「ヴェリブ」の版間の差分

'''ヴェリブ'''（{{lang|fr|'' Velib' Vélib''''}}　[http://fr.forvo.com/word/velib/ 発音例]）とは、[[フランス]]・[[パリ|パリ市]]が提供している[[自転車]]貸出システムである。

[[ファイル:Velibvelo1.jpg|250px|thumb|right|ステータショオンに駐輪されている自転車]]

[[ファイル:Velibvelo2.jpg|250px|thumb|right|夜のステータショオン]]

[[2007年]][[6月13日]]から、運用に向けたデモンストレーションが行われ、同年[[7月15日]]から正式に運用が開始された。ヴェリブとは、フランス語の「vélo」（ヴェロ・自転車）と「libre」（リーブル・自由な）という単語の[[かばん造語]]である。導入の主目的はパリ市民の日常の移動手段としてであるが、1日単位の短期利用により、観光客が[[サイクリング]]に活用することもできる。24時間・年中無休の利用が可能でサービスを提供し、路上にある'''ステータショオン'''と呼ばれる専用の駐輪ポイントにて、利用者自身の手で貸出・返却を行う「セルフレンタル」でい、どこ他の場所から乗って、どこあるいは同スタシオンへの場所返却が可能で乗り捨ててもよいシステムとなっていある。パリ市当局は、ヴェリブの普及により、地球環境に優しい自転車の利用促進を目指している。

開始後1年後の実績としては、利用者がのべ27,500,000人に及び、200,000人が1年間の長期パスに登録し<ref name = "jcdecaux">[http://www.mcdecaux.co.jp/mcd/pdf/velib%201year%20celebration.pdf ヴェリブが1周年を迎えました（JCDecaux サイト）]</ref>、好評を博しており、自転車共有サービスとしては現在、世界最大の規模である。

フランス国内では、[[自動車]]の[[渋滞]]による公害が問題視されており、[[首都]]であるパリ市は、他の都市と比べ特にその問題が深刻化している。従来からパリ市では、この問題に対処するために、路上駐車防止を目的とした地下駐車場の建設、駐車違反の厳重な取り締まり、駐車料金の値上げなどが実施されてきたものの、具体的な成果は表れてこなかった。そこで、パリ市長である[[ベルトラン・ドラノエ]]は、[[2001年]]の就任以来、「Paris respire! 思いっきり- 息を吸えができるパリを<ref>文字通りの意味は「パリは呼吸する」だが、respireには空間的余裕のダブルミーニングが込められている。</ref>」というスローガンを掲げ、夜行バスの都心から郊外への運行、歩道の拡張、[[バス (交通機関)|バス]]・[[タクシー]]専用レーンの設置、[[トラム (パリ)|トラム]]（[[路面電車]]）の敷設など、[[2020年]]までに、パリ市内の自動車[[交通量]]を40%縮小させることを目指志し、多くのた大胆な政策を実施してきた。その政策の目玉一部ともいえるのが、このしてヴェリブなのであが導入されるに至った。

パリ市はこのシステムの運用に関して、大手[[広告代理店]]である[[ジェーシセードゥコー]]（{{lang|fr|''[[:fr:JCDecaux|JC DecauxJCDecaux]]''}}）が契約することで、同社がパリ市内で優先的に1,600枚の[[広告]]パネルを設置できる権利と交換に、システム運営に掛かる経費を負担することになっていた。しかし、ヴェリブの破損・盗難台数が、マルセイユ市やトゥーロン市でドゥコー社JCDecauxが実施する同種事業に比べ突出して多いことから、パリ市の治安上の問題としてドゥコー社JCDecauxが対策を求めた。2009年より、破損・盗難台数が一定数を超えた場合、パリ市が1台あたり400ユーロ支払う契約改正が行われた。また、破損・盗難率が多くなった場合、更なる協議が行われることになった。

維持管理会社を行っているJCDecauxが各ステータショオンを定期的に巡回し、[[パンク]]や[[ローラーチェーン|チェーン]]の外れの修理といった、車両のメンテナンスを行ったり、[[オンライン]]でステータショオンの駐輪状況を確認しながら、満車のステータショオンから自転車を移動し、空車が目立つステータショオンへと補充したりしている。

システム'''Vélib''''導入時は、屋外パリ市内に設置された750かヶ所のステータショオン・と計10,648台の自転車でサービスタートが開始した。1つのステータショオンあたり、15個以上の駐輪ポイワン・ダタッシュ({{lang|fr|''points d'attache''}})（または、ボルネット - {{lang|fr|''bornette''}}）と呼ばれる駐輪機が設置されている。[[2008年]][[4月]]現在で約1,500かヶ所のステータショオン・ならびに約2万台の自転車がそれぞれ配備されている<ref name = "yomiuri">[[読売新聞]]・朝刊33面・環境ルネサンス 183・[[2008年]][[5月16日]]</ref>。今後、パリ市郊外でさらに300かヶ所のステータショオン・と4,500台の自転車をそれぞれ配備する予定である<ref name = "yomiuri"/>。なお、ステータショオンは、300m間隔を目安に設置されている。

