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{{原子力}}
'''原子力'''(げんしりょく
== 呼称 ==
「原子力 (atom)」と「核 (nuclear)」は
独語の「Atom」「Nuklear」もほぼ同義語で、軍用か商用かを問わず用いられる。英語の「nuclear power plant (直訳:核発電所)」「NPP」に相当する語は、独語では「Atomkraftwerk (直訳:原子力発電所)」「AKW」と「Kernkraftwerk (直訳:核発電所)」「KKW」の両方の呼称が用いられている。
しかし[[日本]]では、「核」は[[核兵器]]や[[核燃料]]など[[軍事|軍用]]や[[燃料]]として、「原子力」は[[原子力発電]]や[[原子力空母]]など[[商業|商用]]や動力装置に使われる事が多く、これに対する批判もある<ref>
{{Cite web
|author=小出裕章
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|accessdate=2011-04-25
}}
</ref>。同様に、「[[反核運動|反核]]」は原子力全般への反対を指す語であるが、日本では「反核」が
なお英語のパワー(power)は「力」と「電
== 概要 ==
「原子力」という
原子核反応により発生する[[エネルギー]]は、[[化石燃料]]の燃焼などの[[化学反応]]により発生する[[エネルギー]]に比べて桁違いに大きく、[[
しかし、核分裂か核融合かを問わず、原子力の利用
[[核兵器|原子力兵器]]や[[原子力潜水艦]]などは「核の戦争利用」「軍用核」の代表例であり、原子力兵器は代表的な[[大量破壊兵器]]とされている。[[原子力発電
核兵器の拡散を防止する条約には[[核拡散防止条約]]があり、
原子力
==
=== 軍事利用 ===
{{現在進行|date=2011年5月|section=1}}▼
*[[1895年]] [[放射線]]の発見。[[ヴィルヘルム・レントゲン|レントゲン]]が謎のビーム([[X線]])を発見、[[アンリ・ベクレル|ベクレル]]もウランが発する同様のビーム([[アルファ線]])を発見して、これらは「放射線」と名づけられた。3年後、[[ピエール・キュリー]]と[[マリー・キュリー]]の夫妻が[[ラジウム]]を発見し、ここから放射線の研究が始まった。▼
*[[1905年]] ドイツの[[アルベルト・アインシュタイン]]が[[特殊相対性理論]]を発表し、[[E=mc2|質量とエネルギーの等価性]]を理論的に証明した。▼
*[[1938年]] ドイツの[[オットー・ハーン]]により発見され、[[リーゼ・マイトナー]]によって[[核分裂反応]]と確認され、質量とエネルギーの等価性が実証された。▼
*[[1945年]] 米国の[[マンハッタン計画]]によって核分裂反応を利用した最初の[[原子爆弾]]が製造される。広島・長崎に原子爆弾が投下され、原子爆弾が実際に使用される。このとき得られたデータは放射線障害の重要なデータとして現在でも使用されている。第2次大戦以降、世界の大国による核兵器開発が行われる。▼
*[[1951年]] 米国の[[EBR-I]]で世界初の[[原子力発電]]に成功した。▼
*[[1954年]] ソ連において最初の商用の原子力発電が開始された。▼
*[[1979年]] 米国の[[スリーマイル島原子力発電所]]で運転員の誤操作により[[炉心溶融]]事故が起こった。[[放射性物質]]の放出は防げたものの、周辺住民10万人が避難した。この事故以降、原子力に対する批判的な機運が高まった。▼
*[[1986年]] 旧ソ連の[[チェルノブイリ原子力発電所]]で実験中に爆発事故が起こり、放射性物質が環境中に放出され47人が急性の[[放射線障害]]で死亡した。2006年のIAEAの報告では、晩発の[[放射線障害]]を含む死者の推計数は約9000人とされており、原子力発電所の事故としては史上最悪の事態となった。▼
