「大阪市電九条高津線」の版間の差分
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大阪市電の第三期線として開業した路線で、最後まで残った路線の一つである。
当初、湊町駅前駅 - 賑橋駅（西詰）間は[[大阪市電南北線|南北線]]と共用したため、共用区間を境として西線・東線に分けられていた。のちに湊町駅前駅 - 賑橋駅（東詰）間には'''九条高津連絡線'''と呼ばれる連絡線が敷設され、こちらも大阪市電全廃まで本路線の一部として残った。
== 路線データ ==
* 起点：安治川
* 終点：上本町六丁目
* 路線距離：5.607km
* 軌間：1435mm
* 架線電圧：直流600V
==
大阪市電第三期線の路線として、九条町を起点として安治川南二丁目に至る九条線と、松島二丁目から南堀江、西道頓堀五丁目、道頓堀北岸沿い、上大和橋、瓦屋町五番丁、高津町一番丁を経由して上本町六丁目に至る西道頓堀高津線が計画された。しかし、西道頓堀高津線は道頓堀川北岸の[[宗右衛門町]]を通ることから、沿線にあった花街から反対の陳情を受けていた<ref>(財)大阪都市協会『大阪市営交通90年のあゆみ』p.25</ref>。
1912年1月16日、風呂屋の煙突から出た火の粉を原因として、難波新地の遊郭の高楼から出火した火事は東西約1400m、南北約400mにわたって4885戸を焼失する大きな火事（[[南地|南の大火]]）となった。北の大火（天満焼け）で路線計画を変更して焼け跡を走ることになった[[大阪市電曽根崎天満橋筋線|曽根崎天満橋筋線]]と同様、西道頓堀高津線も境川から岩崎運河、木津川に架橋して湊町駅前を経由し、道頓堀南岸を走ることとなり、九条線とあわせた九条高津線（東線および西線）へと計画が変更された。
このとき、[[大阪ガス|大阪瓦斯]]が自社の岩崎工場への水運の支障を来すとして反対したため、難波新川より東側を走る東線だけが特許されたが、[[植村俊平]]市長や参与が引責辞職し、府や国に対する世論の高まりがあって、西線にも特許が与えられ、1914年3月1日に新川駅から上本町六丁目駅までの東線部分が開業。同年7月7日に難波新川駅と新川駅の間が開業し、南北線と接続した。
西線部分は東側より開業が遅く、まず1915年1月8日に日吉橋駅から湊町駅の仮駅までが開業、同年4月13日に南北線湊町停車場前駅まで延伸し、仮駅は廃止された。また同日、[[大阪市電築港線|築港線]]境川町駅から泉尾町駅間が開業。同年8月に泉尾町駅から日吉橋駅まで延伸、11月に[[大阪市電松島安治川線|松島安治川線]]安治川二丁目渡駅から境川町駅間まで延伸開業し、全線が開業した。戦時中に起点である安治川二丁目渡駅が廃止され、玉船橋駅に変更となっている。
全線開業した時点では湊町停車場前駅と難波新川駅間で南北線と線路を共用していたが、交通が輻輳したことから、1920年に南北線が走る難波新川西岸とは別に東岸に新線（九条高津連絡線）を敷設した<ref>辰巳博『大阪市電が走った街 今昔』p.45 - 47</ref>。連絡線開通後、賑橋を渡る部分は回送専用線となった。
戦後になって大阪市電の路線廃止が始まる中で、本路線では賑橋の西詰にあった賑橋駅から東詰にあった分岐点までを結ぶ回送線が1963年に廃止されたほかは存続し、1969年4月1日の大阪市電全廃によって全線廃止となった。
=== 年表 ===
* [[1914年]]（[[大正]]3年）
** [[3月1日]]：新川駅 - 上本町六丁目駅間が開業。
** [[7月7日]]：難波新川駅（2代）<ref>初代は南北線にあって1912年ごろ廃止。2代目も南北線の駅として1912年ごろ初代とは別の位置に開業し、九条高津線開業時に接続点に移設された。</ref> - 新川駅間が開業。
* [[1915年]]（大正4年）
** [[1月8日]]：日吉橋駅 - 湊町駅（仮）間が開業。
** [[4月13日]]：境川町駅 - 泉尾町駅間、および湊町駅（仮） - 湊町停車場前駅間が開業。
** [[8月3日]]：泉尾町駅 - 日吉橋駅間が開業。
** [[11月4日]]：安治川二丁目渡駅 - 境川町駅間が開業。全線開業。
* [[1918年]]（大正7年）[[8月4日]]：泉尾町駅を岩崎町駅に、三軒家駅を大正橋駅に改称。
