「楔形文字」の版間の差分

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楔形文字の粘土板は恒久的な記録とするために[[窯]]で焼くこともでき、また恒久的に残す必要がないなら再使用することもできた。考古学者が発見した多くの粘土板は、粘土板が保存されていた建物が軍隊の攻撃時に焼かれ、結果的に焼成されて保存されたものである。
 
楔形文字は本来[[シュメール]]人によって[[シュメール語]]記録のために発明されたものである、[[メソポタミア]]全域で3000年にわたって用いられた。しかし、次第に近隣の他の民族に借用されていった。[[アッカド]]、[[バビロニア]]、[[エラム]]、[[ヒッタイト]]、[[アッシリア]]で楔形文字はそれらの民族固有の言語を書くのに用いられた。楔形文字は[[メソポタミア]]全域で3000年にわたって用いられた。とはいえ、シュメール人が磨き上げた楔形文字本来の[[音節文字]]的な性格は、[[セム語族]]などの言語話者には使い勝手のよくない仕組みだった。この事実に多くの言語学者が促され、シュメール文明が再発見される以前から、バビロニア文明に先立つ文明の存在を仮定していた。
 
シュメール楔形文字の後世の借用は、少なくともシュメール文字のいくつかの特徴を保存している。[[アッカド語]]文献は、シュメール語の[[音節]]を表す音節文字と一語にまるごと対応する[[表語文字]]を含んでいる。楔形文字の多くの文字が、音節と意味の両価を示している ([[:en:polyvalent]])。楔形文字が[[ヒッタイト語]]を書くのに借用されたとき、アッカド語の表語文字的な書き方が加えられ、その結果多くのヒッタイト語の単語が表語文字的に書かれたため、その音価を今日推定することはもはやできなくなった。音節文字と表語文字の複合した筆記システムの複雑さは、[[日本語]]の筆記システムの複雑さと比べることができる。日本語が漢字で書かれる場合は、ある文字は表音的で、ある文字は表意的に用いられ、文脈によって音価がまちまちに取られる。また、漢字から発展した純粋に表音的なカナもまた用いられる。楔形文字で書かれたヒッタイト語もまた同じような表記体系を持っていたのである。