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{{Otheruses|数学の集合理論|ソフトウェアのデザインパターン|Singleton パターン}}
[[数学]]における'''単集合'''(たんしゅうごう、{{lang-en-short|singleton}}; '''単元集合'''、'''単項集合'''、'''一元集合''')あるいは'''単位集合'''({{en|''unit set''}}<ref name="Stoll">{{Cite book | last = Stoll | first = Robert | authorlink = | coauthors = | title = Sets, Logic and Axiomatic Theories | publisher = W. H. Freeman and Company | series = | volume = | edition = | year = 1961 | location = | pages = 5–6 | language = | url = | doi = | id = | isbn = | mr = | zbl = | jfm = }}</ref>)は、唯一の元からなる[[集合]]である。[[タプル|一つ組]] (1-tuple) や[[列 (数学)|単項列]] (a sequence with one element) と言うこともできる。
'''単集合'''(たんしゅうごう、{{lang-en-short|singleton}})は、唯一の元からなる[[集合]]である。例えば、{0} という集合は単集合である。
 
例えば、{0} という集合は単集合である。
== 属性 ==
例えば、<nowiki>{{1, 2, 3}}</nowiki> のような集合も単集合である。この場合、唯一の元は集合であり、その集合は単集合ではない。
 
== ==
単集合であることと、その集合の[[濃度 (数学)|濃度]]が 1 であることは[[同値]]である。[[自然数]]を集合論的に構築する場合、1 は単集合 {0} として定義される。
[[ツェルメロ・フレンケル集合論]]の枠組みの中では[[正則性の公理]]が「自身を元とする集合」が存在しないことを保証するから、単元集合とその単元集合を含む集合とは必然的に異なる数学的対象を意味するものとなる<ref name="Stoll"/>。つまり、1 と {1} とは同じものではないし、空集合のみからなる単項集合 {&empty;} は [[空集合]] &empty; ではない。また、例えば、<nowiki>{{1, 2, 3}}</nowiki> のような集合も唯一の集合(それ自体は単集合ではないが)を元として持つ単集合である。
 
単集合であることと、その集合の[[濃度 (数学)|濃度]]が 1 であることは[[同値]]である。[[自然数]]を集合論的築する場合成]]において自然数の 1 は単集合 {0} のことして定義される。
[[公理的集合論]]においては、空集合の公理と対の公理の帰結として単集合の存在が導かれる。前者は[[空集合]] {} が存在することを示し、後者は {} と {} を対にすることで、単集合 <nowiki>{{}}</nowiki> が得られる。
 
[[公理的集合論]]において、[[対の公理]]からの帰結として単元集合の存在が導かれる。即ち、任意の集合 ''A'' に対して、''A'' と ''A'' に対して対の公理を適用すれば {''A'', ''A''} なる集合の存在が保証されるが、これは ''A'' のみを元に持ちそれ以外の元は持たないから、単元集合 {''A''} に他ならない。ここで ''A'' は任意の集合でよい、といっても集合がそもそもまったく存在しない場合には意味がないが、空集合の公理があれば少なくとも空集合 &empty; は集合になるから、''A'' = &empty; ととって先の議論は正当化できる。
任意の集合 ''A'' と単集合 ''S'' があるとき、''A'' から ''S'' への[[関数 (数学)|関数]]はただ1つ存在し、''A'' のあらゆる元から ''S'' の唯一の元への写像である。
 
任意の集合 ''A'' と単集合 ''S'' があるときに対し、''A'' から ''S'' への[[関数 (数学)|関数写像]]はただ1ちょうど一だけ存在し、する(それは ''A'' のあらゆるから ''S'' の唯一の元へすものである)。従って任意の単元集合は[[集合の圏]]にける[[終対象]]である。
 
== 応用 ==
[[位相幾何学]]において、ある空間の全ての単集合が閉集合であることと、その空間が[[分離公理|T1空間| ''T''<sub>1</sub>-空間]]であることは同値である。
 
単集合を台として構築される構造、様々な[[圏 (数学)|圏]]における[[終対象]]または[[零対象]]を与えるこがしばしばある。例えば
* 既に述べたように単集合は[[集合]]の圏]] '''Set''' における終対象であにちょうどなっており、他の集合で '''Set''' の終対象となるものは存在しない。
* 任意の単集合は、ただ通り(全ての部分集合を開集合とする位相を考える)方法で[[位相空間]]に変換することができる(全ての部分集合は開集合である)。このような単集合一元位相空間は位相空間および連続関数写像の圏 '''Top''' における終対象である。他にこのようなでは他に '''Top''' の終対象となる位相空間は存在しない。
* 任意の単集合は、ただ一通りの(唯一の元を[[単位元]]とする)方法で[[群 (数学)|群]]に変換することができる(唯一。こような一群([[自明な群|単位]]となる。このような単集合の群および準同形の圏 '''Grp''' における零対象である。他にこのようなでは他に '''Grp''' の終対象となる群は存在しない。
 
== 指示関定義函数による定式化 ==
[[類 (数学)|クラス]] ''S'' を[[指示函数]] '''1'''<sub>''S''</sub>: ''X'' &rarr; {0, 1} が定義するものとすると、''S'' が単集合であるための必要十分条件は、その指示函数 '''1'''<sub>''S''</sub> が適当な ''y'' &isin; ''X'' に対して
[[ブール値関数]] <math>b: X \to \{0, 1\}</math> で定義される集合の[[クラス (集合論)|クラス]]を <math>S</math> とする。<math>S</math> が単集合であることと、<math>b</math> が <math>y \in X</math> を使って <math>c(x) = (x = y)</math> のように定義される関数 <math>c: X \to \{0, 1\}</math> と等価であることは同値である。
: <math>{\boldsymbol 1}_S(x) = (x = y)\quad (\forall x\in X)</math>
(右辺は[[アイバーソンの記法|アイバーソン括弧]])を満たすことである。
 
歴史的には、この定義は[[アルフレッド・ノース・ホワイトヘッド|ホワイトヘッド]]と[[バートランド・ラッセル|ラッセル]]が自然数 1 を定義するために導入したものである<ref>{{cite book | first=Alfred North | last=Whitehead | coauthors=Bertrand Russell | date=1861年 | title=Principia Mathematica | pages=37 }}</ref>。その定義は <math>1 \ \overset{\underset{\mathrm{def}}{}}{=} \ \hat{\alpha}\{(\exists x) . \alpha = \iota \jmath x\}</math> であり、ここで <math>\iota \jmath x \ \overset{\underset{\mathrm{def}}{}}{=} \ \hat{y}(y = x)</math> である。
: <math>1 \stackrel{\text{def}}{{}={}} \hat{\alpha}\{(\exists x) . \alpha = \iota \jmath x\}\quad\text{where }\iota \jmath x \stackrel{\text{def}}{{}={}} \hat{y}(y = x)</math>
と定義するために導入したものである<ref>{{cite book | first=Alfred North | last=Whitehead | coauthors=Bertrand Russell | date=1861年 | title=Principia Mathematica | pages=37 }}</ref>。
 
== 脚注 ==
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== 関連項目 ==
*[[ペアノの公理類 (数学)]]
 
{{DEFAULTSORT:たんしゆうこう}}
[[Category:集合の基本概念]]
[[Category:数学に関する記事]]