削除された内容 追加された内容
Melan (会話 | 投稿記録)
Melan (会話 | 投稿記録)
en:Compatible Time-Sharing System(2012年4月2日 20:14:27(UTC))の翻訳をマージ
1行目:
{{Infobox OS
'''CTSS'''(Compatible Time-Sharing System、互換タイムシェアリングシステム)は、[[マサチューセッツ工科大学|MIT]]計算センターで開発された世界初の[[タイムシェアリングシステム]]のひとつ。[[1961年]]に最初の実演が行われ、1973年までMITで稼動していた。当時、MITの[[Project MAC]]にもCTSSの2号機があったが、それ以外のサイトで採用されたことはない。CTSSに関する論文は1962年春季合同コンピュータ会議で発表された。
| name = Compatible Time-Sharing System
| logo =
| screenshot =
| caption =
| developer = [[マサチューセッツ工科大学|MIT]]計算センター
| source_model =
| kernel_type =
| supported_platforms = [[IBM 7090]](改造版)
| ui =
| family =
| released = 1961年
| latest_release_version =
| latest_release_date =
| latest_test_version =
| latest_test_date =
| marketing_target = MITのみ
| programmed_in =
| prog_language =
| language = [[英語]]
| updatemodel =
| package_manager =
| working_state = 歴史的OS
| license =
| website =
}}
'''CTSS'''(Compatible Time-Sharing System、互換タイムシェアリングシステム)は、[[マサチューセッツ工科大学|MIT]]計算センターで開発された世界初の[[タイムシェアリングシステム]]のひとつ。[[1961年]]に最初の実演が行われ、1973年までMITで稼動していた。当時、MITの [[Project MAC]] にもCTSSの2号機があったが、それ以外のサイトで採用されたことはない。CTSSに関する論文は1962年春季合同コンピュータ会議で発表された。
 
{{IBMメインフレームOSの歴史}}
== 解説 ==
その名称にある"Compatible"(互換)とは[[IBM 7094]]の標準の[[バッチ処理]][[オペレーティングシステム|OS]] Fortran Monitor System (FMS) との互換性を意味している。CTSSはバックグラウンド機能で提供された仮想7094上でFMSをそのまま実行することができたのである。バックグラウンドFMSジョブは問題なく磁気テープにアクセスできたが、フォアグラウンド[[プロセス]]の実行をじゃましたり、それらが使用するリソースを奪うことはできなかった。
 
== 解説概要 ==
CTSSは技術的には後世に多大な影響を与えたとは言えないが、タイムシェアリングが可能であることを示したという意味では影響が大きかった。これは新たなコンピュータの利用形態の具現であり、その後継である[[Multics]]は後のOSに影響を与えている。
その名称にある "Compatible"(互換)とは [[IBM 7094]] の標準の[[バッチ処理]][[オペレーティングシステム|OS]] FortranFORTRAN Monitor System (FMS) との互換性を意味している。CTSSはバックグラウンド機能で提供された仮想7094上でFMSをそのまま実行することができた(ハードウェアは完全には仮想化あるきていない)。バックグラウンドFMSジョブは問題なく磁気テープにアクセスできたが、フォアグラウンド[[プロセス]]の実行をじゃましたり、それらが使用するリソースを奪うことはできなかった。
 
CTSSは後世に大きな影響を与えた。タイムシェアリングが可能であることを示し、コンピュータの新たな重要な用途を生み出した。その後のタイムシェアリングシステム(特に{{仮リンク|CP/CMS|en|CP/CMS}})に多大な影響を与え、直接の後継である [[Multics]] は後のOSの基本概念の多くを生み出した。
== 詳細 ==
CTSSには世界初のコンピュータ化された組版ユーティリティの一種があり、ユーザー間の[[電子メール]]機能も実装されていた。
 