* [[1920年]]（大正9年）[[12月28日]]：湊町停車場前駅 - 新川駅間に九条高津連絡線が開業。難波新川駅 - 新川駅間は回送専用線に。
* 1920年（大正9年）以降：汐干橋駅廃止。
* [[1922年]]（大正11年）
** [[8月16日]]：難波新川駅を賑橋駅（西詰）に改称。汐干橋駅復活。
* [[1923年]]（大正12年） - [[1925年]]（大正14年）：新川駅を賑橋駅（東詰）に改称。
* [[1926年]]（大正15年）[[8月7日]]：湊町停車場前駅を湊町駅前駅に改称。
* [[1931年]]（昭和6年） - [[1932年]]（昭和7年）：新櫨橋駅廃止。岩崎町駅を岩崎橋駅に改称。
* [[1944年]]（昭和19年）[[6月1日]]：安治川二丁目渡駅、汐干橋駅、岩崎橋駅、日吉橋駅、汐見橋駅、幸橋駅、住吉橋駅、賑橋駅（西詰）、戎橋筋駅、千日前駅、磐舟橋駅、下寺町駅、谷町九丁目駅を廃止。賑橋駅（東詰）が廃止となり賑橋東詰分岐点に。
* [[1945年]]（昭和20年）[[3月13日]]：戦災のため玉船橋駅 - 境川町駅間休止。
* [[1946年]]（昭和21年）[[7月1日]]：下寺町駅復活。
* [[1947年]]（昭和22年）[[11月1日]]：玉船橋駅 - 境川町駅間運転再開。
* [[1949年]]（昭和24年）[[10月1日]]：幸町一丁目駅開業。
* [[1950年]]（昭和25年）
** [[5月15日]]：幸町四丁目駅開業。
** [[9月1日]]：賑橋駅（西詰）復活。
* [[1952年]]（昭和27年）[[5月1日]]：戎橋筋駅が戎橋駅として復活。千日前駅復活。
* [[1953年]]（昭和28年）[[11月20日]]：汐干橋駅、谷町九丁目駅復活。
* [[1961年]]（昭和36年）11月1日：安治川二丁目渡駅（廃駅） - 玉船橋駅間が[[大阪市営トロリーバス|トロリーバス]]に転換。
* [[1963年]]（昭和38年）[[5月12日]]：賑橋駅（西詰） - 賑橋東詰分岐点間の回送専用線を廃止。
* [[1969年]]（昭和44年）[[4月1日]]：玉船橋駅 - 上本町六丁目駅間を廃止。全線廃止。
== 駅一覧 ==
* [[1959年]]（昭和34年）7月当時。
* 括弧書き（背景色が{{Bgcolor|#ccc|グレー}}）の駅は廃止・休止駅。
{| class="wikitable"
|+ 西線
!駅名||キロ程||接続路線||廃止日
|-
|style="background-color:#ccc;"|（安治川二丁目渡駅）||-0.2||大阪市電：[[大阪市電松島安治川線|松島安治川線]]||1944年6月1日
|-
|[[玉船橋|玉船橋駅}}||0.0||大阪市電：[[大阪市電松島安治川線|松島安治川線]]||
|-
|汐干橋駅||0.2|| ||
|-
|辰巳橋駅||0.9|| ||
|-
|境川町駅||1.2||大阪市電：[[大阪市電築港線|築港線]]||
|-
|[[岩崎橋 (大阪市)|岩崎橋駅]]||1.6|| ||
|-
|[[大正橋 (大阪市)|大正橋駅]]||1.9|| ||
|-
|style="background-color:#ccc;"|（日吉橋駅）||2.1|| ||1944年6月1日
|-
|幸町四丁目駅||2.2|| ||
|-
|style="background-color:#ccc;"|（汐見橋駅）||2.5|| ||1944年6月1日
|-
|桜川二丁目駅||2.8||大阪市電：[[大阪市電桜川中之島線|桜川中之島線]]、[[大阪市電西道頓堀天王寺線|西道頓堀天王寺線]]||
|-
|style="background-color:#ccc;"|（幸橋駅）||2.9|| ||1944年6月1日
|-
|幸町一丁目駅||3.1|| ||
|-
|style="background-color:#ccc;"|（住吉橋駅）||3.2|| ||1944年6月1日
|-
