「大都会 (テレビドラマ)」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
Kzy-tkd (会話 | 投稿記録)
m編集の要約なし
4行目:
1962年の会社設立以来映画制作を活動の中心に置いていた石原プロが、初めて本格的にテレビドラマ制作を手掛けた作品である。製作された3シリーズとも[[正編]]であり、[[渋谷]]地域を管轄する[[警視庁]]の架空の警察署「'''城西警察署'''」管内を主な舞台とし、[[渡哲也]]演ずる刑事・'''黒岩頼介'''を主人公と位置付けている点は共通しているが、各シリーズ毎にほぼ完全に独立した世界観を構築しており、作品カラーも大きく異なるのが特徴である<ref>日本テレビ系放映『大都会』シリーズ・全132話</ref>。
 
脚本家・[[倉本聰]]と石原プロとの共同企画によるシリーズ第1作『[[大都会 闘いの日々]]』は、[[暴力団]]事件にスポットを当てた社会性の強い内容であった。警察の組織体制と捜査手法、暴力団事件の手口なども比較的リアルに描かれており、主に識者層から高い評価を得ていたものの<ref>[[洋泉社]]『[[映画秘宝]]』2012年5月号/山口剛インタビュー、『大都会 闘いの日々』DVD-BOX([[ポニーキャニオン]])解説書など</ref>視聴率は低迷。日テレの単独企画による第2シリーズ『[[大都会 PARTIIPARTⅡ]]』以降は事実上の原作者である倉本の手から完全に離れ、前作のキーポイントのひとつだった黒岩の内面描写などは大幅にオミットされる一方、銃撃戦やカースタントなどの[[アクション]]シーンを前面に出した内容が人気を博し、『[[太陽にほえろ!]]』『[[熱中時代]]』『[[新五捕物帳]]』などとともに当時の日テレを代表する看板シリーズのひとつに成長した<ref>[[日本テレビ放送網|日本テレビ]]出版部『[[青春ドラマ夢伝説]]』[[岡田晋吉]]著</ref>。
 
石原プロはかねてより『大都会』よりもスケールの大きな作品を望んでおり、そんな中で[[テレビ朝日]]から破格の条件を提示されたのを機に日テレのドラマ制作から撤退し、本作の設定・キャスト・スタッフをほぼ受け継いだ新シリーズ『[[西部警察]]』の製作を発表。一方、『大都会』は『PARTIIIPARTⅢ』の終盤時点で依然平均視聴率は20%を超える人気を誇っていたが、日テレは内部的な事情から続行を断念せざるを得ず<ref>[[日本テレビ放送網|日本テレビ]]出版部『[[青春ドラマ夢伝説]]』[[岡田晋吉]]著</ref>、『PARTIIIPARTⅢ』を最後に『大都会』シリーズは途絶えることとなった。
 
その後も日テレは『'''新・大都会'''』『'''にっぽんFBI'''』などと題された企画案を石原プロに提示するもいずれも実現せず、『大都会』を失った日テレ火曜21時枠は『[[大激闘マッドポリス'80]]』『[[警視-K]]』などの失敗で視聴率は低迷し、[[1981年]]春 - 秋期の『[[プロハンター]]』を最後に廃枠となり、『[[火曜サスペンス劇場]]』へとリニューアルされた。
 
なお、『PARTIIIPARTⅢ』は当初全55話予定であり、実際に制作された全49話の他、第50話「狙われたドライビング・スクール」、第51話「爆破時刻P・M2」、第52話「トラック・ターミナルの狂走」、第53話「戦慄の集金ツアー」、第54話「ショットガン咆哮」、第55(最終)話「絶体絶命」と題された6本のシナリオが存在するが、シリーズ終盤より石原プロが『西部警察』の制作準備に入ったために[[お蔵入り]]となったことから、事実上の[[打ち切り]]終了となった。
 