== 詳細特徴 ==
MIT計算センターの職員[[ルイ・プザン]]はCTSS向けの RUNCOM と呼ばれるコマンドを開発した。これはファイルに書かれているコマンド群を実行するもので、[[UNIX]]の[[シェルスクリプト]]の原型である。RUNCOMにはパラメータ置換機能もあった。
* CTSSには世界初のコンピュータ化された組版ユーティリティの一種があり、ユーザー間の [[電子メール:en:TYPSET and RUNOFF|RUNOFF]]機能も実装されていがあった。
* CTSSには世界初のユーザー間のメッセージ通信機能が実装されており、[[電子メール]]の発祥とされることもある<ref name="thvv">Tom Van Vleck's memoir of [http://www.multicians.org/thvv/mail-history.html The History of Electronic Mail]</ref>。
* MIT計算センターの職員[[ルイ・プザン]]はCTSS向けの RUNCOM と呼ばれるコマンドを開発した。これはファイルに書かれているコマンド群を実行するもので、[[UNIX]]の[[シェルスクリプト]]の原型である。RUNCOMにはパラメータ置換機能もあった。
 
== 実装 ==
CTSSは改造された [[IBM 7094]] メインフレームを使用している。32,768×36ビットワードの[[磁気コアメモリ]]を2バンク持っている(通常は1個)。うち1バンクはタイムシェアリング管理プログラムが使用し、もう1個をユーザープログラム群が使用する。32Kのうち27Kをユーザーが使用し、残り5Kをモニター用の予約している<ref name="osc">{{Cite book|title=Operating System Concepts |chapter=13: Historical Perspective |page=514 |first1=Abraham |last1=Silberschatz |first2=James L. |last2=Peterson |year=1988 |month=June |isbn=0-201-18760-4}}</ref>。[[CPU]]を割り当てる[[スケジューリング]]は[[多段フィードバックキュー]]方式で制御される<ref name="osc"/>。また、特殊なメモリ管理ハードウェア、クロック割り込み機能、特定の命令をトラップする機能などもあった。入出力ハードウェアはほとんどIBMの標準品である。6本のデータチャネルには以下のデバイスが接続されていた。
*プリンタ、[[パンチカード]]リーダ、およびパンチャー
 
*IBM 729 磁気テープ装置、IBM 1301 ディスク記憶装置(後に3800万ワードの容量を持つ IBM1302 にアップグレードされた)
* プリンタ、[[パンチカード]]リーダ、およびパンチャー
*IBM 7320 [[磁気ドラムメモリ]]、1秒で32Kメモリバンクをロードでき、186Kワード容量(後に、1/4秒までアップグレードされる)
* {{仮リンク|IBM 729|en|IBM 729|label=IBM 729}} tape drives, an IBM 1301]] disk storage, later upgraded to an IBM 1302]], with 38 million word capacity
* IBM 729 磁気テープ装置、[[IBMのディスク記憶|IBM 1301]] ディスク記憶装置(後に3800万ワードの容量を持つ [[IBMのディスク記憶|IBM1302]] にアップグレードされた)
* IBM 7320 [[磁気ドラムメモリ]]、容量は186Kワードで、1秒で32Kメモリバンクをロードでき、186Kワード容量(る(後に、1/4秒までアップグレードされる)
* 2つの独自高速ベクターグラフィックディスプレイ
* IBM 7750 伝送制御装置、112台の[[テレタイプ端末]]を接続可能。端末には [[IBM 1050]] や Model35 [[テレタイプ端末]]などが使われた。いくつかの端末は遠隔地にあり、公衆[[電信テレックス]]回線で接続されていた。
 
== 影響 ==
[[Incompatible Timesharing System|ITS]]('''''I'''ncompatible '''T'''imesharing '''S'''ystem'')もMITで開発された初期の革新的タイムシェアリングシステムのひとつである。これはMulticsの方向性を良しとしない人々が開発した。名称はCTSSに対するジョーク。
Project MAC では、CTSSの後継として1960年代に[[Multics]]の開発を開始した。Multicsは1969年に[[UNIX]]が開発される要因の1つとなった。例えば、「[[デーモン (ソフトウェア)|デーモン]]」という用語はCTSS発祥で、UNIXにまで受け継がれた。
 