なおヴェリブの成功を受けて、パリ市では'''[[オートリブ]]（Autolib）'''と呼ばれる[[カーシェアリング]]システムの導入を計画中であが制動している。

利用するためには「利用者登録年間パス」の申請あるいは「短期チケット」の購入が必要となる。登録の際にパス申請あるいは「登録料」がかかチケット購入にあたり、それに加ぞれ期間別の料金と、毎次30分を越えて利る連続使用時間に応じた発生する「利用超過料」を支払う必要がある。なお、利用期間にかかわらず、利用前に、保証金として150[[ユーロ|€]]の引き落とし許可が条件となっているが、あくまでも引き落としの承諾が必要なだけであり、自転車の紛失や破損など、特別の場合を除いて実際にこの保証額が引き落とされるわけではない。ただし、自転車を24時間以内に返却しない場合は、保証金の一部、あるいは全額を支払う必要があるため注意が必要である。

また、Debitカード利用の場合は、実際に引き落とされる（2011/02/01 現地確認）{{tl|要出典}}。

=== 利用者登録短期チケット ===

ステータショオンにある「Borne（ボルヌ）」と呼ばれる端末で、[[クレジットカード]]を使って登録料金を支払い、Velib利用者コードが印字されたチケット、１日券ならば「チケ・ヴェリブ（TicketTicket Vélib'）1 jour」あるいは1週間券ならば「Ticket 7 jours」を受け取それぞれ購入する。使用できるクレジットカードは、[[集積回路ICカード|ICチップ]]の付いたカードのみとなっている。また、カード会社も[[ビザ]]、[[マスターカード|マスター]]、[[JCB]]、[[アメリカン・エキスプレス|Amex]]のいずれかの種類のものに限られており、4桁の[[パスワード|暗証番号]]も必要となる。料金はそれぞれ、1日券1ユーロ・,70€、1週間5ユーロ券8€となっており、チケットの有効期間中は再度自転車の利用に回数制限はない。また、登録料中にクレジットカードの暗証番号とは別に「任意の4桁」の暗証番号が求められるが、これはボルヌでの自転車利用や様々なサービスを支払うける場合に必要はなく、何度のでも借り、忘れないようにしなければならない。また、毎次30分を越えること自転車の連続利用には超過料金ができ別途発生し、チケット購入時に使用したクレジットカードへ請求される。

;1=== 年間パス ===

所定の申込用紙に記入した上で、顔写真などの必要書類及び所定の支払い方法を添えてヴェリブ事務局へ郵送する。郵送してから書類到着後2週間～1ヶ月ほどでカード「'''カルト・ヴェリブ（carte'''({{lang|fr|''Carte Vélib'）」'}})が届き、レンタルが可能となる。1年間の契約料は29ユーロ29€<ref>Vélib’Passionの場合は39€</ref>で、有効期間毎次30分以内の利用であれば再度登録超過料を支払う必要はなく、金もいらず期限まで何度でも借りることができ、特定のスタシオンにてボーナスの15分を事実上無限に加算できる。[[メトロ (パリ)|メトロ]]やバスの定期券である「NAVIGO」と組み合わせたカにチャードもジする[[オプション]]を申し込むことんだ場合は、任意のスタシオンにて手持ちのNAVIGOを有効にする必要ができある。

=== 利用超過料金 ===

利用料金は、利用した時間によって決められている。 最初の30分は無料となっているが、3029分59秒を過ぎると、31～6030～59分は1ユーロ、61～9060～89分は2ユーロ、その後30分延長するごとに4ユーロ4€の追加料金がかかる。

ヴェリブは短距離の移動手段として導入されており、各ステータショオンの自転車不足を防止し少しでも回転効率を高めるため、また自転車の盗難を防止するため、さらに既存の貸し自転車の民業圧迫を防ぐ目的から、長時間利用した場合の料金が高めに設定されている。しかしながら、30分以内に返却して、再び借り直すという方法も可能で、返却した度約2分後には自転車をすぐに再度借りる引き抜くこともができるので、遠方への移動もこの方法で超過料金がかからないようになっている。

返却時に最寄りのステータショオンに返却用の空きスペースがなかった場合、カードを駐輪ポイントボルヌの読み取り機に載せるか、チケットに印字されているVelib利用者コードを、そのステーションのボルヌに入力すれば、15分間無料時間が延長される。その際、いずれもカード発行時に決めた任意の4桁の暗証番号を求められる。

なお、地形的に坂の標高60m以上にあるステータショオンは空車になりやすいことから、標高の高い{{lang|fr|'''Bonus V'+'''}}（ボニュステ・ヴェープリュス）と言われるスタショオンにはボーナス特典を設け、この特典付きスタシオンでは返却した場合、次回以降、毎に15分間の無料利用ポイントができ得られるボーナス。尚この特典を得るは年間パス利用者には事実上無期限に加算していくことができ、高度のある場所への自転車供給を助長している。２つの異なる{{lang|fr|'''Bonus V'+'''}}同志の移動にはこのシステムは適用されない。

