「コンクリート充填鋼管構造」の版間の差分

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'''コンクリート充填鋼管構造'''(コンクリートじゅうてんこうかんこうぞう・CFT; Concrete Filled Steel Tube)は、[[鋼管]]の内部に[[コンクリート]]を充填したものを構造で、主に[[]]として使用した構造のことであされる。
 
== 概要 ==
コンクリート充填鋼管構造(以下CFT造)は、鋼材とコンクリートを組み合わせた[[複合構造]]の一種であり、[[異形鉄筋|鉄筋]]や[[型枠]]の組立てを必要としないシンプルな構成が特徴で、強度、剛性、変形性能などの面でも優れているため、[[鉄骨構造|S(鉄骨)造]]、[[鉄筋コンクリート構造|RC(鉄筋コンクリート)造]]、[[鉄骨鉄筋コンクリート構造|SRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造]]に次ぐ第四の構造として近年注目を浴びている。鋼管の中CFT造は主コンクリートを充填するというシンプルな原理であるの使化が遅くなったのはされS造の[[溶接梁 (建築)|梁]]を比較的必要しないS造、RC造、SRC造とは異なり、CFT造では柱と梁の接組みや、柱を延長すわされ際に溶接を用いのが普通であため安定した品質CFT造確保できる溶接技術ブレース特に柱を延長[[筋交い]])として使用する際には現場施工で安定した品質を確保できる溶接技術)の進歩を待たねばならなかったからでケースもある。
 
鋼管の中にコンクリートを充填するというシンプルな原理であるのに実用化が遅れた理由の1つとしては、鋼管の柱は現場で上下方向に接合する際、H形鋼の柱のように[[ねじ#ボルト|高力ボルト]]での接合が出来ず、[[溶接]]を行う必要があることがあったが、1980年代以降、現場での溶接が問題なく行えるようになり、鋼管の柱がS造建物に広く使用されるようになってからも、CFT造の普及は進まなかった。1987年に[[日本建築学会]]が行ったアンケート調査では、CFT造の問題点として、コスト面で他の工法に比べてメリットが少ないこと、外から見えない鋼管の内部に完全にコンクリートを充填させる施工技術が確立されていないこと、CFT造の構造的性状についての知見が少なく[[建築#建築構造設計|構造設計]]法が確立されていないことなどが挙げられている。また、[[建築基準法]]上のSRC造と認められないため、通常の[[確認申請]]でなく、個別に認定を得る必要があることも普及の障害となっていた。そのため、初期には構造計算上はS造扱いとし、充填コンクリートは[[剛性]]だけを考慮することも少なくなかった。この状態を変える契機となったのは、1985年に[[建設省]]が行った「21世紀の都市型集合住宅の提案プロジェクト」にCFT構造が採用されたことで、同プロジェクトの成果を元に1996年に発足した新都市ハウジング協会は、「CFT構造技術指針・同解説(構造設計 耐火設計 施工)」を刊行して設計法と施工法の標準を示すと共に、60m以下のCFT造建物の審査を行うようになった。また、1993年から1997年に行われた日米共同耐震研究第5フェーズではCFT造部材について多数の[[実験]]が行われ、多くの知見が得られている。さらに、2002年の[[国土交通省]]告示によって、CFT造は他の構造と同様の確認申請が可能になった。これらによりCFT造の普及を阻害していた要因の多くが解消され、1990年代後半以降、CFT造は急速に普及が進んでいる。
 
== 長所 ==
コンクリートは圧縮力には強いが引っ張る力には弱く、また一定以上の圧縮力が加わると一気に弾けるように破損してしまう。一方鋼管は引っ張る力には強いが熱に弱く、また圧縮方向の強い力が加わると[[座屈]]という現象を起こし一気に折れ曲がってしまう。CFT造ではその相反する特徴を持つ両者を組み合わせることによって互いの短所を補完しあっている。具体的には充填コンクリートによって鋼管の座屈を防ぎ、また鋼管によってコンクリートの弾けるような破壊現象が起こらないように拘束することで、あらゆる方向の力に対してバランスよく耐力を発揮することができるようになっている。これは相互拘束効果またはコンファインド効果と呼ばれ、CFT造の持つ大きな特徴である。これにより[[地震]]などによるで大きな変形に極めを受け度の低下が少なく、高い耐震性が得られる。また一般的な火災であれば充填コンクリートが鋼管に加わった熱を奪うことで耐火性を発揮するため、条件を満たせば[[耐火被覆]]をS造の柱より減らしたり、無くしたりすることも可能である。さらに、工場で製作し現場で組み付けた鋼管柱の中にコンクリートを流し込むため、現場で鉄筋や型枠を組んでコンクリートを打設するRC工法造やSRC造よりも作業工数を低減でき、型枠に使う[[合板]]の使用も抑制できるため[[環境負荷]]も小さくなる利点がある。
 
S造で柱に鋼管を使用した場合と比較すると、充填コンクリートの剛性が付加されること、充填コンクリートが圧縮力を負担し、鋼管の局部的な座屈も防ぐことなどから、鋼管の大きさや厚さを減らすことが出来るため、コストを低減することが可能である。RC造やSRC造との比較では、複雑な配筋や型枠の工事が不要なことによる省力化と工期の短縮が大きなメリットとなる。
 
== 短所 ==
主な短所は、柱と梁の接合部の内部構造が複雑になるため鉄骨の加工コストが高くなること、コンクリートが目に直接見えない状態で充填されるため、隙間のないように充填するための品質管理に手間やコストがかかることなどであ、充填す。このようコンクリート自体も高い流動性を得るためにコストが高く面で従来の構造に比べて不利ることなどである。そのため、[[超高層ビル]]など階数・規模が大きい物件H形鋼を使されるケーしたS造やSRC造、RC造との比較では、コが多ト的なメリットは少ない。
 
しかし、普及の契機が中高層を対象とした「21世紀の都市型集合住宅の提案プロジェクト」だったこともあり、[[超高層ビル]]など階数・規模が大きい物件だけでなく、従来SRC造とされることの多かった中高層建物への適用も多く、工期の短いことを生かして低層の建物に採用されるケースも少なくない。
 
 
== 工法 ==
鋼管の中にコンクリートを充填する方法には、大きく分けて2種類の工法がある。
# 圧入工法:柱鋼管下部に設けた圧入口からコンクリートを強い圧力で上部まで充填する。
# 落とし込み工法:柱鋼管の上部からトレミー管やサニーホースなどを下部まで挿入し、管を引き上げながらコンクリートを充填する。
 
== 参考文献 ==
* 国土交通省国土技術政策総合研究所他編 『コンクリート充填鋼管(CFT)造技術基準・同解説』 新都市ハウジング協会、2009年
 
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