume=208|issue=4448|pages=1095-1108|doi=10.1126/science.208.4448.1095}}
</ref>。
 
アルヴァ父子はイタリアの[[グッビオ|グビオ]]に産するK-T境界の薄い粘土層を、彼らの研究室にしかなかった「微量元素分析器」を使って分析し、他の地層と比べ20 - 160倍に達する高濃度の'''[[イリジウム]]'''を検出した<ref>松井孝典「絶滅恐竜からのメッセージ」(2002) p34</ref>。イリジウムは、地表では極めて希少な元素である反面、隕石には多く含まれること、デンマークに産出する同様の粘土層からも同じ結果を得たことで、イリジウムの濃集は局地的な現象ではなく地球規模の現象の結果であると予測されることから、彼らはその起源を隕石に求めた。またこの論文では「巨大隕石の落下によって発生した大量の塵が地上に届く太陽光線を激減させ、陸上や海面の植物の光合成が不可能となって、食物連鎖が完全に崩壊した結果大量絶滅をもたらした」とした<ref group="注釈">ルイス・アルヴァは、空気中に大量に塵が混入した場合の基礎データとして、1883年の[[クラカタウ|クラカトア火山]]の噴火のデータを使用した。(ウォルター・アルヴァ「絶滅のクレーター」(1997) P118)</ref>。衝突直後の昼間の地上の明るさは満月の夜の10%まで低下し、この状況が数か月から数年続くと推定した<ref>松井孝典「絶滅恐竜からのメッセージ」(2002) p37</ref>。
 
この論文は、地質学者の激しい抵抗で迎えられた<ref group="注釈">[[斉一説]]に真っ向から反する仮説と捉えられたのである。([[川上紳一]]ら「最新地球史がよくわかる本」(2006) P33-38)</ref>。しかしこの論文の仮説は検証による議論が可能であり、世界各地で調査された大量のデータとともに賛成・反対の多くの議論が巻き起こった。反論のなかで最も有力だったものが、イリジウムの起源を火山活動に求めた火山説である。地表では希少なイリジウムも地下深部には多く存在する。それが当時起こっていた活発な火山活動(インドのデカン高原を作った面積100万平方km<ref>[[安藤雅孝]]・[[早川由紀夫]]・[[平原和朗]]「新版地学教育講座②地震と火山」 (1996) P142 東海大学出版会 ISBN 4-486-01302-6 </ref>に広がる洪水玄武岩[[デカントラップ]])により地表に放出されたとするのが「'''火山説'''」であり、隕石説に反対する多くの地質学者がこの説を支持した<ref>川上紳一ら「最新地球史がよくわかる本」(2006) P33-38)</ref>。巨大な洪水玄武岩の噴火は、K-T境界より規模の大きな大絶滅であった[[P-T境界]]事件の原因と推定されており、生物界に大きな影響を及ぼすと考えられる<ref group="注釈">P-T境界事件の原因とされる[[シベリア洪水玄武岩]]は推定700万平方kmに広がる(Douglas H. Erwin「大絶滅」 (2009) P202) 。詳細は[[P-T境界]]を参照</ref>。
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