「東北地方太平洋沖地震及び津波のメカニズム」の版間の差分

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(カムチャツカ地震)
太平洋プレートが東北地方が乗る陸のプレートを削っていく、造構性浸食作用が日本海溝で起きていることから、日本海溝で超巨大地震が発生する可能性を想定されなかったことを批判する意見もある。沈み行く海のプレートが上盤の陸のプレートを削っていく造構性浸食作用が起こる理由を考えると、海のプレートと陸のプレートとの間の摩擦が大きい可能性が指摘できる。つまり日本海溝ではプレートの沈み込む場所の摩擦が極めて大きいことが想定され、プレート間が強く固着していることが推察できることによる<ref>小川、久田(2005)p.31、日本地質学会、(2011)[http://www.geosociety.jp/hazard/content0059.html 日本地質学会、東日本大震災対応作業部会報告]2012年2月17日閲覧</ref>
 
== 前震活動とられる地震活動 ==
2002年から2009年にかけて、東北地方太平洋沖地震の震源域である宮城県北部の太平洋沖に設置された海底地震計で観測された地震を分析すると、特定の地域に地震が集中して発生している一方おり、日本海溝の最深部から約50キロ程度陸側ではほとんど地震の発生は見られなかった。また[[前震]]とみられる3月9日のM7.3の地震は、2002年から2009年にかけて多くの地震が発生した場所を震源として発生している。またこの場所ではこれまでもマグニチュード6クラスの地震がしばしば発生していた<ref>非野ら(2011)pp.1038-1039</ref>。
 
2011年3月11日以前から、本震である東北地方太平洋沖地震震源付近で活発な地震活動が見られた。2011年2月13日から三陸沖では最大M5.5の地震活動が見られ、3月9日11時45分にはM7.3の地震が発生した。いずれも太平洋プレートと東北地方のプレートとの境界で発生した逆断層型の地震であり、特に3月9日の地震後には翌3月10日の6時23分に発生したM6.8の地震などM6クラスの地震が6回(9日と10日でそれぞれ3回ず、発生時刻の近接もあり(11時57分がM6.2、58分がM6.0))<ref>{{PDFlink|[http://www.jma-net.go.jp/choshi/gaikyo/geppo/jishin_2011_1.pdf 千葉県内2011年有感地震一覧]}} この中で規模が大きい前震が7回出てくる。</ref>発生し、また3月9日のM7.3の地震発生から2日後の東北地方太平洋沖地震発生までの約2日間の間に、過去7年間の地震数の約三分の一が発生するなど、極めて活発な地震活動が見られた<ref>平田ら(2011)pp.12-13、日野ら(2011)pp.1038-1039</ref>。
 
3月9日のM7.3の地震発生後、東北地方太平洋沖地震震源の北東約50×50キロメートルの範囲に地震発生域が拡大し、特に南西方向への地震活動域の拡大が顕著であった。活発な地震活動が東北地方太平洋沖地震の震源のある方向へ拡大していったことは、3月9日11時45分に発生したM7.3の地震に代表される東北地方太平洋沖地震発生以前の地震活動が前震であった根拠の一つと考えられている。また3月9日から11日の本震までに発生した地震の多くは、沈み込んでいく太平洋プレートと東北日本の地殻が接するプレート境界面で発生していた<ref>平田ら(2011)p.12、日野ら(2011)pp.1038-1042</ref>。
 
3月9日以降の地震活動にはもうひと顕著な特徴が見られた。地震の発生数と規模は一般的に
 
:logN = a-b log(M)
 
という式で表されることが知られている。ここでNはマグニチュードMの地震の数、abは対象となる地震により一定の係数となる。bは通常1に近い値を取る。これはマグニチュードが1増えると地震数は10分の一となることを示している。しかし前震では通常よりも小さな地震が少ないため、bの値が1よりも遥かに小さな値を取ることが知られている。日本海溝付近の地震のbは0.8程度とかなり小さめであるが、3月9日から11日までの地震活動ではbは約0.47であり、通常の1、日本海溝周辺の地震の0.8と比べて極めて小さな値であり、これは3月9日以降の地震活動が3月11日の東北地方太平洋沖地震の前震である有力な根拠であるとされている<ref>平田ら(2011)pp.13-16</ref>。
 
また、日本海溝周辺の地震についてのb値について詳しく検討してみると興味深い事実が明らかとなった。もともと日本海溝周辺の地震のb値は約0.8と小さの値であることが知られていたが、1960年代から現在までbの値が減少し続けていた。これらの事実から、太平洋プレートの西進によってひずみの蓄積が進んだ日本海溝のプレート境界では、岩石にかかる圧力が増大することにより小さな地震が減少してきており、3月9日のM7.3の地震以降は、プレート間の破壊が徐々に進行して小さな割れ目が結合して大きな割れ目となる中で小さな地震数が顕著に減少して、3月11日の本震発生に至ったという経過が想定される<ref>平田ら(2011)pp.16-17</ref>。
 
== 本震のメカニズム ==