|style="background-color:#ccc;"|（湊町駅（仮駅））||*.*|| ||1915年4月13日
|-
|[[JR難波駅|湊町駅前駅]]||3.6||大阪市電：九条高津連絡線、[[大阪市電南北線|南北線]]||
|}
{| class="wikitable"
|+ 九条高津連絡線
!駅名||キロ程||接続路線||廃止日
|-
|[[JR難波駅|湊町駅前駅]]||0.0||大阪市電：九条高津線（西線）、[[大阪市電南北線|南北線]]||
|-
|style="background-color:#ccc;"|（賑橋東詰分岐点）||0.3||大阪市電：九条高津線（東線）||駅としては1944年6月1日廃止
|}
{| class="wikitable"
|+ 東線
!駅名||キロ程||接続路線||廃止日
|-
|賑橋駅||0.0||大阪市電：[[大阪市電南北線|南北線]]、[[大阪市電難波木津線|難波木津線]]||
|-
|style="background-color:#ccc;"|（賑橋東詰分岐点）||0.1<ref>賑橋（西詰） - 賑橋（東詰）間の距離は68mだった。今尾『日本鉄道旅行地図帳 10号 大阪』p.39</ref>||大阪市電：九条高津連絡線||駅としては1944年6月1日廃止
|-
|[[戎橋|戎橋駅]]||0.2|| ||
|-
|[[千日前|千日前駅]]||0.5|| ||
|-
|日本橋筋一丁目駅||0.8||大阪市電：[[大阪市電堺筋線|堺筋線]]||
|-
|style="background-color:#ccc;"|（磐舟橋駅）||1.0|| ||1944年6月1日
|-
|下寺町駅||1.3|| ||
|-
|谷町九丁目駅||1.7|| ||
|-
|[[上本町六丁目駅]]||2.0||大阪市電：[[大阪市電上本町線|上本町線]]、[[大阪市電上本町下味原町線|上本町下味原町線]]||
|}
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}
== 参考文献 ==
* {{cite book | 和書 | author = [[今尾恵介]]（監修） | year = 2009 | title = [[日本鉄道旅行地図帳]] - 全線・全駅・全廃線 | data = 2009-02-18 | publisher = [[新潮社]] | isbn = 978-4-10-790028-9 | volume = 10 大阪 }}
* {{cite book | 和書 | author = [[大阪市交通局]] | year = 1969 | title = 大阪市電廃止記念誌「市電」 ―市民とともに65年― | data = 1969-03-25 | publisher = [[大阪市交通局]] }}
* {{cite book | 和書 | author = [[大阪市交通局]] | year = 1980 | title = 大阪市交通局七十五年史 | data = 1980-03-31 | publisher = [[大阪市交通局]] }}
* {{cite book | 和書 | author = [[大阪市交通局]] | year = 1993 | title = 大阪市営交通90年のあゆみ | data = 1993-05-20 | publisher = [[大阪都市協会|財団法人 大阪都市協会]] | isbn = 4-900558-08-7 }}
* {{cite book | 和書 | author = [[辰巳博]] | editor = [[福田静二]] | year = 2000 | title = [[JTBキャンブックス]] 大阪市電が走った街 今昔 水の都の路面電車 定点対比 | edition = 初版 | data = 2000-12-01 | publisher = [[JTB]] | isbn = 4-533-03651-1 }}
[[Category:大阪市電|路くしようこうつせん]]
{{大阪市電}}
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