「平面波」の版間の差分

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夜仮面様 (会話 | 投稿記録)
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m 平面波の定義
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==平面波の定義==
平面波と呼ばれる関数には、「時間変数を持たない平面波」と、「時間変数を持つ平面波」がある。「時間変数を持たない平面波」は、周期関数のフーリエ級数展開や、フーリエ変換、時間発展のないシュレーディンガー方程式の計算に用いられる。「時間変数を持つ平面波」は、波動方程式の解として現れる。
 
「時間変数を持たない平面波」は、周期関数のフーリエ級数展開や、フーリエ変換、
通常、「時間変数を持たない平面波」と、「時間変数を持つ平面波」は、区別されずに混同されて用いられるが、異なるものなので、曖昧さを回避する観点から区別が必要な場合には、用語を使い分けることにする。それぞれの用語の定義は以下に行う。
時間発展のないシュレーディンガー方程式の計算に用いられる。
「時間変数を持つ平面波」は、波動方程式の解として現れる。
 
通常、「時間変数を持たない平面波」と、「時間変数を持つ平面波」は、区別されずに
混同されて用いられるが、異なるものなので、曖昧さを回避する観点から区別が必要な場合には、用語を使い分けることにする。それぞれの用語の定義は以下に行う。
また、本稿では、「時間変数を持たない平面波」と、「時間変数を持つ平面波」の総称
として「平面波」という用語を用いることにする。
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===時間変数を持たない平面波===
実数または複素数に値を取る実n変数関数<math>\Psi</math>が、時間変数を持たない平面波であるとは、
、周期1の実1変数の周期関数fと、n次元実数ベクトルK(k(但し<math>Kk\neq 0</math>)を用いて、
 
<div align=center>
<math>\Psi(x)=f(Kk\cdot x)</math></div>
 
とあらわされることを意味する。ここで、kは定数ベクトルであり、波数ベクトルと言われる。
<math>\Psi</math>が実数値関数のときには、時間変数を持たない実平面波<math>\Psi</math>が複素数値関数のときには、時間変数を持たない複素平面波と呼ぶ。
ここで、Kは定数ベクトルであり、波数ベクトルと言われる。
<math>\Psi</math>が実数値関数のときには、時間変数を持たない実平面波
<math>\Psi</math>が複素数値関数のときには、時間変数を持たない複素平面波
と呼ぶ。
 
===時間変数を持つ平面波===
実数または複素数に値を取る関数<math>\Phi</math>が、時間変数を持つ平面波であるとは、空間変数xがn次元実数ベクトルであり、時間変数tが実数であり
空間変数xがn次元実数ベクトルであり、時間変数tが実数であり、
 
周期1の実1変数の周期関数fと、n次元実数ベクトルK(k(但し<math>Kk\neq 0</math>)と、実数
と、実数
<math>\omega\neq 0</math>(但し<math>\omega\neq 0</math>)を用いて、
 
<div align=center>
<math>\Phi(x,t)=f(Kk\cdot x-\omega t)</math></div>
 
であることを意味する。ここで、Kkは定数ベクトルであり、波数ベクトルと言われる。ωは、実定数であり、角振動数と言われる。<math>\Phi</math>が実数値関数のときには、時間変数を持たない実平面波<math>\Phi</math>が複素数値関数のときには、時間変数を持たない複素平面波と呼ぶ
ωは、実定数であり、角振動数と言われる。
<math>\Phi</math>が実数値関数のときには、時間変数を持たない実平面波
<math>\Phi</math>が複素数値関数のときには、時間変数を持たない複素平面波
と呼ぶ。
 
時間変数を持つ平面波は、[[波動方程式]]の固有解に現れる。
===時間変数を持つ平面波と、時間変数を持たない平面波===
物理学では、空間変数<math>\textbf{x}</math>と時間変数<math>t</math>は異なるものであるが、
数学では、どちらも変数である。
 
尚、本稿では、時間変数と空間変数を、
<math>\textbf{X}=(\textbf{x},t)</math>のように分ける。つまり、変数の最後の成分<ref name=saisyo>文献によっては最初の成分を時間変数にする場合もあるが、本記事では、時間変数は最後の成分にする。</ref>を時間変数と考える。
 
通常、「===時間変数を持たない平面波と、時間変数を持たない平面波」は、区別されずに===
これに応じて、波数ベクトル<math>\textbf{K}</math>も、空間成分<math>\textbf{k}</math>と、時間成分ωに分け、
物理学では、空間変数<math>\textbf{x}</math>と時間変数<math>t</math>は異なるものであるが、数学では、どちらも変数である。この意味において、n次元の時間変数を持つ平面波は、n+1変数の時間変数を持たない平面波と見做すことができる。
 
実n+1変数関数<math>\Phi</math>が、時間変数を持つ平面波とし、<math>\Phi</math>は、
、周期1の実1変数の周期関数fと、n次元実数ベクトルk(但し、<math>k\neq 0</math>)と、実数ω(但し、ω≠0)を用いて、
 
<div align=center>
<math>\Phi(x,t)=f(k\cdot x-\omega t)</math></div>
 
と書けるものとする。
 
これ今、新た応じて波数ベクトル<math>\textbf{K}</math>、空間成分<math>\textbf{k}</math>と、時間成分-ωに分けを並べたn+1次元の実数ベクトルとする。即ち
 
<math>\textbf{K} = \left( \begin{array}{c}
K_1k_1 \\
\vdots \\
K_k_{n-1} \\
-\omega
\end{array} \right)</math>
 
とする。但し、<math>{k}_{i}</math>は、波数ベクトルkの第i成分を意味する。
<math>\textbf{X} = \left( \begin{array}{c}
X_1 \\
\vdots \\
X_{n-1} \\
t
\end{array} \right)</math>
 
又、<math>\textbf{X}=(\textbf{x},t)</math>とする。
とし、
このように考えると、
 
<div align=center>
<math>A\exp i( \textbf{k} \cdot \textbf{x} + \omega \cdot t+ \delta )</math> (2-1')
<math>\Phi(x,t)= \Phi(x,t)=f(k\cdot x-\omega t)=f(K\cdot X)</math></div>
 
のように見做すことが出来る。この意味において、n次元の時間変数を持つ平面波は、n+1変数の時間変数を持たない平面波と見做すことができた。
 
のように書く。
 
==正弦平面波==
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物理学では、変数<math>\textbf{X}</math>を空間変数<math>\textbf{x}</math>と時間変数<math>t</math>の2つに分け、
<div align=center>
<math>\textbf{X} =( \textbf{x} ,t)</math>のように分ける。つまり、変数の最後の成分<ref name=saisyo>文献によっては最初の成分を時間変数にする場合もあるが、本記事では、時間変数は最後の成分にする。</ref>を時間変数と考える。これに応じて、波数ベクトル<math>\textbf{K}</math>も、空間成分<math>\textbf{k}</math>と、時間成分ωに分け、
<math>A\exp i( \textbf{kX} \cdot=( \textbf{x} + \omega \cdot ,t+ \delta )</math> (2-1')</div>
 
<math>\textbf{X} =( \textbf{x} ,t)</math>のように分ける記す。つまり、変数の最後の成分<ref name=saisyo>文献によっては最初の成分を時間変数にする場合もあるが、本記事では、時間変数は最後の成分にする。</ref>を時間変数と考える。これに応じて、波数ベクトル<math>\textbf{K}</math>も、空間成分<math>\textbf{k}</math>と、時間成分ωに分け、
 
<math>\textbf{K}=\left( \begin{array}{c}