[[Incompatible Timesharing System|ITS]]('''''I'''ncompatible '''T'''imesharing '''S'''ystem'')もMITで開発された初期の革新的タイムシェアリングシステムのひとつである。これはMulticsの方向性を良しとしない人々が開発した。名称はCTSSに対するジョークのパロディ
<!--
==See also==
* [[Fernando J. Corbató]], project leader
-->
 
== 参考文献脚注 ==
{{Reflist}}
 
==参考文献==
{{Refbegin}}
* F. J. Corbató, M. M. Daggett, R. C. Daley, ''[http://larch-www.lcs.mit.edu:8001/~corbato/sjcc62/ An Experimental Time-Sharing System]'' (IFIPS 1962年)
* Robert M. Fano, ''[http://www.lcs.mit.edu/publications/pubs/pdf/MIT-LCS-TR-012.pdf The MAC System: A Progress Report]'' (MIT Project MAC, 1964年) CTSSの使用方法
* Jerome H. Saltzer, ''[http://www.lcs.mit.edu/publications/pubs/pdf/MIT-LCS-TR-016.pdf CTSS Technical Notes]'' (MIT Project MAC, 1965年) CTSSの実装の詳細
* Jerome H. Saltzer, ''[http://web.mit.edu/Saltzer/www/publications/AH.9.01.html Manuscript Typing and Editing]'' (MIT Computation Center, 1964年) 世界初の電子組版システムについて
* F. J. Corbató, et al., ''[http://www.bitsavers.org/pdf/mit/ctss/CTSS_ProgrammersGuide.pdf The Compatible Time-Sharing System A Programmer's Guide]'' (MIT Press, 1963年) ISBN 978-0-262-03008-3. システムとコマンド群の解説
{{Refend}}
 
== 関連項目 ==
* [[フェルナンド・J・コルバト]] - プロジェクトリーダー
* [[オペレーティングシステムの歴史]]
 
== 外部リンク ==
* [http://www.multicians.org/thvv/compatible-time-sharing-system.pdf Compatible Time-Sharing System (1961-1973): Fiftieth Anniversary Commemorative Overview]
* [[ジョン・マッカーシー]], ''[http://www-formal.stanford.edu/jmc/history/timesharing/timesharing.html Reminiscences on the History of Time Sharing]'' タイムシェアリングという概念の起源について
* [http://purl.umn.edu/107476 Oral history interview with John McCarthy], Charles Babbage Institute, University of Minnesota.
* [http://www.multicians.org/thvv/7094.html The IBM 7094 and CTSS]: CTSSシステムプログラマの個人的回想
* [http://www.multicians.org/shell.html The Origin of the Shell] RUNCOMが後のシェルに与えた影響
* [http://www.piercefuller.com/library/ctss.html?id=ctss CTSS Source] Paul Pierce のコレクションより
* [http://www.cio.com.au/article/325323/cio_blast_from_past:_40_years_multics,_1969-2009 CIO: 40 years of Multics, 1969-2009]: フェルナンド・J・コルバトのインタビュー
* [http://purl.umn.edu/107230 Oral history interview with Fernando J. Corbató], Charles Babbage Institute, University of Minnesota.
* [http://purl.umn.edu/107281 Oral history interview with Robert M. Fano], Charles Babbage Institute, University of Minnesota.
* [http://www.cozx.com/~dpitts/ibm7090.html Dave Pitts' IBM 7094 support] &ndash; シミュレータ、クロスアセンブラ、リンカがあり、CTSSをビルド可能。CTSSのソースなどもある。
 
[[Category:オペレーティングシステム]]
[[Category:マサチューセッツ工科大学]]
 
[[ca:Compatible Time-Sharing System]]