「三裂星雲」の版間の差分

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'''三裂星雲'''(さんれつせいうん、M20、NGC6514)は[[いて座]]にある[[散光星雲]]。距離は5200[[光年]]程と推定されているが、諸説あり具体的な数値は定かではない。[[1750年]]に[[ギョーム・ル・ジャンティ]]が発見したとビゴダンは記述している。
 
星雲が3つの部分に裂けて見えるところから三裂星雲と呼ばれている。ただし、実際に星雲が3つに分割されているわけではなく、M20の輝いて見える散光星雲の手前に位置する[[暗黒星雲]]の姿により、後ろの散光星雲が3つに分割されているように見えている。三裂星雲と名付けたのは[[ジョン・ハーシェル]]である。ところが、この名前は写真を初めて見た人を惑わす。ジョンの父である、[[ウィリアム・ハーシェル]]はこの星雲を「四つ」に分けてカタログしていた。実際、この星雲は4つの部分に分かれているようにも見え、「クローバー」にたとえる人もいる。
 
[[メシエ]]はM20を「星団」として記録した。M20の近くにある[[M21]]の記録にのみ、M20が星雲に囲まれていることが記されている。
 
[[画像:M20.Trifid.Nebula.vis.jpg|left|thumb|150px|三裂星雲の全景]]
M20は北側と南側で性質が異なっており、北側は青い[[反射星雲]]、南側は赤い[[輝線星雲]]となっている。この内三裂に見えるのは南の赤い輝線星雲側である(写真参照)。また、付近にはM20から生まれたとされるO型の青く若い星が120個ほど存在しており、[[星団]]も兼ね備えた構造となっている。O型星からは強烈な放射がガスを吹き飛ばして、その周囲ではもはや新しい星の生成はおこらない。
 
M20は双眼鏡では[[干潟星雲|M8]](干潟星雲)と同視野にぼんやりと見えるだけで、小口径では3つの部分に見るのは難しい。中央部の星雲の結び目にある三重星NH40は[[ウィリアム・ハーシェル]]が発見したもので、口径10cm程度の望遠鏡から見え始める。NH40ははっきりと色が違って見える。一つはからし色に、もう一つは木炭が燃え尽きるような色で、最後の星は白にみえるという。

口径20cmの望遠鏡では暗黒帯が条件の良いときに見えてくる。口径30cmではさらに4つに分かれた様子を観測することができ、さらに口径50cmでは、暗黒帯内部の複雑な様子を観測することができる。M20は肉眼では見にくいが、写真撮影には適しており、比較的容易に3つに割れた姿を写すことができる。
 
同じいて座に存在する干潟星雲のすぐ北に位置している。またM20の北東には[[M21 (天体)|M21]][[散開星団]]がある。