「鎌状赤血球症」の版間の差分

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鎌状赤血球[[遺伝子]]を持つ者は、日本にはほとんど見られないが、[[マラリア]]が比較的多く発症するアフリカにはかなり見られる。鎌状赤血球の遺伝子とマラリアの流行には深い関係がある。マラリアは幼児期にかかると、死に至る可能性が高い感染症である。つまり、鎌状赤血球症自体は保有者の生存に不利であるが、マラリア蔓延地域ではその遺伝子をヘテロに持つものは非保有者と比べて相対的に[[自然選択]]において有利であり(生存確率が高い)、この遺伝子が維持されていると考えられている。しかし保有者ばかりになれば、保有者同士の子にはホモで持つ者が増えるため、非保有者が[[頻度依存淘汰]]的に有利になり、非保有者の割合も一定に保たれていると考えられる。
 
ヘテロの遺伝子保因者は正常状態では60%が正常赤血球、40%が鎌状赤血球の状態である<ref name="seika">ヴォート 基礎生化学 東京化学同人社発行 ISBN 978-4807907120</ref>。[[マラリア#病原体|マラリア原虫]]は人体では赤血球内で増殖する<ref name="seika"/>。マラリア原虫に感染すると赤血球のpHは約0.4低下する<ref name="seika"/>。pHが低下すると[[ボーア効果]]により赤血球の鎌状化が進み、全身の赤血球の鎌状赤血球の割合が増加する<ref name="seika"/>。マラリア感染初期ではマラリア原虫が感染し鎌状化した赤血球は脾臓で優先的に除去される<ref name="seika"/>。感染後期では鎌状化した赤血球によりマラリア原虫は機械的に壊される<ref name="seika"/>。これらの機序によりヘテロ保因者はマラリアに対し耐性を発揮する。
 
==症状==