「K-Pg境界」の版間の差分

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[[ファイル:Chicxulub radar topography.jpg|thumb|right|K-T境界:チクシュルーブ・クレータ(Chicxulub Crater)]]
 
アルヴァ論文では、イタリアとデンマークの[[イリジウム]]に富む薄い粘土層が分析されたが、論文発表の直前にニュージーランドのK-T境界層でもイリジウムの濃集が確認された。引き続き同様のイリジウム濃集層がスペイン・アメリカ各地・中部太平洋・南大西洋の海成堆積岩層のK-T境界に相当する部分<ref>松井孝典「絶滅恐竜からのメッセージ」(2002) P35</ref>や地上で堆積したK-T境界の泥岩層から確認された<ref>ウォルター・アルヴァレズ「絶滅のクレーター」(1997) P123-125</ref>。これらの特徴的なK-T境界層の厚さは、ヨーロッパでは約1cmであったが、北アメリカのカリブ海周辺やメキシコ湾岸では厚さが1mを超える上、構造や成分の異なる2層が観察され、衝突の結果形成されたクレーターが付近に存在すると考えられた<ref>松井孝典「新版 再現!巨大隕石衝突」(2009) P6</ref>。
 
北アメリカのK-T境界の粘土層中には、高熱で地表の岩石が融解して飛び散ったことを示すガラス質の岩石[[テクタイト]]とそれが風化してできたスフェルール、高温高圧下で変成した[[衝撃石英]]も発見されており、これらはすべて、隕石衝突時の衝撃により形成されたと考えられている<ref group="注釈">テクタイト、スフェルール、衝撃石英は火山の噴火でも形成される。しかしK-T境界で見つかる衝撃石英は火山噴火で作られたものと異なり、より強い衝撃を受けた痕跡が残っていた(ウォルター・アルヴァ「絶滅のクレーター」 (1997) P148-150 </ref>。また粘土中には当事の全陸上生物量の約六分の一が燃えたと推定される多量のすすが含まれ、これは衝突時の高熱により地上の植生等が大規模な火災を起こした証拠と考えられた<ref>松井孝典「絶滅恐竜からのメッセージ」((2002) P173</ref>。
 
[[1980年]]の論文では、全世界に撒き散らされたイリジウムの量やK-T境界層の厚さを元に落下した隕石の大きさを計算し 直径10プラスマイナス4km程度と算出した<ref>松井孝典「絶滅恐竜からのメッセージ」 (2002) P37 </ref>。しかし 落下したことの最も確実な証拠であるクレーターは当時発見されなかった。調査が進むに連れて、K-T境界層の厚さから北アメリカ近辺に落下したらしいという点と、カリブ海周辺およびメキシコ湾周辺のK-T境界層で津波による堆積物が多く見つかることから、落下地点はこの近くにあると推定されるようになった<ref>松井孝典「絶滅恐竜からのメッセージ」(2002) P51</ref>。