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== 観測機器 ==
; PRISM(パンクロマチック立体視センサー)
一度に幅70kmの範囲を2.5mの高分解能で観測し、地表のデータを取得することを目的に設計されている。[[可視光線]]から[[近赤外線]]までの間のバンド(波長帯)の光を観測し、白黒画像を取得するパンクロマチック(全整色)センサー。直下視、前方視、後方視の3方向の独立した光学系で観測することにより、地表の凹凸を標高という形でデータを取得し、立体視画像の取得も可能である。それぞれの望遠鏡は3つの反射鏡とCCD検出器によって構成されている。
 
; AVNIR-2(高性能可視近赤外放射計2型)
[[1996年]]打ち上げの[[みどり_(人工衛星)|みどり]]に搭載されていたAVNIR(高性能可視近赤外放射計)の改良型の、可視光線から[[赤外線]]までのマルチバンド(複数の波長帯)の光を、バンドごとに計測するマルチスペクトル(多波長)センサー。マルチバンドの地上分解能がAVNIRの16mから10mと大幅に改良されている。赤、緑、青の3色+近赤外領域の4種類で観測することにより、多目的なカラー画像を製作する。また、ポインティング可能角度が40°から44°に改良されたことで、災害時などの緊急観測に迅速に対応でき、極域の一部を除く地球上すべての地域を、3日以内に観測することができる。
 
; PALSAR(フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダー)
[[1992年]]に打ち上げられたJERS-1([[ふよう1号]])衛星に搭載されていた[[合成開口レーダー]](SAR)の改良型センサ。衛星から発射した[[マイクロ波]]の反射を観測するセンサーのため、観測する領域の天候・昼夜等に影響されることなくデータを取得できる。また他国にはないLバンドを使用したレーダー衛星であり植生を透過した地表面の観測や地殻変動の観測に威力を発揮する。観測範囲や分解能が可変であり、柔軟な観測を可能にし、地球上すべての地域を5日以内に観測することができる。3つの観測モードがあり、高分解能モードでは10mの分解能による詳細な地域観測が可能である。SCAN SARとよばれる広域モードではやや解像度は劣るが、従来の合成開口レーダーの3~5倍に当たる幅250~300kmでの観測が可能である。ポラリメトリモードとよばれる多偏波モードでは、2種類(縦波と横波)のマイクロ波を送受信する。多偏波での送受信は世界初の技術であり、より詳細な地形データを観測することができる。
 
== 主な運用の推移 ==
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=== 光学衛星「だいち3号」 ===
2010年2月現在、光学衛星の'''陸域観測技術衛星3号(ALOS-3)'''、または'''だいち3号'''の「研究」フェーズが進行中である<ref>[http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/uchuu/015/gijiroku/1293950.htm 平成22年宇宙開発委員会(第7回)議事録](平成22年2月17日)</ref>。新たに、マルチスペクトルセンサーのバンドをさらに詳細に分析することができるハイパースペクトルセンサーを搭載する。これにより地表の属性までもより詳細に観測できるようになり、[[石油]]資源探査、[[植生]]の分布や農作物収穫量予想、[[バイオマス]]や工業排水観測、積雪の状態等が詳細に観測できるようになる。打ち上げは2016年度を予定している。
 
;性能<ref name="ALOS後継"/>