「遮断周波数」の版間の差分

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[[ファイル:Butterworth response.png|right|thumb|300px|[[バターワースフィルタ]]の[[周波数特性]]を表した[[ボーデ図]]。遮断周波数が示してある。]]
'''遮断周波数'''(しゃだんしゅうはすう)または'''カットオフ周波数'''([[英語{{lang-en-short|英]]: '''Cutoff frequency'''}})とは、[[物理学]]や[[電気工学]]におけるシステム応答の限界であり、それを超える周波数を持つ入力されたエネルギーは減衰反射したりする。典型例として次のような定義がある。
 
* 電子回路の遮断周波数: その周波数を越えると(あるいは下回ると)回路の利得が通常値の 3 dB 低下する。
'''遮断周波数'''(しゃだんしゅうはすう)または'''カットオフ周波数'''([[英語|英]]: '''Cutoff frequency''')とは、[[物理学]]や[[電気工学]]におけるシステム応答の限界であり、それを超えると入力されたエネルギーは減衰したり反射したりする。典型例として次のような定義がある。
* 電子回路の遮断周波数: その周波数を越えると(あるいは下回ると)回路の利得が通常値の 3 dB 低下する。
* [[導波管]]で伝送可能な最低周波数(あるいは最大波長)。
 
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== 電子工学 ==
[[電子工学]]での遮断周波数とは、その[[周波数]]を越える(あるいは下回る)と[[電子回路]]([[電話回線]]、増幅器、[[フィルタ回路]]など)の[[出力]]電力が[[通過帯域]]のそれに比較して <math>1/2\,</math> となる周波数を指す。[[電力]]は[[電圧]]の二乗に[[比例]]するため、そのときの電圧信号は通過帯域の <math>\frac{1}{\sqrt{2}}</math>&radic;2 となる。これは、&minus;3 [[デシベル|dB]] とほぼ等しい。この時、[[位相]]特性は<math>\&pi;/4\,</math> のずれを生じ、[[伝達関数]]の実部の[[絶対値]]と虚部の[[絶対値]]が等しくなる。 [[バンドパスフィルタ]]には2つの遮断周波数があり、その[[平均]]を[[中心周波数]]と呼ぶ。
 
== 通信 ==
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== 導波管 ==
[[導波管]]の遮断周波数とは、モードが伝播する最低周波数を意味する。[[光ファイバー]]では、'''遮断波長'''で考えることが多い。すなわち、[[光ファイバー]]や[[導波管]]を伝播する最大[[波長]]である。遮断周波数は、[[ヘルムホルツ方程式]]の[[特性方程式]]から求められる(進行方向の[[波数]]を 0 とした[[マックスウェルの方程式]]からき出され、それを周波数について解く)。従って、遮断周波数より低い周波数は伝播せず、減衰する。以下の導出では、損失のない反射面を想定している。''c'' は[[光速度]]であり、導波管を満たす媒質における光の[[群速度]]とする。
 
矩形の導波管では、遮断周波数は次の通りである。
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\omega_{c} = c \frac{\chi_{01}}{r} = c \frac{2.4048}{r}
</math>}}
ここで、<math>''r</math>'' は導波管の半径、<math>\chi_&chi;{{sub|01}</math>} は一次の第1種[[ベッセル関数]] <math>J_''J''{{sub|0}}(''r'' )</math> の解である。
 
[[光ファイバー|シングルモード・光ファイバー]]では、遮断波長は標準周波数の波長の約 2.405 倍である。
 
=== 数学的解析 ===
まず、[[マックスウェルの方程式]]から次の[[波動方程式]]を導き出す。
{{Indent|<math>
\left(\nabla^2-\frac{1}{c^2}\frac{\partial^2}{\partial{t}^2}\right)\psi(\mathbf{r},t)=0
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代入と時間微分により、次のようになる。
{{Indent|<math>
\left(\nabla^2 + \frac{\omega^2}{c^2}\right) \psi(x,y,z) = 0
</math>}}
このとき、関数 <math> \&psi </math>; は進行方向に垂直な方向にベクトル成分を持たない場(電場または磁場)を示している。これは導波管の固有モードの特徴であり、2つの場の一方が垂直方向となる。''z'' を導波管の中心軸に沿った方向とする。
 
次のような関数形式のみを考慮する。
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\psi(x,y,z,t) = \psi(x,y)e^{i \left(\omega t - k_{z} z \right)}
</math>}}
ここで、<math>k_z</math>''k{{sub|z}}'' は進行方向の[[波数]]である。結果として次の式が得られる。
{{Indent|<math>
\left(\nabla_\mathrm{T}^2 - k_{z}^2 + \frac{\omega^2}{c^2}\right) \psi(x,y,z) = 0
</math>}}
添え字 T は、進行方向と垂直方向の2次元の[[ラプラシアン]]であることを意味する。最後の段階は、導波管の形状に依存する。最も単純な形状は矩形である。その場合、次のような式を考える。
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</math>}}
垂直方向の波数は、導波管の縦横の長さを ''a'' と ''b'' としたとき、次のようになる。
{{Indent|<math>\begin{align}
k_{x} = \frac{n \pi}{a}, \\
</math><br />
<math>
k_{y} = \frac{m \pi}{b}
\end{align}</math>}}
ここで、''n'' と ''m'' は特定の固有モードを表している整数である。最終的な代入を行うと、次の式が得られる。
{{Indent|<math>
\frac{\omega^2}{c^2} = \left(\frac{n \pi}{a}\right)^2 + \left(\frac{m \pi}{b}\right)^2 + k_{z}^2
</math>}}
これは矩形導波管における[[分散関係]]である。遮断周波数 <math>\omega_&omega;{{sub|c}</math>} は進行方向の波数 <math>k_''k{{sub|z}</math>}'' を 0 として、この式を周波数について解けばよい。
{{Indent|<math>
\omega_\mathrm{c} = c \sqrt{\left(\frac{n \pi}{a}\right)^2 + \left(\frac{m \pi}{b}\right)^2}
</math>}}
波動方程式は遮断周波数以下でも成り立つが、その場合の進行方向の波数は虚数となる。したがって、電磁場は導波管の進行方向に対して[[指数関数的減衰|指数関数的に減衰]]する。
 
== 関連項目 ==