「名鉄5500系電車」の版間の差分

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冷房装置は、[[日本国有鉄道]]が1958年に特急用に採用して先鞭を付けていた[[東芝]]製のユニットクーラー(TAC-153T)を屋上に分散搭載した。1両当たりの台数は1次車(5501 - 5510・5551 - 5556)が7台、同年下期製造の2次車が8台とした。1台の冷房能力は4,500kcal/hである。
 
冷房搭載に伴って、冷房装置の電源となる[[電動発電機]]の容量が60kVAへと大型化されたが、全電動車方式で床下スペースが制限された5200系の改良型である本系列では、大型電動発電機搭載スペース確保のため、各種搭載機器の小型化が必要となった。そこで5200系まで用いられていた[[三菱電機]]のABFM単位スイッチ制御器<ref>多段制御で性能は優れていたが、床下の占有スペースがやや大きい欠点があった。</ref>に代わり、[[東京芝浦電気|東芝]]製のMCM(MC11系)電動カム軸制御器を採用した。この制御器は「パッケージ制御器」と呼ばれるコンパクトなもので、[[電気車の速度制御#抵抗制御|抵抗制御]]の在来型電車としては同時期の国鉄電車用制御器CS12と並んで最先端の方式であった<ref>小型化のため直並列自動切替機能を省略したカム軸制御器と、同じ目的で強制送風冷却式とした主抵抗器が一体(パッケージ)になった構造である。そのため運行中は床下からブロアファンの音が聞こえる。本形式以降、7000系(後の7100系や機器流用の8800系も含む)と7700系に採用されている。これらの同制御器を搭載した形式は、主抵抗器の過熱を案じて普通列車運用時には発電ブレーキを使用しなかった。なお、同じ全車電動車編成でも7500系、5300系、1850系の回生ブレーキは普通列車運用時にも使用されている。</ref><ref>他社の採用例は、同じ東芝製で主幹制御も同型であることに限定すると[[小田急3100形電車|小田急3100形「NSE」]]程度しかない。同社[[小田急7000形電車|7000形「LSE」]]以降はワンハンドルマスコンと逆転器兼直並列切替レバーの併用であるほか、[[近鉄21000系電車|21000系]]までの近鉄特急車は、これと同様に逆転器レバーの前進が2段あり直列・並列を切り替える方式である(ただし近鉄特急車の主制御器は三菱電機製、主幹制御機は縦軸で前進3ノッチに抑速ノッチ付き)。</ref>。<!--このときの装置の小型化が、[[名鉄7000系電車|パノラマカー]]の実現に技術的な目途をつけた。-->
 
また、主電動機(TDK-825系)も5000系・5200系と同じ75kW/2000rpmながら、高速性能を強化すべく補極・補償巻線付きに進化したことで、高速域から全界磁の発電ブレーキが使用できるようになった。これにより設計最高速度も140km/hに向上している<ref>主電動機回転数からみた許容速度。車輪径860mmのとき弱め界磁最終段40%で定格速度110km/h。弱め界磁を30%まで使用した場合は同155km/hとなり、均衡速度も150km/hまで上がる。</ref><ref>同時期に高速運転を指向した国私鉄の特急形電車としては[[国鉄181系電車|国鉄151系]](設計最高速度160km/h)を始めとして[[小田急3000形電車 (初代)|小田急3000形]](高速試験記録145km/h)、[[近鉄10100系電車|近鉄10100系]](設計最高速度170km/h)、[[東武1720系電車|東武1720系]](平坦線釣合速度165km/h)などが挙げられるが、いずれも乗車の際特別料金を必要とするのに対して、名鉄は料金不要の汎用型電車である5500系に異例の高速性能を与えた。なお料金不要ながら名鉄よりも以前から110km/h運転を行っていた[[阪急2800系電車|阪急電鉄]]や[[阪神3561・3061形電車|阪神電気鉄道]]の優等列車用電車は、歯車比など性能的には通勤形電車に近い。</ref>。5000系の波巻モーター(TDK-823系)と比べて、この重ね巻モーターは起動時や発電ブレーキ時にかん高い音を発するのが特徴である。