「Unix系」の版間の差分

'''Unix系'''（ユニックスけい、{{lang-en-short|'''unix-like'''}}、ユニックスライク）とは、{{lang|en|[[UNIX|Unix]]}} に類似した振る舞いをする[[オペレーティングシステム]]を指す言葉。「類似」の程度が厳密に定められているわけではないので、ある OS が "{{lang|en|Unix}}系"か否かについては、異なる意見もありうる。

この表現には、[[フリーソフトウェア]]や[[オープンソース]]のオペレーティングシステムで[[ベル研究所]]の {{lang|en|Unix}} やその機能を模倣した設計のもの、商用や[[プロプライエタリ・ソフトウェア|プロプライエタリ]]の類似製品や、果ては[[ライセンス]]された {{lang|en|UNIX}} の[[ソースコード]]に基づくものさえ（あまりに" {{lang|en|Unix}} 系"なので" {{lang|en|UNIX"}} 商標となるほど）含まれる。

== {{lang|en|UNIX}}® の商標問題 ==

ベル研究所の {{lang|en|Unix}} の設計や機能を模倣したオペレーティングシステムは多数存在するが、現在、'''{{lang|en|UNIX'''}} の名称は、[[The Open Group|オープン・グループ]]（{{lang-en-short|The Open Group}}） が[[商標]]を所有しており、彼らの管理する {{lang|en|[[Single UNIX Specification]]}} を満たすシステムのみが、その認証の証明として「{{lang|en|UNIX}}」を名乗ることができる。そこで、正式には「{{lang|en|UNIX}}」と呼ぶことができないが、それに類似するオペレーティングシステムを指す言葉として「{{lang|en|UNIX}}系」を用いることがある。

なお、The Open Group オープン・グループのガイドラインでは、「{{lang|en|UNIX}}」はすべて大文字で記述されるか、あるいは周りの文章と明確に区別され、「{{lang|en|system}}」などの一般的な言葉に対して商標であることを示す言葉として使用し、ハイフンのついた語句として使用しないよう推奨している。これに従えば「{{lang|en|unix-like}}」という表現も適切なものではなく、The Open Group オープン・グループでは商標の乱用であるとして認めていない。{{lang|en|UNIX}} 類似のオペレーティングシステムを指す言葉として The Open Group オープン・グループが正しいと考えるのに最も近い言葉は「{{lang|en|UNIX system-like}}」である<ref>http://www.opengroup.org/tm-guidelines.htm</ref>。

ただし、「[[ゼロックス]]」を[[複写機|コピー機]]の一般名称として用るのと同じように、「{{lang|en|UNIX}}」を[[商標の普通名称化|商標が普通名称化したもの]]として扱い、あえて「{{lang|en|Unix}}系」という言葉を用いないこともある。

一般的には {{lang|en|UNIX}} と類似のオペレーティングシステム全体を指して「{{lang|en|Unix}}系」と表現することもある。

{{lang|en|Unix}}系オペレーティングシステムには、[[AIX]]、[[HP-UX]]、{{lang|en|[[IRIX]]}}、{{lang|en|[[Linux]]}}、{{lang|en|[[Minix]]}}、{{lang|en|[[Ultrix]]}}、{{lang|en|[[XENIX|Xenix]]}} などのように、{{lang|en|Unix}} に似た名称がつけられていることが多いため、“Un「{{lang|en|Un*x”x}}」や “「{{lang|en|*nix”nix}}」のように[[婉曲法|婉曲的]] な略記法として[[ワイルドカード (情報処理)|ワイルドカード]]をつける人もいる（後者はアスタリスクがワイルドカードに用いられることに引っ掛けて "asternix" 「アスタニクス」と発音される）。こうしたパターンは、それほど多くの名前に当てはまるわけではないのだが、{{lang|en|[[Solaris]]}}、{{lang|en|[[FreeBSD]]}}、{{lang|en|[[Mac OS X]]}} といった全く異なる名前を持つものも含め、一般的にはいかなる {{lang|en|Unix}} の末裔たちも示すと認識されている。これも Open Group オープン・グループのガイドラインに反している。