利用超過料の例：

[[ファイル:Vélib Sèvres-Lecourbe.jpg|250px|thumb|right|自転車が駐輪されているステータショオン]]

=== 1日もしくは券及び1週間の登録券 （券買）===

利用者登録が完了したら、自転車のレンタル依頼利用画面に自動的に切り替わるので、。ボルヌが表示したする駐輪ポイントの番号機{{lang|fr|''Point d'attache''}}の中から好きな任意の数字を選ぶ。するとび、その数字の駐輪ポイ機のタッチボタントのに触れるとランプが緑色から赤オレンジ色へ、次いで緑色の点滅に変わなり、自転車のロックが自動的に外解除されるので、60秒以内に駐輪ポイントのボタンを押して、自分で自転車を駐輪ポイントから引き抜くと、レンタル開始となる。2回目以降は、自分のVelib利用者コードと暗証番号を入力して、自転車のレンタル依頼利用画面に進み、上記の手順を踏めばレンタル開始むことなで再度利用が可能である。

[[レンタカー]]と同様に、利用を終えた後は必ずしも、借り利用申請をしたステータションと同じステーショオンに返却する必要はない。最寄りく、利用可能な任意のステーショ駐輪機（ランへ自由プは緑色になっていなければならない）へ返却することができる。ステーションの空いている駐輪ポイントに機へ自転車を返却し、接続すると緑色のランプが赤オレンジ色からへ、その後ビップ音を伴って緑色になったらり返却完了となる。

=== 1NAVIGO利用者及び年間の登録パス保持者 ===

カルト・ヴェリブやチャージされたNAVIGOを持っている場合は、駐輪ポイント機にある読み取り機に直接カードを載せると、その駐輪ポイントの同ランプが緑色から赤オレンジ色に変わり、自転車のロックが自動的に外解除されるので、自分で自転車を駐輪ポイントから引き抜くこと、レンタル開始となが出来る。返却については1日もしくは券や1週間券の場合と同様である。なお、カルト・ヴェリブには、あらかじめ5ユーロをチャージしておかなければいけない。これは、チャージした分から利用超過料金が徴収されるためである。チャージはクレジットカードを使って、ボルヌで行うことができる。また、前述の「Bonus V'+」ヘの返却を重ねることで、このチャージを行う必要がなくなる。

ボルヌは、利用者登録・利用料の支払い・レンタル依頼・残りの時間や返却の確認・近くにあるステータショオンの利用状況など、ヴェリブに関することはすべて行えるようになっている。また、言語も[[フランス語]]だけではなく、[[英語]]と[[スペイン語]]にも対応している（フランス語・英語のみのボルヌもあり）。操作は画面を操作する[[タッチパネル]]ではなく、画面の指示に従って、自分が希望する数字を下にある選択パネルで選ぶ。裏側には周辺の地図も取り付けられており、最寄りのステータショオンも確認することができる。フランス語・英語・スペイン語・[[ドイツ語]]・[[イタリア語]]・[[日本語]]の計6ヶ国語に対応しているボルヌもある。

安全な夜間運転のため、前後には自動的に点灯する安全灯、車輪には反射板が取り付けられている。前カゴには駐輪用の<!-- 自転車そのものを一時的なに駐輪するための際もので[[ひったくり]]防止用ではないが、柱走行中はそのように使用出来などくもない。がその場合は鍵はかからない -->[[ケーブル|ワイヤーケーブル]]が取り付けられていて、フレーム下部の穴に巻直接挿入することで鍵が引きつ抜ける盗難防止用チェーンも装備され方式になっている（鍵を再び鍵穴に挿入し時計方向に30°回すとワイヤーが抜ける）。ハンドル部分には、前述のホットラインサービスの電話番号や、使用上の注意点などが書かれている。フランスでは珍しい前カゴタイプとなっているのは、後ろに荷台を取り付けると、二人乗り運転を助長する恐れがあったためである。前カゴには[[ひったくり]]防止用のコードが取り付けられている。

自転車の利用者が増えることによりパリ市内の交通が混乱するのではないか、といった意見もある。フランス国内の交通規則では自転車は[[自転車専用道路]]、[[バスレーン]]({{lang|fr|'''[[:fr:Transport en commun en site propre|Couloir de bus]]'''}})、[[車道]]のいずれかを走行しなければならず、[[歩道]]での走行は禁じられている。そのため自動車の運転手が自転車に多くの注意を払う必要が出てくる、というのである。これについては、逆に自動車の運転マナーを向上させる良い機会ともなる。加えて自転車の利用者のマナーを懸念する声もある。歩道での走行や[[一方通行]]の道路での逆走など、交通規則に違反している利用者が多いことも事実である（現行犯の場合は罰金刑）。今後の利用者の行動にゆだねられていると言えよう。

利用の多い時間帯にはステータショオンの車両がすべて出払ってしまっていて借りられない、若しくは満車で返却できないというケースが生じることが多く、そのような際は最寄の他のステータショオンを探さなければならず、目的地への到着が大幅に遅れてしまうこともある。