「マルピーギ管」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
新しいページ: '節足動物のうち、甲殻類を除く昆虫類・クモ類・ヤスデ類・ムカデ類の排出器である。一の端が中腸と後腸の境界部に...'
タグ: 参考文献(出典)に関する節がない記事の作成
 
en:Malpighian tubule system(11:19, 14 March 2012 UTC)を翻訳
1行目:
[[画像:Malpighian_tube.svg|thumb|350px|right|[[直翅目]]の消化管の図]]
節足動物のうち、甲殻類を除く昆虫類・クモ類・ヤスデ類・ムカデ類の排出器である。一の端が中腸と後腸の境界部に開いた黄色の細長い糸状の盲官、ふつう数対が一組になっているが、種類によっては100以上も存在する。官壁は薄い一層の細胞層で、ここから管内へこし出された、老廃物は、腸内へ排出され、肛門より体外へ捨てられる。又、人の場合マルピーギ小体(腎小体)である。
'''マルピーギ管'''(Malpighian tubule)は[[昆虫]]・[[多足類]]・[[クモ]]・[[緩歩動物]]<ref>{{citation |authors=NADJA MØBJERG, CHRISTINA DAHL |title=Studies on the morphology and ultrastructure of the Malpighian tubules of Halobiotus crispae Kristensen, 1982 (Eutardigrada) |doi=10.1111/j.1096-3642.1996.tb02335.x}}</ref>で見られる[[浸透圧調節]]・[[排出器官]]である。
 
この器官は[[消化器]]から伸びる分岐した管から構成され、[[血リンパ]]から水や代謝産物などを排出する。17世紀の解剖学者[[マルチェロ・マルピーギ]]にちなんで命名された。
 
マルピーギ管はクモ類にも[[単枝亜門]](Uniramia)にもあるが、これが[[相同]]か[[収斂進化]]の結果かは不明である。
 
==構造==
通常は消化管の後方に開く細い管として見られる。管の数は種によって異なるが、ほとんどの場合2の倍数である。単細胞層から構成され、近位末端は中腸と後腸の間に開くが遠位末端は閉じ、入り組んでいるのが普通である。[[血リンパ]]に浸かっており、脂肪体組織と近接している。[[アクチン]]が全体の構造を支え、管に沿って物質を輸送するための[[微絨毛]]を持つ。ほとんどの昆虫では筋肉組織が付随するが、これには内容物を混合したり血リンパをかき混ぜたりする役割があると考えられる。[[シミ目]]・[[革翅目]]・[[総翅目]]の昆虫はこの筋肉組織を持たず、[[アブラムシ科]]・[[トビムシ目]]の昆虫はマルピーギ管を欠く。
 
==機能==
[[電解質]]や窒素代謝物を管の外から中に輸送し、原尿を作る。[[カリウム|K]]・[[ナトリウム|Na]]などのイオンは[[能動輸送]]されるが、[[尿素]]・[[アミノ酸]]などは[[受動輸送]]されると考えられ、水もそれに伴って輸送される。これは管の遠位末端で行われ、原尿は弱塩基性である。管の近位末端では[[二酸化炭素|CO<sub>2</sub>]]が原尿に吸収され、これに伴って[[尿酸]]が析出する。そして、吸収したCO<sub>2</sub>に相当する量のK・Naなどのイオンが炭酸塩として再吸収され、尿は弱酸性となる<ref>{{citation |author=J. A. RAMSAY |date=1952 |title=THE EXCRETION OF SODIUM AND POTASSIUM BY THE MALPIGHIAN TUBULES OF RHODNIUS |journal=J Exp Biol |volume=29 |pages=110-126 |url=http://jeb.biologists.org/content/29/1/110.full.pdf}}</ref>。その後尿は後腸の中で消化された食物と混合され、尿酸は糞中に排出される。
 
===付加的な機能===
他の昆虫ではさらに高度な機能が明らかになっている。[[半翅目]]の昆虫は腸内の液体を管に逆流させ、水や電解質を直接血リンパに最吸収することができる。
 
[[鞘翅目]]・[[鱗翅目]]では管の遠位末端が直腸周辺の脂肪体に潜り込み、隠腎管複合体(cryptonephridial arrangement)という構造を形成する。ここで一旦排出されたイオンを選択的に吸収・排出することで、体内のK・Naのバランスをとることができる<ref>http://ocw.kyoto-u.ac.jp/faculty-of-agriculture-jp/department-01/5195000/pdf/01/132.pdf</ref>。
 
==別の機能==
[[画像:Arachnocampa luminosa larvae.jpg|thumb|right|''Arachnocampa luminosa''の幼虫]]
この管が全く違う役割を持っている昆虫もいる。[[ニュージーランド]]の[[ヒカリキノコバエ]]''Arachnocampa luminosa''の幼虫は膨潤したマルピーギ管を青緑に発光させ<ref name="Green">'''Green''', L.B.S. (1979) The fine structure of the light organ of the New Zealand glow-worm Arachnocampa luminosa (Diptera: Mycetophilidae). ''Tissue and Cell'' '''11''': 457-465. </ref>、獲物をおびき寄せるために使う。
 
有害な[[アレロパシー]]物質を含む植物を食べる昆虫もいるが、このような昆虫では血リンパからの有害物質の急速な排出にマルピーギ管を用いる。
 
==出典==
<references/>
*Gullan, P.J. and Cranston, P.S. (2000) ''The Insects: An Outline of Entomology.'' Blackwell Publishing UK ISBN 1-4051-1113-5
*Romoser, W.S. and Stoffolano Jr., J.G. (1998) ''The Science of Entomology.'' McGraw-Hill Singapore ISBN 0-697-22848-7
*Bradley, T.J. The excretory system: structure and physiology. In: Kerkut, G.A. and Gilbert, L.I. eds. ''Comprehensive insect physiology, biochemistry and pharmacology.'' Vol.4 Pergamon Press New York ISBN 0-08-030807-4 pp. 421-465
 
{{DEFAULTSORT:まるひいきかん}}
[[Category:節足動物の体]]
 
[[ca:Tubs de Malpighi]]
[[cs:Malpighické trubice]]
[[de:Malpighische Gefäße]]
[[en:Malpighian tubule system]]
[[et:Malpighi sooned]]
[[es:Tubos de Malpighi]]
[[eo:Malpiga tubo]]
[[fr:Tube de Malpighi]]
[[it:Apparato escretore degli insetti]]
[[ka:მალპიგის მილაკები]]
[[nl:Buis van Malpighi]]
[[no:Malpighiske rør]]
[[pl:Cewka Malpighiego]]
[[pt:Túbulo de Malpighi]]
[[ro:Tuburile lui Malpighi]]
[[ru:Мальпигиевы сосуды]]
[[sv:Malpighiska kärl]]
[[tr:Malpighi tüpleri]]
[[uk:Мальпігієві судини]]
[[zh:马氏管]]