2007 年現在、[[:en:Wayne {{仮リンク|ウェイン・R. Gray・グレイ|en|Wayne R. Gray]] }}と Open Group オープン・グループの間で {{lang|en|UNIX}} の名称を商標として使うことについての法的な闘争が行われている。<ref>[http://ttabvue.uspto.gov/ttabvue/v?qt=adv&pno=&qs=&propno=75680034&propnameop=&propname=&pop=&pn=&pop2=&pn2=&cop=&cn= TTABVUE. {{lang|en|Trademark Trial and Appeal Board Inquiry System}}]</ref> [[:{{仮リンク|商標審判部|en:|Trademark Trial and Appeal Board|商標審判部]]の法廷文書によると、Gray グレイの弁護団は Open Group オープン・グループに、商標の主張を裏付ける文書の提出を求めているようである。

また、2007年には、Open Group オープン・グループはドイツの[[カッセル]]大学に対し大学の略称として "「{{lang|de|UNIK" }}」を使わないよう強要した。

{{lang|en|UNIX}} の元々の製作者の一人である[[デニス・リッチー]]は、{{lang|en|Linux}} などの {{lang|en|Unix}} 系のシステムが[[デファクト]]の {{lang|en|UNIX}} システムであるという意見を述べている。[[エリック・レイモンド]]は、{{lang|en|Unix}} 系のシステムには次の 3 つの種類があるという考えを提案している:

;「遺伝上」の {{lang|en|UNIX}}

:これらのシステムは、{{lang|en|AT&T}} のコードベースに歴史的なつながりがある。ほぼすべての商用の UNIX システムはここに分類される。[[BSD]] システムもその一例であり、1970年代後半から1980年代初頭にかけての[[カリフォルニア大学バークレー校]]における成果の「末裔」である。これらのシステムには元々の {{lang|en|AT&T}} のコードは入っていないが、その「祖先」を AT&T の設計に遡ることができる。

;商標やブランド上の {{lang|en|UNIX}}

:これらのシステムは、ー（もともと大部分は商用のものであるが）オー [[The Open Group|Open Group]] プン・グループによって [[{{lang|en|Single UNIX Specification]]}} に準拠していると判断され、{{lang|en|UNIX}}® の名を名乗ることを許されたものである。こうしたのシステムのほとんどは {{lang|en|[[UNIX System V|System V]]}} コードベースからのさまざまな形態の派生物であり、一部のシステムは {{lang|en|POSIX}} 互換レイヤで {{lang|en|UNIX}} 商標をとった ( IBM の [[Z/OS|z/OS]] など) が、これらはそうでなければそもそも {{lang|en|Unix}} システムではない。{{lang|en|[[Ancient UNIX]]}} の多くはもはやこの定義に入らない。

;機能上の {{lang|en|UNIX}}

:広い意味で、{{lang|en|UNIX}} の仕様に合った振る舞いの {{lang|en|Unix}} 系のシステムの事を指し、より具体的には、 {{lang|en|UNIX}} と同様に振舞うが、「血統」や商標の上での {{lang|en|AT&T}} コードベースとのつながりのない {{lang|en|[[Linux]]}} や {{lang|en|[[Minix]]}} のようなシステムのことを示す。{{lang|en|UNIX}} 設計のほとんどのフリーソフトウェア/オープンソース実装は、「遺伝上」の {{lang|en|Unix}} であろうとなかろうとこの第三のカテゴリーに分類される。Open Group オープン・グループ仕様への認証を獲得する費用は高額だからである。

{{lang|en|[[Cygwin]]}} は、オペレーティングシステムではないが、{{lang|en|Microsoft Windows}} 上に {{lang|en|Unix}} に近い環境を提供する。

== {{lang|en|Unix}} 系システムの発展 ==

“Unix{{lang|en|Unix}}系”システムは 70年代後半や80年代初頭に登場し始めた。[[:{{lang|en:|{{仮リンク|Idris|en|Idris (operating system)|Idris]] (1978}}}}（1978年), [[:）、{{lang|en:|{{仮リンク|Coherent|en|Coherent (operating system)|Coherent]] (1983}}}}（1983年)）、[[:{{lang|en:|{{仮リンク|UniFlex|en|UniFlex]] (1985}}}}（1985年)）などの多数の[[プロプライエタリ・ソフトウェア|プロプライエタリ]]のシステムが {{lang|en|UNIX}} の学術機関のユーザーに利用できる機能をもとにビジネスを行うことを目標としていた。

後に 1980 年代、 {{lang|en|AT&T}} が {{lang|en|UNIX}} の商用ライセンスを許可した時、[[AIX]]、[[HP-UX]]、{{lang|en|[[IRIX]]}}、{{lang|en|[[Solaris]]}}、[[Tru64 UNIX|Tru64{{lang|en|Tru}}64]]、{{lang|en|[[Ultrix]]}}、{{lang|en|[[XENIX|Xenix]]}} などの多数のプロプライエタリのシステムが開発された。これらのシステムの間で発生した相互運用性の問題が、後に {{lang|en|[[POSIX]]}} や [[{{lang|en|Single UNIX Specification]]}} などの相互運用性の標準を策定することにつながった。

