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| 生地 = [[ファイル:Bergischer Loewe.svg|22px]][[ベルク公国]]、[[デュッセルドルフ]]
| 死亡日 = [[1557年]][[7月17日]]
| 没地 = {{ENGENG927}} [[ケント (イングランド)|ケント]]、 [[ヒーヴァー城]]
| 埋葬日 =  
| 埋葬地 = {{ENGENG927}} [[ロンドン]]、[[ウェストミンスター寺院]]
| 配偶者1 = [[ヘンリー8世 (イングランド王)|ヘンリー8世]]
| 子女 =
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'''アン・オブ・クレーヴズ'''('''Anne of Cleves''', [[1515年]][[9月22日]] - [[1557年]][[7月17日]])は、[[イングランド王国|イングランド]]王[[ヘンリー8世 (イングランド王)|ヘンリー8世]]の4番目の王妃(1540年結婚、同年離婚)。[[ドイツ語]]名は'''アンナ・フォン・クレーフェ'''('''Anna(Anna von Kleve''')Kleve)
 
== 生涯 ==
[[ユーリヒ=クレーフェ=ベルク連合公国|ユーリヒ=クレーフェ=ベルク公]][[ヨハン3世 (ユーリヒ=クレーフェ=ベルク公)|ヨハン3世]]の娘として生まれた[[ドイツ]]人のアンは、ヘンリー8世に[[プロテスタント]]の王妃をと希望していたヘンリーの家臣[[トマス・クロムウェル]]らの意向で王妃の候補に選ばれ、イングランドへ嫁ぐことになった。
 
家臣のクロムウェルから前もって見合い用のアンの肖像画を見せられたヘンリーは、その肖像画を一目で気に入り、若い使い走りの少年の姿に変装してこっそりアンの姿を見に行ったが、ヘンリーは実際のアンの顔を見て、「絵に描いてある女とは違う!」と激怒した。一方のアンも、ヘンリーの正体を知らなかったため、馴れ馴れしい中年男性に困惑したとも、無礼だと怒ったとも伝えられる。この肖像画は、クロムウェルが[[宮廷画家]]の[[ハンス・ホルバイン]]に依頼して描かせたものであったが、実際のアンの姿は肖像画に描かれていたほど美人でなかったと伝わる。クロムウェルはこの責任を取らされて後に[[ロンドン塔]]で[[斬首刑]]に処され、ホルバインは宮廷画家の身分を剥奪されて追放処分を受けることになった。
 
アンはわずか半年で王から離縁され、「王の妹」(the King's Beloved Sister)という称号と所領([[アン・ブーリン]]の邸宅のヒバー城もその中に含まれる)、年金を与えられ、ロンドン市内の[[ベイナーズ城]]で余生を送った。離婚の理由としては、かつて[[ロレーヌ公]][[フランソワ1世 (ロレーヌ公)|フランソワ1世]]と交わした婚約をきちんと解消していなかったことが選ばれた。しかし、彼女はその後も王室の行事のたびに国王やその子どもたちへの気前の良いプレゼントを持って現れており、周囲からは非常に好かれていたようである。
 
ヘンリー8世が学識にあふれ、音楽やダンスを好んだのに対し、(故国の女性教育を反映して)アンは[[ラインラント]]の[[ドイツ語]]しか話すことも書くこともできず、音楽やダンスの教育も受けていなかった。ラインラントの貴族女性の必須教育は刺繍などだったのである。しかし、イングランドに住むと決めて以降は英語に適応し、さほど不自由もしなかったようである。ただし小説などではよく、ドイツ語式にWをVと発音する人物と表現されている。
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* ダイクストラ好子「王妃の闘い」では、アンは実は美人だったが、最初に会った際の経緯からヘンリー8世が、アンと会うたびに自分が年を取ったことを思い出すので離婚したとしている。実際、ホルバイン以外の画家が描いた複数のアンの肖像画を見ても、ホルバインの描いたアンの肖像画とあまり違いはないようである。
* また、政治状況が変わったためクレーフェ公の援助を必要としなくなったことから結婚に消極的になった、という理由が多くの歴史書で挙げられている。
* Davidデイヴィッド・スターキー(David StarkeyStarkey)の ''"Six Wives"'' ではクレーフェ公との書簡を元に、[[キャサリン・ハワード]]の処刑後、アンがもう一度王妃に戻りたがっていたことが記されている。
* 石井美樹子「エリザベス 華麗なる孤独」の後書きによると、エリザベス1世について執筆中、[[ケンブリッジ大学]]図書館で見つけた書類の中に、ヘンリー8世の侍医がアンとの新婚初夜の翌朝「いかがでしたか」と聞くと[[ラテン語]]で「臭くて眠れなかった」とヘンリーが答えたと書いてあった。
 
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* ダイクストラ好子『王妃の闘い』
* 渡辺みどり『英国王室物語』
* Antonia Fraser ''"The six wives of Henry VIII"'', London: Phoenix, 1992, ISBN 1-84212-633-4
* Margaret Simpson ''"Elizabeth I and her Conquests"'', London: Scholastic, 2001, ISBN 0-439-95575-0
* David Starkey ''"Six Wives : Queens of Henry VIII"''
* Alison Weir ''"The six wives of Henry VIII"''
 
== 小説 ==
* フィリッパ・グレゴリー 『ブーリン家の姉妹4 悪しき遺産』、集英社文庫、上下巻
* Barnes, Margaret Campbell ''"My Lady of Cleves"''
 
{{Commons|Anne of Cleves}}