「朝鮮語の文法」の版間の差分

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なおモダリティ表現を表す形式はこれらの活用形以外に補助用言や依存名詞などがあり、いずれも平叙形語尾によって結ばれる。また平叙形語尾自体にも約束を表す{{lang|ko|-(으)ㄹ게}}や確認の{{lang|ko|-(으)렷다}}などがあり、平叙文はいくつかのモダリティ形式を含んでいることになる。
 
またこれらの終結語尾はモダリティ表現ばかりでなく、[[待遇表現|対者待遇表現]]をも表している。つまり、同じ文法的意味の終結形であっても聞き手との関係や発話場面の違いによって異なる終結語尾が選択することになる。これは日本語で「する」「しよう」といった常体と「します」「しましょう」といった敬体に分けられるのと同様であるが、日本語では常体と敬体の大きく2種類であるのに対し、朝鮮語では7種類に分けられている。これについては下記の[[朝鮮語の文法#敬語#対者敬語|対者敬語]]を参照のこと。
 
日本語と比較してみると、日本語では自然下降調の抑揚で時制語尾で終われば平叙文、時制語尾を上昇調で終わるか時制語尾に「か」をつけることで疑問文になるが、朝鮮語で時制は先語末語尾として先行する要素となっており、叙述を表す語尾、疑問を表す語尾がそれぞれ用意されている。ただし非格式体では同じ語尾で表され抑揚によって区別されるが、やはり時制語尾は先行要素である。
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*格式体 - 硬く直線的な表現。公の場など格式を改めて話すときに使われる。日常会話のなかで使うと聞き手に固い印象を与え、心理的距離感を感じさせる。
**ヘラ体({{lang|ko|해라체}}) - 聞き手を目下として低く扱ったり、同等として高めない表現。下称。
**ハゲ体({{lang|ko|하게체}}) - ある程度年齢や社会的地位のある聞き手を目下として少し低く扱ったり、同等として高めない表現。等称。逆に言えば、聞き手の社会的な立場を認め、子供扱いしない表現である。壮年層で使われる。
**ハオ体({{lang|ko|하오체}}) - 目下や同等として低めて扱うことのできる聞き手を格式を改めて自分と同格まで高める表現。中称。文語的であり、日常会話ではあまり使われない。
**ハシプシオ体({{lang|ko|하십시오체}}) - 聞き手を目上として高める表現。命令形では動作の主体が聞き手であるので、主体敬語の{{lang|ko|-(으)시-}}{-si-}と一緒に使われ、{{lang|ko|(으)십시오}}となる。このため、かつてはハプショ体({{lang|ko|합쇼체}}、{{lang|ko|합시오}}の略)と呼ばれていたが、7次学校文法からハシプシオ体に改められた。また勧誘形の{{lang|ko|-(으)ㅂ시다}}は語形態上では、ここに分類されるが、その使用状況からハオ体に分類され、{{lang|ko|-(으)시지요}}をハシプシオ体としている。
*非格式体 - 柔らかく感情的な表現。くだけた場面で使われ、聞き手への心理的な距離感を解消する機能をもっている。反面、格式を改めなければならない場面で使うと、礼儀知らずといった印象を与えることになる。聞き手との関係ではレベルを広く包括しており、年齢や地位が下であったとしても目上として丁重に扱うこともできる。
**ヘ体({{lang|ko|해체}}) - 広く聞き手を目下・同等として扱う表現。略待。
**ヘヨ体({{lang|ko|해요체}}) - 広く聞き手を目上として扱う表現。略待上称。なお学校文法では{{lang|ko|요}}(ヨ)を語尾とせず、用言の活用形に付くことのできる特別な助詞として分類している。なお主体敬語の{{lang|ko|-(으)시-}}{-si-}や語幹が{{lang|ko|시}}で終わる用言に{{lang|ko|-어/아}}で始まる語尾と結合すると{{lang|ko|셔}}となるが、これらの語尾では{{lang|ko|세요}}となるのが普通である。
*中和体 - 聞き手を特定しない一般的発話状況における文体。相手を高めているわけでも低めているわけでもなく、中和している。本や雑誌、新聞といった印刷媒体で主に使われる。印刷媒体に特有なのは情報発信時と情報受信時に時間的な差があり、発話者と直接対面して得られない間接的な情報であるためである。同様の理屈でこの文体の語尾は間接引用節を導く助詞にも用いられる。
**ハラ体({{lang|ko|하라체}}) - ヘラ体語尾が多く使われてるが、命令形語尾は{{lang|ko|-(으)라}}{-ra}という独自の語尾である。
 
=== 主体敬語 ===