*[[1999年]] [[茨城県]]の[[ジェー・シー・オー|JCO]]において正規の作業手順を無視したことにより[[臨界事故]]が起こり、大量の放射線を浴びた作業員2名が、急性の[[放射線障害]]で死亡した。戦後日本で初めての原子力による死亡事故である。{{要出典範囲|date=2011年5月|1999年の時点で、世界の[[発電所]]で425基の原子炉が稼動し、年間で35,943万[[kW]]年の[[電力]]が発電された。}}この他にも[[原子力空母]]と[[原子力潜水艦]]で動力用原子炉が使用されている。▼
*[[2003年]] {{要出典範囲|date=2011年5月|2003年時点で、日本の発電所では52基の原子炉が稼動し、年間で3,357万kW年の電力が発電された。}}原子爆弾の実戦での使用実績は2発であるが、{{要出典範囲|date=2011年5月|[[核実験]]の回数は全世界で2000回を超えている}}。{{要出典範囲|date=2011年5月|2003年の世界の原子爆弾保有数は約3万発である}}。▼
*[[2011年]] [[福島県]]の[[東京電力]][[福島第一原子力発電所]]で、3月11日の[[東北地方太平洋沖地震]]に伴い発生した大津波により設備等に甚大な被害が生じ、原子炉の冷却機能を喪失。1号機から3号機で燃料棒が露出する空焚き状態になり、[[炉心溶融]]が発生。さらに、原子炉建屋内に充満した水素により1号機と3号機の原子炉建屋が水素爆発を起こし、[[使用済み核燃料]]プールの冷却が停止した4号機でも同様の原因で水素爆発が発生したほか、2号機の格納容器の一部でも爆発が発生。この結果、広範囲に高濃度の放射性物質が拡散する事態となり、4月12日、経済産業省[[原子力安全・保安院]]は、同事故が[[国際原子力事象評価尺度]]におけるレベル7(深刻な事故)に該当すると発表した。このレベルは、チェルノブイリ原子力発電所事故と同じである。5月12日、1号機の水位が想定外に低いことから、[[東京電力]]がメルトダウンを認める。▼
▲== 核兵器 ==
{{Main|核兵器}}
原子力(核エネルギー)を主要な破壊力・殺傷力とした兵器を、「核兵器」や「原子力兵器」と呼ぶ。[[原子爆弾]]や[[水素爆弾]]などの[[核爆弾]]や、[[核ミサイル]]が代表例である。このほか[[放射能兵器]]なども含まれる。
====
{{Main|原子力潜水艦}}
原子力(核エネルギー)で動く潜水艦を「原子力潜水艦」という。又、原子力兵器を搭載する潜水艦も「原子力潜水艦」といえる。
=== 商業利用 ===
==== 発電 ====
{{Main|原子力発電}}
====
{{Main|原子力電池}}
=== 原子力推進 ===
{{main|原子力推進}}
=== 宇宙空間での利用 ===
不安定核種はすなわち放射性物質であり、打ち上げの途中で失敗すると上空から放射性物質をばら撒くことになるので人工衛星への搭載は民間では積極的には行われない。
しかしながら、軍用衛星では事情が異なる。特に電力を使う軍用衛星はレーダー衛星である。レーダーを照射し、地形・高度・森林中の構造物・地下構造物・潜水艦などを発見する。運用効率の問題などから、太陽電池では全く電力不足になるため原子力電池または原子炉を使う。特に旧ソ連のコスモス・シリーズでは原子炉搭載型が多かった。問題は軍用偵察衛星の高度が低いことである。空気抵抗が大きく落下しがちなので姿勢制御用の燃料を大量に消費する。また姿勢制御自体が難しい。そのため落下の危険が大きい。実際に何基か落ち、[[放射性物質]]をばらまいている(コスモスに関する米国の発表)。それを防ぐためには、寿命が尽きる前に燃料を噴射して、何万年も落ちてこない遠くの軌道に移すなどするほかない。
==施設==
原子力を用いる施設、とりわけ[[原子炉]]や[[核燃料]]を搭載・使用する施設を'''核施設'''や'''原子力施設'''という。
;代表的な核施設
*[[原子力発電所]]
*核燃料[[再処理工場]]
*[[原子力研究所]](実験原子炉などが搭載されている)
==保安==
