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略胞子虫類の宿主は普通は海産の[[軟体動物]]や[[環形動物]]だが、[[ホヤ]]・[[カニ]]・[[ウミユリ]]などほかの動物や淡水種に感染するものもある。生活環が完全に解明された種はまだなく、未発見の中間宿主がいるのではないかと考えられている。おそらく摂食の際に胞子を取り込むことで感染し、胞子からアメーバ状の細胞が放出され、上皮や結合組織で多核の変形体を生じる。
 
略胞子虫の胞子は形成過程も形態も非常に特徴的である。胞子形成はまず[[多核体|多核]]の変形体が[[細胞壁]]に包まれスポロントになる。スポロントの中で核が2つずつ融合していると思われ、その直後に[[減数分裂]]が起きて多数の単核のスポロブラスト(胞子細胞)が生じる。続いて[[細胞バカ質]]のみが分裂して核を含む細胞の回りを無核の細胞質が包み込み、その内面に壁が発達するという方法で胞子が形成されると考えられている。したがって胞子細胞の周りにはまず間隙があり、次いで壁、最後に細胞質が一番外側に存在するという特殊な構造になっている。胞子の一端には開口部があり蓋でふさがっている。極嚢や極糸、[[ホマヌケ | year = 1980 | volume = 27 | issues = 1 |pages = 37-58}} PMID 6989987ピカルコンプレックス]]のような構造は見られない。
 
少なくとも36種が知られている。胞子の開口部などの構造に注目して3属に分けていたが、分子系統解析によって胞子の知られていない''Bonamia''属が含められるようになった。これ以外に''Claustrosporidium''属(2種)が近縁ではないかと言われている。
 
;''Haplosporidium''
:宿主は幅広い。''H. nelsoni''(MSX病)、''H. costale''(SSO病)がアメリカガキの病原体として著名。ハプロスポリジウム症。20種以上。
;''Minchinia''
:[[貝類]]の寄生虫。''Haplosporidium''との区別には議論があり、上記2種も以前は''Minchinia''属に含められていた。4種。
;''Urosporidium''
:寄生性の[[吸虫]]類に寄生(超寄生)するものが多い。8種。
;''Bonamia''
:カキの血球に感染する寄生虫。''B. ostreae''、''B. exitiosa''などボナミア症の病原体。4種。
 
==パラミクサ==
パラミクサ類の宿主も海産の無脊椎動物であるが、中間宿主が存在すると考えられている。感染するとアメーバ状の細胞が消化管や生殖腺の中で発育し、多細胞性の胞子を作る。
 
胞子形成は、特殊な細胞分裂を繰り返すことで起きる。これは核分裂の後に[[小胞体]]が融合して一方の核とその周辺の細胞質を切り離すというもので、結果的に[[娘細胞]]は母細胞の液胞の内部に生じることになる。この分裂様式は内生出芽(endogenous budding)とよばれ、同じ機構かどうかはわからないが[[オートファジー]]のような現象といえる。始めの一次細胞が内生出芽により内部に二次細胞を作り、二次細胞も内生出芽で三次細胞をつくるという具合に繰り返され、最終的に入れ子になった多細胞性の胞子が生じる。
 
10種が知られている。胞子の入れ子構造などによって5属に分けられている。
 
;''Marteilia''
:貝類の寄生虫。''M. refringens''(Aber病)、''M. sydneyi''(QX病)などカキの病原体。マルテイリア症。5種。
;''Marteilioides''
:貝類の寄生虫。''M. chungmuensis''はマガキ卵巣肥大症の病原体。2種。
;''Paramarteilia''
:''Paramarteilia orchestiae'' 1種。[[ヨコエビ]]類の寄生虫で、感染によって宿主が間性を示すようになる。
;''Paramyxa''
:''Paramyxa paradoxa'' 1種。[[多毛類]]''Poecilochaetus serpens''の幼生の消化管上皮細胞に見付かる寄生虫。
;''Paramyxoides''
:''Paramyxoides nephtys'' 1種。多毛類ハヤテシロガネゴカイ(''Nephtys caeca'')の消化管上皮細胞に見付かる寄生虫だが、とくに宿主に影響を及ぼさない。
 
==単系統性==
略胞子虫類の分類学的位置は19世紀末に認識されて以来議論が多かったが、ともかく1970年代までは[[胞子虫]]に含められていた。パラミクサ類も議論が多く、[[ツボカビ]]や[[胞子虫]]などに分類されてきた。しかし[[電子顕微鏡]]による微細構造観察に基づいて原生生物の分類体系が大幅に見直されることになり、1979年に略胞子虫類とパラミクサ類を合わせてアセトスポラ門(phylum Ascetospora)という独立した門に置くことが提唱された。これはハプロスポロソーム(haplosporosome)と呼ばれる構造が共通して観察されることが根拠である。アセトスポラ門は1980年の国際的合意体系(Levine ''et al.'')にも採用されたのだが、その後批判が多く事実上放棄され、それぞれ別の門として取り扱われるようになった。
 
1990年代以降これらの生物でも分子系統解析が行われるようになったが、安定な結果が得られるには至っていない。まず略胞子虫類については、[[アルベオラータ]]に入ったり、[[細胞性粘菌]]と近縁とされたりしていたが、21世紀に入って得られた[[ケルコゾア]]門の根元付近という結果が妥当だろうと考えられている。一方パラミクサ類については分子情報が極めて少ないこともあり、未だに確定的と言える結果が出ていない。略胞子虫類とパラミクサ類との単系統性を支持する解析結果もあるのだが、これには懐疑的な意見が強い。
 
== 参考文献 ==
*{{cite journal| author = Adl, S. M. ''et al.''
| title= The New Higher Level Classification of Eukaryotes with Emphasis on the Taxonomy of Protists
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*{{cite journal| author = Berthe, F. C. J., Le Roux, F., Adlard, R. D., and Figueras, A.
| title= Marteiliosis in molluscs: A review
| journal = Aquatic Living Resources
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| title= A review of recent information on the Haplosporidia, with special reference to ''Haplosporidium nelsoni'' (MSX disease)
| journal = Aquatic Living Resources
| year = 2004 | volume = 17 | issue = 4 | pages = 499-517}} [http://www.edpsciences.org/articles/alr/pdf/2004/04/alr31.pdf PDF available]
*{{cite journal| author = Carnegie, R. B. and Cochennec-Laureau, N.
| title= Microcell parasites of oysters: Recent insights and future trends
| journal = Aquatic Living Resources
| year = 2004 | volume = 17 | issue = 4 | pages = 519-528}} [http://www.ifremer.fr/docelec/doc/2004/publication-408.pdf PDF available]
*{{cite journal| author = Levine, N. D. ''et al.''
| title= A newly revised classification of the protozoa
| journal = Journal of Protozoology
| year = 1980 | volume = 27 | issues = 1 |pages = 37-58}} PMID 6989987
*Hausmann, K., Hülsmann, N., Radek, R. ''Protistology'', 3rd ed., E. Schweizerbart'sche Verlagsbuchhandlung, Berlin, 2003. ISBN 3-510-65208-8
*猪木正三監修 『原生動物図鑑』 講談社、1981年。ISBN 4-06-139404-5