「かに座55番星e」の版間の差分

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== 物理的性質 ==
かに座55番星eは、地球と比べ、質量は7.8倍<ref name="natiogeo1"/>、直径は2.04倍<ref name="Astrophysics"/>であると推定されている[[地球型惑星]]である。いわゆる[[スーパー・アース]]に分類される。平均密度は5.07g/cm<sup>3</sup>と、地球より大きいにも関わらず、平均密度がほぼ同じである。これは、質量の5分の1が、水などの軽い物質でできている可能性がある<ref name="natiogeo1"/>。ただし、恒星から極めて近いため、表面温度は1760℃と推定され<ref name="AstroArts"/><ref name="nasa"/>もしくは2150℃<ref name="Yale">[http://news.yale.edu/2012/10/11/nearby-super-earth-likely-diamond-planet Nearby super-Earth likely a diamond planet ''YaleNews'']</ref>という非常な高温となっており、生命は存在しないと考えられている。かに座55番星eから見れば、かに座55番星Aは、地球から見た[[太陽]]の60倍も大きく、3600倍も明るく輝いていることになる<ref name="natiogeo2"/>。この高温のため、[[珪酸塩]]で出来た[[核 (天体)|核]]を中心とし、[[超臨界流体|超臨界水]]で出来た[[海]]が表面を覆っている可能性もある<ref name="Astrophysics"/><ref name="ArXiv1">[http://arxiv.org/abs/1110.4783 Improved precision on the radius of the nearby super-Earth 55 Cnc e - ''ArXiv'']</ref>。[[大気]]の成分は、高温の水蒸気と、水の一部が主星からの[[紫外線]]によって分解されて生じた遊離[[酸素]]が混ざった物であると考えられている<ref name="ArXiv2">[http://arxiv.org/abs/astro-ph/0508305 Origin and Ubiquity of Short-Period Earth-like Planets: Evidence for the Sequential-Accretion Theory of Planet Formation - ''ArXiv'']</ref>。また、もうひとつの説として、かに座55番星eが未発見の[[炭素惑星]]であるというシミュレーション結果がある。これは、主星のかに座55番星が[[炭素]]を多く含む恒星であり、またかに座55番星eが地球よりも大きな高温の惑星であることに由来する。この場合、表面は黒色の[[黒鉛]]で覆われており、内部に[[ダイヤモンド]]で出来た層を持つと考えられている<ref>[http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20121012003&expand#title ダイヤモンドでできた惑星を発見 ''ナショナルジオグラフィック ニュース'']</ref>。
 
[[ファイル:55cnc.jpg|thumb|left|250px|かに座55番星A系のそれぞれの惑星から見た恒星の明るさ。一番左がかに座55番星e。]]
 
かに座55番星eが地球と似た組成を持つ惑星である場合には、この2000℃に近い高温のため、[[珪酸塩]]で出来た[[核 (天体)|核]]を中心とし、[[超臨界流体|超臨界水]]で出来た[[海]]が表面を覆っている可能性もある<ref name="Astrophysics"/><ref name="ArXiv1">[http://arxiv.org/abs/1110.4783 Improved precision on the radius of the nearby super-Earth 55 Cnc e - ''ArXiv'']</ref>。[[大気]]の成分は、高温の水蒸気と、水の一部が主星からの[[紫外線]]によって分解されて生じた遊離[[酸素]]が混ざった物であると考えられている<ref name="ArXiv2">[http://arxiv.org/abs/astro-ph/0508305 Origin and Ubiquity of Short-Period Earth-like Planets: Evidence for the Sequential-Accretion Theory of Planet Formation - ''ArXiv'']</ref>。
 
また、もうひとつの説として、かに座55番星eが未発見の[[炭素惑星]]に近い、炭素と[[花崗岩]]で出来た惑星であるというシミュレーション結果がある<ref name="Yale"/>。これは、主星のかに座55番星が[[炭素]]を多く含む恒星であり、またかに座55番星eが地球よりも大きな高温の惑星であることに由来する<ref name="natio2012">[http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20121012003&expand#title ダイヤモンドでできた惑星を発見 ''ナショナルジオグラフィック ニュース'']</ref>。また、先述のような[[海洋惑星]]である場合には、水が豊富に存在することになるが、かに座55番星eの組成は、炭素や[[炭化ケイ素]]、[[炭化物]]、[[鉄]]、[[ケイ酸塩]]が主体であり、水はほぼ存在しない可能性が示されている<ref name="Yale"/>。この場合、表面は黒色の[[黒鉛]]で覆われており、内部に[[ダイヤモンド]]で出来た層を持つと考えられている<ref name="natio2012"/>。ダイヤモンドの全量はかに座55番星eの質量の1/3を占めており、これは地球の3倍もの質量に達する<ref name="Yale"/>。
 
かに座55番星eのパラメーターは、後の測定により何回か訂正されている。発見当初は地球の17.7倍(その後14倍)という[[ホット・ネプチューン]]であると推定されていた。このときには、[[天王星型惑星]]の質量を持つ初めての天体として、[[グリーゼ436b]]と同時に発表されている。その後、[[2011年]]までは質量は8.63倍、直径は1.6倍と考えられ、平均密度が11.58g/cm<sup>3</sup>と、[[鉛]]並みの密度がある風変わりな[[地球型惑星]]であると思われていた<ref name="astrobites">[http://astrobites.com/2011/05/01/the-mystery-of-exoplanet-55-cnc-e/ The mystery of exoplanet 55 Cnc e - ''Astrobites'']</ref>。その後、[[スピッツァー宇宙望遠鏡]]による2011年4月27日のトランジットと精密な視線速度の測定により、詳しい直径と質量が求められ、いくつかの訂正があった後に<ref name="Journal"/><ref name="ArXiv1"/><ref name="EPE2"/>現在の値に落ち着いた。