「イスラームにおけるイーサー」の版間の差分

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'''イーサー''' ({{lang-ar|عيسى}}、ラテン文字転写例: `Īsā) は[[ナザレのイエス]]の[[イスラーム]]における呼称である。[[キリスト教]]において[[キリスト]](救世主)として信仰の対象とされるイエスは、イスラームでは[[イーサー]]と呼ばれ、[[イスラエル]]の子ら ( banī isrā'īl ) を新しい[[啓示]][[インジール]]のもと導くために送られた[[預言者]]と位置付けられる<ref>[[オクスフォード・イスラーム辞典]], p.158</ref>。本項ではイスラームにおける預言者としてのイーサーについて解説する。
 
[[ムスリム]]は[[クルアーン]]を神からの最終啓示だと信じているが、これによればイーサーは、神[[アッラー]]の命じた[[奇跡]]すなわち[[処女懐胎]]の結果、マルヤム( Maryam 、[[イエスの母マリア|マリア]]) を母として生まれた。イーサーを探索する動きから逃れられるよう、イーサーは奇跡を起こす力を、すべて神の許しのもと得た。[[イスラーム]]の教典によれば、イーサーは殺されることも[[磔]]にされることもなく、生き続けて[[天国 (イスラーム)|天国]]に上がったとされる。イスラームの伝承では、イーサーは[[最後の審判]]が近づけば地上に戻り、司法を復活させて偽の[[メシア]](al-Masīḥ ad-Dajjāl 。偽メシア、[[反キリスト]]) を打ち負かすと考えられている<ref name="EoQ"> Encyclopedia of the Qur'an , Jesus </ref><ref name="EoI-Isa">"Isa", [[イスラーム百科辞典]]</ref>。イスラームのすべての預言者同様、イーサーはムスリムであり、人々に向かって、神の意志に服従してまっすぐに進むよう説教したと考えられている。
 
イスラームは、「イーサーは人の姿をした神である、あるいは神の子である」といった考え方を拒絶しており、「イーサーは常人であって、他の預言者同様、神の言葉を広めるために選ばれた人間である」と主張する。イスラームの啓典は、[[シルク (イスラーム)|シルク]]( Shirk 。神以外の者の神格化)を禁じ、[[タウヒード]] ( tawhīd 。神の唯一性の概念)を強調する。
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=== 出生 ===
ムスリムはマルヤムによるイーサーの[[処女懐胎]]を信じており、クルアーンでもいくつかの章に亙って語られている。
クルアーンの物語によれば、寺院にこもっていたマルヤムを[[天使|マラーイカ]][[ジブリール]]([[ガブリエル]])が訪れる。
神の行動や伝達をジブリールが代理することは、イスラームでは一般的である。
神は精霊をも送り込んだ<!--by which he enlivened Adam アダムは活気づけられた?--><ref>Griffith, Sidney H. "Holy Spirit ." Encyclopaedia of the Quran</ref><ref>See:
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*{{Quran-usc-range|5|45|e=49|s=ns}}.</ref>。
 
イーサーは、彼のことばを信じた信者の一団弟子たち ( hawāriyūn ) の援助を受け、自身らを『アンサール( ansār 、神の助力者)』と称したとクルアーンは述べている。彼はまた、母マルヤムを訪れたのと同じ聖霊の支援を受けた<ref>See:
*{{Quran-usc|2|87|s=ns}}, {{Quran-usc|2|253|s=ns}}, {{Quran-usc|5|110|s=ns}}, cf. Griffith, Sidney H. "Holy Spirit." Encyclopaedia of the Quran
*Wherry, Sale (2000) p. 21
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最も一般的なのは「マルヤムの息子( Ibn Maryam )」という形であり、しばしば別の称号の前に置かれる。
イーサーはまた神の[[預言者#イスラム教における預言者|ナビー]]( nabī )であり[[使徒#イスラム教における使徒|ラスール]]( rasūl )であると認知されている。
「ワッディー( wadjih 。現世と来世の評価に値する)」「ムバラク( mubārak 。幸運な。他者への利益の源)」「アブドッラー( `abd-Allāh 、神の召使)」の語すべてがクルアーンでイーサーを指している<ref name="EoI-Isa"/>。
 
しばしば使用される称号には、他に[[メシア]]を意味する『アル・マスィ( al-Masīḥ )』がある。
これは[[キリスト教]]におけるメシアの概念とは異なり、例えばイーサーを含むイスラームのすべての預言者は死をまぬがれることはできず、いささかの神性をも分け与えられていないとみなす。
ムスリムの釈義学者は、クルアーンの「メシア」の語の使用について、天の恵みと栄誉により聖別されたイーサーの地位を示すもの、あるいは盲人の目に油を注いで清めるなど病気治療を助けたことを示すものと説明している。