「イワヒバ科」の版間の差分

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{{出典の明記|date=2013年3月}}
{{生物分類表
|名称 = イワヒバ科<br />Selaginellaceae
|色 = lightgreen
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'''イワヒバ科'''((イワヒバか、[[学名]]:{{Sname||Selaginellaceae)}})は、[[ヒカゲノカズラ植物門]]に属する科のひと1つである。その姿は[[ヒカゲノカズラ科]]のものによく似ているが、いくつかの重要な点で異なっている。
 
== 概説 ==
イワヒバ科は唯一の属である'''イワヒバ属'''のみを含む。この属には約800の種が知られ、[[日本]]からは17種が知られているが、栽培されているものもある。
 
地上生のものから、岩や樹上に[[着生植物|着生]]するものまである。形態はさまざまで、基本的には細長い茎が枝分かれしながら伸び、その表面に鱗片状の葉を密生する。[[クラマゴケ]]のように小型で這い回るものは[[苔]]のように見える。[[カタヒバ]]やコンテリクラマゴケのように、一部の枝が立ち上がって、一般のシダの葉のような姿になるものもある。[[イワヒバ]]の場合には、根などが集まって直立した仮茎を作り、その先端に枝が集まるので、小さなヤシの木のような姿となる。
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== 担根体 ==
[[担根体]]は、このイワヒバ科と[[ミズニラ科]]に見られるもので、茎から下に伸び、そこから根を出す構造である。クラマゴケ類では観察がたやすい。地表を横に這う茎の分枝部から出る茎か根のようなもので、下向きに伸び、その先端部からは根が地中に伸びる。見かけ上は[[種子植物]]の[[気根]]のようなものである。
 
これが[[茎]]であるか[[根]]であるかについては、長く議論の対象となってきた。根であるとする説の根拠は、根と同じく正の[[屈地性]]を表し、構造的にも根と同じである点で、しかし[[根毛]]や[[根冠]]がない点では根とは異なる。また、茎であるとの説もあるが、先述のように根に近い性質が強く、葉を生じない点などで茎とは区別できる。むしろ根を生じる茎のような構造として、この類では根・茎・葉とこの担根体の4つから植物体は構成されているのだ、との考えもある。
 
== 胞子と前葉体 ==
この類イワヒバ科の胞子は茎の先端部に多数の[[胞子葉]]が集まってできた胞子葉穂の部分にできる。[[胞子嚢]]は胞子葉に包まれるようにして1つずつ生じるが、これには大胞子嚢と[[小胞子嚢]]の区別がある。両者は外見上の差はほとんどないが、大胞子嚢ではその中に4個の大胞子が、小胞子嚢には多数の小胞子が作られる。大胞子からは雌性の、小胞子からは雄性の前葉体が生じる。このような性質は、現生のシダ植物ではこの類、イワヒバ科以外では[[ミズニラ科]]と[[サンショウモ]]や[[デンジソウ]]など[[水生シダ類]]だけに見られるものである。
 
この胞子が発芽すると前葉体になる訳だが、この類イワヒバ科の前葉体は特殊で、胞子の壁を破って外へ伸び出す事なく、胞子の壁の中で成熟する。このような前葉体を、特に'''内生型'''という。雄性の前葉体では、胞子の内部に造精器が形成されるような格好になり、破れて[[精子]]を放出する。精子は先端に2本の[[鞭毛]]を持つ。雌性の前葉体の場合、胞子内部は細胞分裂し、胞子の壁の一部が破れて前葉体の一部がそこから顔を出し、そこに若干の根と造卵器が形成される。
 
このような前葉体を形成するのは、現生の[[シダ植物]]ではこの類イワヒバ科だけである。しかし、より広く考えれば、外で大きく発芽せずに発達する[[配偶体]]は[[種子植物]]に見られと共通すもの特徴である。イワヒバの前葉体の内部で受精が起こり、[[胚]]が発達する形は種子植物の[[胚嚢]]において卵細胞が受精して胚が発達するのと同じ形である。この類イワヒバ科において大胞子が胞子嚢内で発芽し、小胞子がそばに飛んできて発芽することで受精が起これば、これは種子植物の受粉とほぼ同じ現象に当たる。実際にそんなふうにして発芽するものもあるようである。
 
さらに、大胞子嚢の中の胞子が1個だけになり、胞子嚢を包む殻が胞子葉から生じて、胞子が外に出ずに発芽すれば、これを[[種子]]と呼ぶことができる。現在の種子植物はすべて[[大葉類]]に由来するものとされているが、かつては[[小葉類]]にも種子を持つものがあったとも言われている。
 
== 分類 ==
熱帯を中心に世界に800種が知られる。葉がすべて同型なものをコケスギラン亜属 subgen. ''{{Snamei|Selaginella''}} と、葉に二型があるイワヒバ亜属 subgen. ''{{Snamei|Stachygynandrum''}} を区別することもあり、これらを属の段階で分けとする説もあるが、定説はない。日本産の代表的なものを挙げる。
 
イワヒバ科 {{Sname||Selaginellaceae}}
* イワヒバ属 ''{{Snamei||Selaginella''}}
** コケスギラン亜属 ''{{Snamei|Selaginella''}}
*** [[コケスギラン]] ''{{Snamei|S. selaginoides''}} (L.) Link
*** [[ヒモカズラ]] ''{{Snamei|S. shakotanensis''}} (Franch. ex Takeda) Miyabe et Kudo
** イワヒバ亜属 ''{{Snamei|Stachygynandrum''}}
*** [[イワヒバ]] ''{{Snamei|S. tamariscina''}} (Beauv.) Spring
*** [[カタヒバ]] ''{{Snamei|S.involvens''}} (Sw.) Spring
*** [[クラマゴケ]] ''{{Snamei|S. remotifolia''}} Spring
*** [[オニクラマゴケ]] ''{{Snamei|S. doederrleinii''}} Hieron.
*** [[タチクラマゴケ]] ''{{Snamei|S. nipponica''}} Fr. et Sav.
*** [[コンテリクラマゴケ]] ''{{Snamei|S. unicata''}} (Desv.) Spring
 
{{Plant-stub}}
{{DEFAULTSORTデフォルトソート:いわひはか}}
 
[[Category:ヒカゲノカズラ植物]]