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'''ゲット・バック・セッション''' (Get Back Session)とは[[ザ・ビートルズ]]が[[1969年]][[1月]]に行った、[[アルバム]]と映像のための[[セッション]]。'''トゥイッケナム・セッション'''-'''''Twickenham Session'''''とも呼ばれる<ref>厳密にはトゥイッケナム・セッションでは正式なレコーディングは行われておらず、発売されずに終わったアルバム"Get Back"のレコーディングのセッションとは異なる</ref>。[[ビートルズの解散問題#『ゲット・バック』セッション]]も参照のこと。
== 解説 ==
このセッションはビートルズの[[メンバー]]である[[ポール・マッカートニー]]が、崩壊しかけている[[バンド (音楽)|バンド]]を再び纏め上げようと「'''原点に返ろう'''=Get back」という[[コンセプト]]で行った。そにためデビュー当時のようにオーヴァー・ダビングを一切行わないアルバムを制作し、そのレコーディング風景を映画にしようという企画が始められた。
1969年1月2日から1月16日にかけてトゥイッケナム映画撮影所においてリハーサルとフィルム撮影を行った<ref>このリハーサルの模様は映画『[[レット・イット・ビー (映画)|レット・イット・ビー]]』に一部採用されている。</ref>。しかしメンバーには覇気がなく1月10日にはポール・マッカートニーとジョージ・ハリスンが衝突し、数日間ジョージは行方をくらましたと言われている。トゥイッケナム映画撮影所においてのリハーサルは正式にレコーディングされたものはなく<ref>トゥイッケナム・セッションからはジョンの"Queen says 'No' pot-smoking FBI members."という語りのみアルバム『[[レット・イット・ビー]]』に採用された(発売されずに終わったアルバム"Get Back"には一切採用されなかった)。</ref>、1月20日<ref>ただし、20、21日の2日間は録音機材の不調でレコーディングは行われなかった。</ref>にはフィルム撮影の関係から常用していた[[アビー・ロード・スタジオ]]ではなく、アップル社のスタジオにて本格的にレコーディングにかかる。
22日からは外部ミュージシャンとして[[ビリー・プレストン]](キーボード)が参加し、本格的なレコーディングにかかるもビートルズの不調は戻らなかった。メンバーが真面目にレコーディングした曲は少なく、多くは覇気のない即興演奏を始めたり、私語を交わしたり、突如スタンダー・ドナンバーを演奏したりするなどし、録音内容をカタログ化することは不可能だとさえ言われている。それでもプロジェクトを完成させようと行われたのが1月30日の「[[ルーフトップ・コンサート]]」であり、翌31日にライヴには不向きの「[[ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード]]」や「[[レット・イット・ビー (曲)|レット・イット・ビー]]」がレコーディングされアルバム制作および映画撮影は打ち切られた。
以後もレコーディング・セッションは断続的に続くが<ref>[[4月30日]]には「ゲット・バック・セッション」のオリジナル・コンセプトに反し「レット・イット・ビー」にリード・ギターのオーヴァー・ダビングがなされている。</ref>その間徐々にメンバーに覇気が戻り、7月からは本格的に『[[アビイ・ロード]]』の制作へと繋がっていく。
[[4月11日]]には「ゲット・バック・セッション」から初めての収獲となるシングル盤「ゲット・バックb/wドント・レット・ミー・ダウン」がリリースされるが、結局はこのシングル盤1枚だけで「ゲット・バック・セッション」は頓挫することになる。
5月28日にはアルバム"Get Back"が制作され、アルバム・ジャケットまでデザイン<ref>『[[プリーズ・プリーズ・ミー (アルバム)|プリーズ・プリーズ・ミー]]』のジャケットを真似たデザインが企画され、同ジャケットの写真を撮ったフォトグラファー、アンガス・マクビーンを起用して写真が撮られたが、この写真はのちに『[[ザ・ビートルズ1967年〜1970年]]』のジャケットに用いられた。</ref>されテスト盤も制作されたがリリースには至らなかった。
名目上、プロデューサーは[[ジョージ・マーティン]]となっているが、実際にはレコーディングに参加することも少なく、アルバム作成に関してはグリン・ジョンズが携わった。
結果的に、このセッションを通してポールの意図とは逆に、メンバーの不仲をより一層深めることとなってしまった。
=== "Get Back" 1969年5月28日盤 ===
==== アナログA面 ====
# [[ワン・アフター・909]] - ''One After 909''
#:1969年[[1月30日]]録音
#:『レット・イット・ビー』とは同じテイク
# [[ロッカー (曲)|ロッカー]] - ''Rocker''
#:1969年[[1月22日]]録音
#:インストゥルメンタル・ナンバー
# [[ラストダンスは私に]]~[[ドント・レット・ミー・ダウン]] - ''Save The Last Dance For Me''~''Don't Let Me Down''
#:1969年1月22日録音
#:本アルバムでは「ラストダンスは私に」は「[[マギー・メイ]]」とともに非オリジナル曲。[[ドリフターズ (アメリカ)|ドリフターズ]]の曲であり、日本では[[越路吹雪]]らのカヴァーで知られる。
# [[ドント・レット・ミー・ダウン]] - ''Don't Let Me Down''
#:1969年1月22日録音
#:シングル盤とは別テイク
