「ワーキングメモリ」の版間の差分

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== ワーキングメモリの容量 ==
ワーキングメモリは、一般に容量に限界があると考えられている。短期記憶に関する容量限界という考えを具体化したものとしては、Miller (1956年)による「マジカルナンバー7±2」がある<ref name="miller">Miller, G. A. (1956). [http://www.well.com/user/smalin/miller.html The magical number seven, plus or minus two: Some limits on our capacity for processing information.] Psychological Review, 63, 81-97</ref>。この論文によれば、数字や単語を記憶する場合、人が記憶できる量は「チャンク」と呼ばれる塊りで表すと7±2個の範囲に収まるとされた。その後の研究で、容量はおぼえる素材の種類に依存し、数字なら約7個、文字なら約6個、単語なら約5個であることが分かってきた。長い単語よりも短い単語の方がたくさんおぼえられるという現象(語長効果)も、記憶に必要なワーキングメモリ容量の違いによって説明されることがある(この解釈には異論もある)<ref>Baddeley, A. (2007). Working memory, thought, and action. Oxford University Press.</ref>。一般に言語的素材(数字、文字、単語)の記憶容量は、その人がその素材を声に出して読んだときにかかる時間と関係があると考えられ、素材についての知識状態(その単語を知っているか)にも依存する<ref>Hulme, C., Roodenrys, S., Brown, G., & Mercer, R. (1995). The role of long-term memory mechanisms in memory span. British Journal of Psychology, 86, 527-536.</ref>。他にも容量に影響する要因があり、人間のワーキングメモリや短期記憶のチャンク数を具体的に定量化することは難しい。Cowan (2001年)<ref>Cowan, N. (2001). The magical number 4 in short-term memory: A reconsideration of mental storage capacity. Behavioral and Brain Sciences, 24, 87-185</ref> によれば、厳密な条件の統制を行ったり適切な推定法を用いたりすることによって見かけ上の記憶を増やす要因をできる限り排除すると、若年成人の純粋な短期記憶容量は約4チャンクになる(子どもや高齢者ではこれよりも少ないとの報告もある<ref>Cowan, N., Nugent, L. D., Elliott, E. M., Ponomarev, I., & Saults, J. S. (1999). The role of attention in the development of short-term memory: Age differences in the verbal span of apprehension. Child Development, 70, 1082-1097.</ref>)。
 
== 最近のワーキングメモリ研究 ==