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== 概要 ==
夜間戦闘機の発祥は、[[第二次世界大戦]]前に各国が開発した、双発複座護衛戦闘機である。
夜間戦闘機には大きく分けて2つのタイプがあり、それぞれ「既存の機種を改造したもの」(Ju 88、Bf 110など)と「夜間戦闘機として新たに開発したもの」(He 219、P-61など)に分けることができる。
 
[[爆撃機]]の航続力の増大に伴い、従来の単発戦闘機では護衛機として随伴する事が不可能になり、代わってより大型で航続距離の長い双発戦闘機が護衛用として開発された。しかしながら双発戦闘機は単発戦闘機に比して鈍重であり、とても対戦闘機戦闘をこなす事ができず、結局は各国の双発戦闘機の試みは失敗に終わった。[[バトル・オブ・ブリテン]]における[[メッサーシュミット Bf110]]の実績が、顕著な例として挙げられる。
 
その後、可変[[ピッチプロペラ]]の実用化による低燃費化、[[増槽]]の採用により、単発戦闘機の航続力延伸が図られ、双発戦闘機は護衛戦闘機としての任務を外された。そこで各国は、双発複座戦闘機を別任務として活用し、[[偵察機]]、あるいは[[戦闘爆撃機]]などである。
 
双発戦闘機の別目的の活用として、もっとも有名になったのが、夜間戦闘機としての任務であった。昼間爆撃は敵戦闘機の迎撃による被害が大きいため、時と場合によって爆撃精度の低下を甘受し、夜間爆撃を行う場合が増加した。従来の単座戦闘機では夜間迎撃は困難であり(当然ながらそれが夜間爆撃の目的である)、それに代わって双発複座戦闘機が夜間迎撃任務に用いられるようになった。操縦士と機銃手が役割分担している複座戦闘機の場合は、昼間に比べて視界が悪い夜間であっても照準がつけやすく、また斜銃/[[シュレーゲムジーク]]のような対爆撃機専門の機銃を装備する事が可能であった。双発で大型である事から[[レーダー]]の搭載も容易であった。双発機の格闘戦能力では、対戦闘機戦闘は困難であっても、対爆撃機戦闘では問題が無かった(爆撃機よりも多少なりと運動性に優れれば、性能として十分であった)。
 
夜間戦闘機による迎撃が行われるようになると、同じく夜間戦闘機による爆撃機護衛も行われるようになった。双発戦闘機は格闘戦能力で単発機に対抗すする事は困難であったが、敵が同じ双発戦闘機であれば十分に対抗ができたからである。
 
夜間戦闘機には大きく分けて2つのタイプがあり、それぞれ「既存の機種を改造したもの」(Ju 88、Bf 110など)と「夜間戦闘機として新たに開発したもの」(He 219、P-61など)に分けることができる。上述の通り、初期の夜間戦闘機は、かつて失敗した双発複座護衛戦闘機の別任務への活用であったが、夜間戦闘機が普遍的なものになると、専任機が新たに開発されたのである。
 
[[Image:J1N-8s.jpg|thumb|250px|月光 風防の後方に突き出しているのが斜銃]]
夜間戦闘機の特徴としては、
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などがあげられる。また、日本軍とドイツ軍の一部の夜間戦闘機は、通常機体後方に向けた防御武装が強力である爆撃機に対し、[[機関銃|機銃]]を多くは斜め上方(一部機体は斜め下方にも)向けて装備し、併行して飛行しながら防御の薄い下側から連射を浴びせた。この搭載方式を日本では海軍が「斜銃」または「斜め銃」、陸軍が「上向き砲」、ドイツでは「[[シュレーゲムジーク]]」と呼ぶ。
 
夜間戦闘機といっても、用途は夜間での戦闘だけではなく、夜間での爆撃、偵察なども含まれることがある。
対義語で、昼間を主として活動する戦闘機のことを[[戦闘機#昼間戦闘機 (Day fighter)|昼間戦闘機]]という。一般的に、夜間戦闘機は昼間戦闘機よりも鈍重であり、昼間戦闘機を相手に戦うのは困難であり、昼間戦闘には用いられない。
 
夜間戦闘機といっても、用途は夜間での戦闘だけではなく、夜間での爆撃、偵察なども含まれることがある。偵察や爆撃は昼間戦闘機でも行う事があるが、双発で機体に余裕のある夜間戦闘機の場合は、より他任務に転用がやりやすかった。上述の通り、発祥となった双発複座戦闘機は、夜間戦闘機に用いられる以前より、偵察や爆撃任務に活用されている。
 
[[第二次世界大戦]]では多く活躍し、ジェット時代に入ってしばらくの間も夜間戦闘機の区別があった。しかしながら戦闘機に搭載する[[レーダー]]を用いた[[火器管制装置]]が発達すると、夜間のみならず荒天下においても戦闘が行えるようになった。また昼間戦闘機に比べて著しく鈍重ではなくなり、昼間戦闘にも用いられるようになった。それら夜間・昼間・荒天下全てに適合した戦闘機は、全天候戦闘機と呼ばれるようになり、夜間戦闘機なる呼称は消滅した。