一方、1983 年に、{{lang|en|[[GNU]]}} プロジェクトが、[[{{lang|en|GNU]]}} と呼ばれるいかなるコンピューターのユーザーも自由に使用でき、学習、改変、再配布も自由なオペレーティングシステムを作り上げるという目的で始まった。{{lang|en|GNU}} と同じころ開発された多数の "{{lang|en|Unix}}系" オペレーティングシステムには、{{lang|en|GNU}} と相当な量のコンポーネントを共有しているものが多かった。(結果的に、これらを "{{lang|en|GNU"}} と呼ぶべきかで論争が起きた)

これらの OS はまず、{{lang|en|UNIX}} の低コストで制約の少ない代替物としての役割を果たした。[[BSD|4.4BSD]]、{{lang|en|Linux}}、Minix{{lang|en|MINIX}} などである。[[BSD/OS]] や {{lang|en|[[Mac OS X]]}} のように、こうしたシステムの商用の"{{lang|en|Unix}}系"システムの基となったものもある。特に、[[Mac OS X v10.5|{{lang|en|Mac OS X}} v10.5]] は、{{lang|en|Single UNIX Specification}} の認証を受けている<ref>{{lang|en|Apple - Mac OS X Leopard - Technology - UNIX.}} [http://www.apple.com/macosx/technology/unix.html http://www.apple.com/macosx/technology/unix.html]</ref>"UNIX"である。

BSD の変種は、実は {{lang|en|UNIX}} の子孫であり、カリフォルニア大学バークレイ校でベル研究所のソースコードを用いて開発されたものである。しかし、BSD のコードはそれ以降進化し続け、すべて {{lang|en|AT&T}} のコードを置換しようとしている。[[BSD]] の変種は ( v10（v10.5以降の {{lang|en|Mac OS X}} を除き) ）{{lang|en|Single UNIX Specification}} 準拠の認証を受けていないため、"{{{lang|en|UNIX'系'"}} と呼ばれる。

[[オープンソース]]の {{lang|en|Unix}} 系システムのベンダーは、認証のコストが法外に高いとみなされているため、仮に仕様に準拠していても、製品に {{lang|en|UNIX}} のブランドを求めようとしていない。''{{lang|en|Freenix''}} という用語がこうしたシステムを示すために用いられることがある。例として [[{{lang|en|GNU]]}}、[[{{lang|en|Linux]]}}、[[Minix]]{{lang|en|MINIX}}、[[{{lang|en|OpenSolaris]]}}、[[{{lang|en|Plan 9]]}}、[[BSD]] とその変種がある。BSD のうち特に有名なものとして、[[{{lang|en|FreeBSD]]}}、[[{{lang|en|NetBSD]]}}、[[{{lang|en|OpenBSD]]}} などがある。

現在プロプライエタリの {{lang|en|Unix}} 系システムは多数あり、[[AIX]]、[[{{lang|en|BeOS]]}}、[[{{lang|en|HP-UX]]}}、[[{{lang|en|IRIX]]}}、[[{{lang|en|Mac OS X]](10}}（10.4 以前)）、[[{{lang|en|LynxOS]]}}、[[QNX]]、[[{{lang|en|SCO OpenServer]]}}、[[{{lang|en|Solaris]]}}、[[Tru64 UNIX|Tru64{{lang|en|Tru}}64]] ([[Tru64 UNIX（{{lang|en|OSF/1]]}} に基づく)）、[[{{lang|en|UnixWare]]}}、[[{{lang|en|XENIX}}、{{lang|en|Xenix]]、[[VxWorks]]}} などが存在する。

* {{lang|en|[[BSD|Berkeley Software Distribution]]}}（BSD）

* [[Linuxディストリビューション|{{lang|en|Linx}}ディストリビューション]]

* {{lang|en|[[POSIX]]}}

* [http://www.linfo.org/unix-like.html {{lang|en|Unix-like Definition}}] - by The Linux Information Project (LINFO)

* [http://www.levenez.com/unix/ {{lang|en|UNIX history}}]?a history time line graph of most UNIX and Unix-like systems by Eric Levenez

* [http://grokline.net/ {{lang|en|Grokline's UNIX Ownership History Project}}]?a project to map out the technical history of UNIX and Unix-like systems