「タイプ (分類学)」の版間の差分

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国際藻類・菌類・植物命名規約に改称
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動植物ではタイプ、特にホロタイプは公開可能な状態で[[ハーバリウム]] (herbarium) や[[博物館]]に保存され、細心の注意の元に保管されるべきである旨が勧告されている(ICBN13 勧告7A1)。そのため、新種記載を行った研究者はそのタイプをこれらの機関に寄託するのが普通である。特に博物館にとっては、このような標本の管理は重要な役割の一つである。西洋では古くから、博物館や[[植物園]]が主導的に世界中の生物標本を集め、保管する役割を果たし、生物の分類学の進歩に大きく寄与した。しかし、日本ではそのような伝統が育っていないため、標本が個人管理の下で、場合によっては博物館所蔵の下にあっても粗雑な扱いを受ける例が少なくない。
 
また、先述のように特に[[ヨーロッパ]]、次いで北米諸国がその博物学的な伝統の下に、世界の多くの国々の生物のタイプを保存してきた。このことは、翻って考えると、欧米以外の国において自国や近隣地域の生物相の研究を独自に進めるようになった場合、参考にすべき標本が遠隔地にあることを意味する。日本においても、[[江戸時代]]後期から多くの生物標本が[[オランダ]]を通じてヨーロッパに運ばれ、また[[明治時代]]になっても来日した欧米の博物学者によって日本で採集された標本に基づいて種々の日本産生物が記載された。そのために、日本産の種でもヨーロッパやアメリカに出かけなくてはタイプ標本を確認することができず、しかもそのようなものは普通種であるために分布が広くて変異が多かったり、より希少な種を区別する際の急所になったりする場合が多く、それなしでは新たな分類学的研究が進められない分類群が大半を占め、日本における分類学研究の大きな足かせとなっている<ref>[[鈴木正将]] (1979)、「タイプ標本の重要性」、Atypus N.74:p.40-41</ref>。
 
細菌類では、ホロタイプをしかるべき微生物株保存機関に寄託することが義務づけられている (ICNB1990)。世界各国の保存機関は互いに協力してホロタイプを複数の機関に保存しており、研究・教育機関がどこの国にあってもホロタイプのクローンの分譲を受けることができる。