「グナエウス・ポンペイウス・トログス」の版間の差分

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この歴史書には政治史だけでなく自然誌・民族誌・地誌がふくまれており、人間の歴史は自然誌の一部であるという態度がうかがわれる。それは[[ヘロドトス]]や[[ポセイドニオス]]、カエサルの『[[ガリア戦記]]』や[[コルネリウス・タキトゥス]]の『[[ゲルマニア (書物)|ゲルマニア]]』などの伝統に従ったものと考えられる。
 
ローマだけでなく地中海をめぐる世界全体の歴史について、個々の歴史家が記述したことを時代順に、また事態のつながりをたどってまとめたところに、トログスの歴史の特徴がある。これは[[ポリュビオス]]がその『歴史 Historiae』の中で自覚的に採用し、ポセイドニオスを通じてトログスが引き継いだものであり、やがては「普遍史 Universalgeschichtsschteibung」として[[バルトホルト・ゲオルク・ニーブール|B・G・ニーブール]]や[[ヨハン・グスタフ・ドロイゼン|J・G・ドロイゼン]]、[[A・v・グートシュミット]]などのドイツ史家に復権される視点である。
 
[[サルスティウス]]の影響を受けて、同時代のローマについては悲観的な感想を持ち、ローマは古来の共和制の美質を失いつつあり、没落して次の帝国に取って代わられるのではないか、と考えていた。教会史家[[ヒェロニムス]]はトログスの作品を推奨に値する歴史書としてあげ、「帝権の変遷・継承」説はヒェロニムスの年代記によってキリスト教徒に伝えられる。