「核分裂反応」の版間の差分

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イットリウム95 とヨウ素139 が生成されるが、上式で元素記号の左肩に示した[[質量数]]は[[原子核]]の中に存在する[[陽子]]と[[中性子]]の和であり、右辺と左辺の[[核子]]数は等しいことがわかる。すなわち核分裂反応では反応の前後において質量数(質量とは異なる)は厳密に保存するのである<ref> 山本義隆、『新・物理入門 増補改訂版』、駿台文庫、2004年、319頁。ISBN 978-4-7961-1618-3 C7342</ref>。
 
しかし、質量数はあくまで陽子と中性子の総和であって質量ではなく、実際の原子核の質量は一般に質量数である陽子と中性子の質量の総和よりも小さい。この質量差を[[質量欠損]]と呼ぶ。質量欠損の実体は、[[特殊相対性理論]]の帰結である質量とエネルギーの等価性 '''[[E=mc²|<math>E=mc^{2}</math>]]''' で質量に換算される原子核内部の核子の結合エネルギーに他ならない。[[File:Binding_energy_curve_-_common_isotopes.svg|thumb|right|250px|[[核子]]1個あたりの結合エネルギーを表したグラフ。x軸が[[質量数]]、y軸が結合エネルギーである。核子とは[[陽子]]と[[中性子]]という原子核を構成している主要な物質の事であり、これをつなぎ合わせているのが結合エネルギーである。核子の一つである[[陽子]]はプラスの[[電荷]]を持っていて、ちょうど磁石の同じ極同士が反発するように、[[クーロン力]]で反発する。陽子だけであったらバラバラに砕け散ってしまう核子同士をつなぎとめている接着剤としての役目が中性子にはある。とくに陽子が多くなりすぎるとクーロン力が強まるから、原子番号が大きい(=陽子が多い)核種ほど中性子も多くなる。ところが中性子が多すぎてもバランスが悪くなってしまい、陽子と中性子のバランスが悪い核種は[[放射能]]を持っている。陽子と中性子が結合すると、つなぎとめている力がエネルギーに変わって、少し軽くなる。これが質量欠損のエネルギーであり、実質上結合エネルギー=質量欠損であり、これが小さいほど核反応が起こりやすく、大きいほど核反応が起こりにくい。ちょうど鉄のあたりで結合エネルギーが最大値を示している事がわかる。鉄より質量数が小さい原子核は[[核融合]]反応を起こしやすく、逆に鉄より質量数が大きい原子核は核分裂反応を引き起こしやすいと言うわけである。本文にもあるように、核反応が起こって反応の前後で質量欠損が変化すると、特殊相対論による質量とエネルギーの等価性によってその分のエネルギーが解放されるわけで、それを利用したのが核兵器や原子力、核融合というわけである。]]
 
よって、分裂前と分裂後の質量の差は結合エネルギーの差であり、核分裂を起こすとこの質量の差に相当するエネルギーが外部に放出される。上記の過程の質量差をエネルギーに換算すると、ウランの核分裂反応で放出されるエネルギーはウラン原子一つあたり約200[[電子ボルト|MeV]]となり、ジュール[[ジュール|J]]に換算すると3.2×10<sup>-11</sup>Jとなる。1グラムの単一の物質に含まれる原子数は[[アボガドロ定数]]÷質量数で与えられるから、1グラムのウラン235の中には、