== テレビシリーズ ==
17行目:
** キャスト:[[渡哲也]]、[[仁科明子]]、[[篠ヒロコ]]、[[高品格]]、[[佐藤慶]]、[[神田正輝]]、[[石原裕次郎]] ほか
** 企画:[[岡田晋吉]]、[[小林正彦]] / プロデューサー:[[山口剛 (プロデューサー)|山口剛]]、[[石野憲助]]、森川一雄 / 音楽:[[伊部晴美]]、ゼロ座標(テーマ作曲:[[篠原仁志]])
* [[大都会 PARTIIPARTⅡ]]
** [[1977年]](昭和52年)[[4月5日]] - [[1978年]](昭和53年)[[3月28日]](全52話)
** キャスト:渡哲也、[[松田優作]]、高品格、[[小野武彦]]、[[峰竜太]]、神田正輝、石原裕次郎 ほか
** 企画:岡田晋吉、加藤教夫、小林正彦 / プロデューサー:山口剛、石野憲助 / 音楽:GAME、[[淡海悟郎|淡海悟郎&ミクロコスモスII]](テーマ作曲:[[杉本眞人]])
* [[大都会 PARTIIIPARTⅢ]]
** [[1978年]](昭和53年)[[10月3日]] - [[1979年]](昭和54年)[[9月11日]](全49話)
** キャスト:渡哲也、[[寺尾聰]]、[[星正人]]、高品格、小野武彦、峰竜太、[[苅谷俊介]]、石原裕次郎 ほか
27行目:
 
== パロディ・オマージュなど ==
* [[1978年]]に公開された[[東映]]映画『[[最も危険な遊戯]]』(主演:松田優作、監督:[[村川透]])は、制作会社こそ違えど『PARTIIPARTⅡ』の流れを大きく汲むものであり、共通するスタッフ・キャストも多い。
* [[ゆでたまご]]による漫画『[[キン肉マン]]』原作第14話「ザンギャク星人現る!の巻」には、『PARTIIIPARTⅢ』の黒岩、牧野、宮本らを模した「城西署の赤岩軍団」と名乗る刑事の集団が登場する。赤岩は劇中で死亡するが、後に“五分刈り刑事”としてアニメ版のレギュラーとなる。
* 『PARTIIIPARTⅢ』の後番組『[[探偵物語]]』第4話(制作第1話)「危険を買う男」では、クライマックスのアクションシーンにて工藤探偵が「おいおい、まるで『大都会PARTIIIPARTⅢ』じゃねえか」と呟くカットが存在する。
* [[瀬戸内シージャック事件]]をモチーフとした[[1982年]]の[[松竹]]映画『[[凶弾]]』(主演:[[石原良純]]、監督:村川透)では、警察に逮捕された仲間を心配する主人公・荒木(石原)が「すごくいじめられてるぞ、『大都会』みたいに」と呟く。『大都会』シリーズのメイン監督の一人であった村川透による「お遊び」と思われる。
* [[真船一雄]]による医療漫画『[[スーパードクターK]]』には、警視庁[[組織犯罪対策部|捜査第四課]]の刑事として、風貌が黒岩と酷似した「黒松丈助」というキャラクターが登場する。本作にはこのほか、「高品」「西城頼介」など、『大都会』のキャスト、登場人物、地名などを引用したと思われる名称が存在する。
* [[特撮]]ヒーロードラマ『[[特捜エクシードラフト]]』第25話「発進!超マシン」(脚本:[[宮下隼一]])は、『PARTIIPARTⅡ』第37話「銀行ギャング徳吉」(脚本:[[柏原寛司]])のプロットを流用した作品である。
* 本作と同時期に日本テレビ系で放映されていたアニメ『[[元祖天才バカボン]]』第74回Aパート「凶悪犯人大追跡なのだ」では、バカボンのパパが目玉のおまわりさんに対し「手柄を立てて大都会の太陽にほえろの署長になるのだ」と言って奮起させるシーンが存在する。本作は『大都会』と同じ[[鈴木清司]]が選曲を手掛けていたため、BGMやイメージブリッジなどは『闘いの日々』のサウンドトラックからの流用も多い。
* テレビアニメ『[[UN-GO]]』第2話「無情のうた」は、『闘いの日々』第8話「俺の愛した ちあき・なおみ」にオマージュを捧げた作品である([[會川昇]]『UN-GO 會川昇脚本集』著者コメントより)。