原子力物体や核施設での災害を防止し、安全を確保する施策を'''核防災'''や'''核保安'''(nuclear safety)という。
核保安については、核施設での爆発事故や[[放射能]]漏れの防止は元より、2001年の[[アメリカ同時多発テロ事件|アメリカ同時多発テロ]]以後には[[核テロリズム]]の防止策も討議されるようになっている([[核セキュリティ・サミット]])。
又、世界各国の核施設は、「万が一」の災害を想定して、ネーミングでは狭い範囲の地名(都市名、または都市内の地域名)を付ける。具体例として、日本の[[女川原子力発電所|'''女川'''原子力発電所]]、フランスの[[ラ・アーグ再処理工場|'''ラ・アーグ'''再処理工場]]など。[[2011年]]の[[福島第一原子力発電所事故の影響]]で、[[福島市]]や[[会津]]地方までもが[[風評被害]]を被った原因に、「[[大熊町|大熊]]」ではなく「福島」というネーミングが原因だと指摘する声も出されている<ref>http://ameblo.jp/takapon-jp/entry-10859329338.html 堀江貴文「ネーミングでの風評被害」</ref>。
== 歴史 ==
▲{{現在進行|date=2011年5月|section=1}}
===冷戦前===
▲*[[1895年]] [[放射線]]の発見。[[ヴィルヘルム・レントゲン|レントゲン]]が謎のビーム([[X線]])を発見、[[アンリ・ベクレル|ベクレル]]もウランが発する同様のビーム([[アルファ線]])を発見して、これらは「放射線」と名づけられた。3年後、[[ピエール・キュリー]]と[[マリー・キュリー]]の夫妻が[[ラジウム]]を発見し、ここから放射線の研究が始まった。
▲*[[1905年]] ドイツの[[アルベルト・アインシュタイン]]が[[特殊相対性理論]]を発表し、[[E=mc2|質量とエネルギーの等価性]]を理論的に証明した。
▲*[[1938年]] ドイツの[[オットー・ハーン]]により発見され、[[リーゼ・マイトナー]]によって[[核分裂反応]]と確認され、質量とエネルギーの等価性が実証された。
===冷戦時代===
▲*[[1945年]] [[アメリカ合衆国]](米国)の[[マンハッタン計画]]によって、核分裂反応を利用した
▲*[[1951年]] 米国の[[EBR-I]]で世界初の[[原子力発電]]に成功した。
*[[1952年]] [[4月7日]]、日本で、原子力ロボット「[[鉄腕アトム]]」の連載が開始。
*[[1953年]] 米国の[[ドワイト・アイゼンハワー]]大統領が、「[[平和のための原子力|核の平和利用]]」と題した演説。
*[[1954年]] [[3月1日]]、[[ビキニ岩礁]]での[[水素爆弾]]実験で、[[焼津市|焼津]]の漁船・[[第五福竜丸]]が被爆。同年、ソビエト連邦(ソ連)において最初の商用の原子力発電が開始された。
*[[1968年]] 日本の[[佐世保市|佐世保]]で、[[原子力空母]][[エンタープライズ (CVN-65)|エンタープライズ]]への[[佐世保エンタープライズ寄港阻止闘争|入港への反対運動]]。この頃、米国などで原子力空母の造成が盛んに行われる。
▲*[[1979年]] 米国の[[スリーマイル島原子力発電所]]で、運転員の誤操作により[[炉心溶融|メルトダウン]]事故が
▲*[[1986年]]
===冷戦後===
▲*[[1999年]] 日本の[[
▲*[[2003年]] {{要出典範囲|date=2011年5月|2003年時点で、日本の発電所では52基の原子炉が稼動し、年間で
*[[2006年]] [[北朝鮮の核実験 (2006年)]]により、[[北朝鮮核問題]]が本格化。
▲*[[2011年]] [[
== 脚注 ==
87 ⟶ 122行目:
**[[原子力安全・保安院]]
**[[文部科学省]]
*[[中
{{核技術}}
93 ⟶ 128行目:
{{DEFAULTSORT:けんしりよく}}
[[Category:原子力|
{{Link FA|fi}}
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