「移調楽器」の版間の差分

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しまあじ (会話 | 投稿記録)
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コントラバスは、もともと合奏で他の低音楽器の1オクターブ下の音を重ねて演奏することを主たる目的としてきた楽器である。従って、他の低音楽器の楽譜を見ながら1オクターブ低く演奏するのを常としてきた。そのため、現在でも1オクターブ低い音が出る移調楽器として扱われる([[オーケストラチューニング]]の場合)。オーケストラの楽譜でも、[[古典派音楽|古典派]]などでは、[[チェロ]]と同じ楽譜を用いて1オクターブ低く演奏することが行われている。
 
== 使われなくなった移調楽器のための楽譜に基づく演奏 ==
[[金管楽器]]などでは、実際に書かれている調性の楽器を使わなくなった場合が多くある。たとえば、ホルンやトランペットは、バルブ装置が発明される前からの伝統のある楽器であり、半音階が演奏できず、自然[[倍音]]列のみしか出せない楽器である期間が長かった。このような楽器の場合、曲によって必要な音が異なるため、演奏する曲にあわせて違う長さの楽器を使用することとなる。そのため、使用する楽器に合わせて作曲する必要があり、楽譜もそれぞれの楽器に調性に合わせて移調してかかれていた。(バルブ装置が発明され使われるようになってもしばらくの間、そのような楽譜の書き方の伝統が継続した。[[リヒャルト・ワーグナー|ヴァーグナー]]などの作品に見られる、頻繁な楽譜の調性の変更は、それである。)バルブ装置が発明され半音階が演奏できる楽器が発明され、十分に普及すると、おもに音響的見地からホルンはF管、トランペットは最初F管、後にB♭管のものが主流となったため、楽譜をそれらの調性で書くことが一般的となり現在でも慣習として受け継がれている。よって、[[グスタフ・マーラー|マーラー]]などの作品のin Fの楽譜は、現在ではB♭管、もしくはC管で演奏されるのが普通である。
 
このような場合は、それぞれの移調された楽譜を演奏者が移調しながら演奏するので、移調楽器の利点は得られない。
[[金管楽器]]などでは、実際に書かれている調性の楽器を使わなくなった場合が多くある。たとえば、ホルンやトランペットは、バルブ装置が発明される前からの伝統のある楽器であり、半音階が演奏できず、自然[[倍音]]列のみしか出せない楽器である期間が長かった。このような楽器の場合、曲によって必要な音が異なるため、演奏する曲にあわせて違う長さの楽器を使用することとなる。そのため、使用する楽器に合わせて作曲する必要があり、楽譜もそれぞれの楽器に調性に合わせて移調してかかれていた。(バルブ装置が発明され使われるようになってもしばらくの間、そのような楽譜の書き方の伝統が継続した。[[リヒャルト・ワーグナー|ヴァーグナー]]などの作品に見られる、頻繁な楽譜の調性の変更は、それである。)バルブ装置が発明され半音階が演奏できる楽器が発明され、十分に普及すると、おもに音響的見地からホルンはF管、トランペットは最初F管、後にB♭管のものが主流となったため、楽譜をそれらの調性で書くことが一般的となり現在でも慣習として受け継がれている。(よって、[[グスタフ・マーラー|マーラー]]などの作品のin Fの楽譜は、現在ではB♭管、もしくはC管で演奏されるのが普通である。)
 
このような場合は、それぞれの移調された楽譜を演奏者が移調しながら演奏するのであって、歴史的に仕方がないとはいえ、移調楽器の利点は全く得られないのである。なお、オーケストラでは元来移調楽器でないC管のトランペットを用いる場合も多いが、移調楽器の定義が楽譜にかかれた音と実際に演奏される音の関係であるから、B♭調で書かれた楽譜を演奏するのであればやはり移調楽器扱いである。
 
このような例は、[[木管楽器]]でも見られる。現在作製されなくなった[[バセットホルン]]を調性の異なる他の楽器で演奏するなどである。一方、C管のクラリネットのように、長く使われなかったためB♭管で代用されてきたものが、製作技術の向上により作られるようになって、徐々にC管が使われるようになっている例もある。