# [[ディグ・ア・ポニー]] - ''Dig A Ponny''
#:1969年[[1月24日]]録音
#:『レット・イット・ビー』とは別テイク
# [[アイヴ・ガッタ・フィーリング]] - ''I've Got A Feeling''
#:1969年1月24日録音
#:『レット・イット・ビー』とは別テイク
# [[ゲット・バック]] - ''Get Back''
#:1969年[[1月28日]]録音
#:シングル盤と同じテイク
==== アナログB面 ====
# [[フォー・ユー・ブルー]] - ''For You Blue''
#:1969年[[1月25日]]録音
#:『レット・イット・ビー』とは別テイク
# [[テディ・ボーイ]] - ''Teddy Boy''
#:1969年1月24日録音
# [[トゥ・オブ・アス]] - ''Two OF Us''
#:1969年1月24日録音
#:『レット・イット・ビー』とは別テイク
# [[マギー・メイ]] - ''Maggie Mae''
#:1969年1月24日録音
#:『レット・イット・ビー』とは同じテイクであるがフェード・アウトする。
# [[ディグ・イット]] - ''Dig It''
#:1969年1月26日録音
#:『レット・イット・ビー』とは同じテイクであるが長い。
# [[レット・イット・ビー (曲)|レット・イット・ビー]] - ''Let It Be''
#:1969年[[1月31日]]、[[4月30日]]録音
#:シングル盤とは同じテイクであるがオーケストラはフューチャーされていない。
# [[ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード]] - ''The Long And Winding Road''
#:1969年[[1月31日]]録音
#:『レット・イット・ビー』とは同じテイクであるがオーケストラはフューチャーされていない。
# [[ゲット・バック]](リプライズ) - ''Get Back (Reprise)''
#:1969年[[1月28日]]録音
#:シングル盤と同じテイクのフェード・アウト後。
=== "Get Back" 1970年1月5日盤 ===
契約上ビートルズはさらに1枚のアルバムをリリースする必要があった。そのため1970年に入ってもレコーディングは進められた。トゥイッケナム映画撮影所でのリハーサル・セッションで本作を演奏し、曲に合わせてジョンがヨーコとワルツを踊っているシーンが映画『レット・イット・ビー』に含まれていたが正式なレコーディングは行われていなかった。「映画の内容と合うLPになるように」という要請がなされたため、それに従って「ゲット・バック・セッション」が終わって1年近く経った1970年1月3日にアビー・ロード第2スタジオで追加レコーディングされた。
ポールの「テディ・ボーイ」がトリミングされ、非「ゲット・バック・セッション」の「アクロス・ザ・ユニヴァース」が加えられた。
1月4日には「レット・イット・ビー」にさらなるオーヴァー・ダビングが行われたが、グリン・ジョンズはこの1月4日のオーヴァー・ダビング(マラカスやリード・ギター、ブラス、弦<ref>ブラス・弦のアレンジはジョージ・マーティンによるものであり、のちのフィル・スペクターの再制作に際して加えられたものではない。</ref>など)を採用しなかった。
==== アナログA面 ====
# ワン・アフター・909 - ''One After 909''
#:1969年1月30日録音
# ロッカー - ''Rocker''
#:1969年1月22日録音
# ラストダンスは私に~ドント・レット・ミー・ダウン - ''Save The Last Dance For Me''~''Don't Let Me Down''
#:1969年1月22日録音
# ドント・レット・ミー・ダウン - ''Don't Let Me Down''
#:1969年1月22日録音
# ディグ・ア・ポニー - ''Dig A Ponny''
#:1969年1月24日録音
# アイヴ・ガッタ・フィーリング - ''I've Got A Feeling''
#:1969年1月24日録音
# ゲット・バック - ''Get Back''
#:1969年1月28日録音
# レット・イット・ビー - ''Let It Be''
#:1969年1月31日、4月30日録音
==== アナログB面 ====
# フォー・ユー・ブルー - ''For You Blue''
#:1969年1月25日録音
# トゥ・オブ・アス - ''Two OF Us''
#:1969年1月24日録音
# マギー・メイ - ''Maggie Mae''
#:1969年1月24日録音
# ディグ・イット - ''Dig It''
#:1969年1月26日録音
# ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード - ''The Long And Winding Road''
#:1969年[[1月31日]]録音
# [[アイ・ミー・マイン]] - ''I Me Mine''
#:1970年[[1月3日]]録音
#:『レット・イット・ビー』とは同じテイクであるが、一部繰り返しがなくオーケストラはフューチャーされていない。
# [[アクロス・ザ・ユニバース|アクロス・ザ・ユニヴァース]] - ''Across the Universe''
#:1968年[[2月4日]]~[[8日|2月8日]]録音
# ゲット・バック(リプライズ) - ''Get Back (Reprise)''
#:1969年1月28日録音
== 脚注 ==
<references />
== 関連項目 ==
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