「フォッケウルフ Ta152」の版間の差分

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| ユニットコスト=
}}
'''Ta 152'''は、[[第二次世界大戦]]末期に[[ドイツ]]の航空機メーカー [[フォッケウルフ]]によって製造された[[クルト・タンク]]設計による高高度[[戦闘機]]。空冷エンジンを搭載し[[メッサーシュミット Bf109]]と並んで主力戦闘機として活躍した [[フォッケウルフ Fw190]]に液冷エンジンを搭載し高々度性能を改善させたFw190D-9をさらに発展させた、より本格的な高々度戦闘機であり、「究極のレシプロ戦闘機」と紹介されることもある{{sfn|矢吹|伊吹|市ヶ谷|嶋田|2005|p=37}}{{sfn|河野|2009|p=67}}{{refnest | group = * | 編注:何をもって究極とするかなど根拠はともかく、「究極のレシプロ戦闘機」はTa152Hについては良く用いられる文句であるようであり、書誌情報に示しているように2000年代に至っても用いられている。「究極の成層圏戦闘機」と言うバリエーションもある{{sfn|渡辺|1999|p=30}}。なお矢吹ら (2005) と 河野 (2009)は一般向けの三次資料、渡辺 (1999) は二次資料である。そうでなくとも本機はそのカタログスペック故か一部非常に高評価を与える文献が有る。鈴木五郎 (1975または2006) 第8章では同世代の列強戦闘機のカタログスペックを並べ「世界最強の戦闘機」、「第2次大戦最強の戦闘機」などとしており、野原茂 (1990) では、レシプロ戦闘機の極限とも言える高性能機としている。}}。ただし開発は遅れ、生産数も少数にとどまり、戦局には寄与しなかった。ある程度量産され実戦にも投入された、全幅14.44mと高いアスペクト比を持った主翼を装備する高々度戦闘機型のH-0、H-1型の他に、11mと従来のFw190と大差のない幅の主翼を持った標準戦闘機型{{sfn|野原|2009|p=54}}のC型なども開発された。
 
== Fw190 ==
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主として既に実用化され配備されていた[[ジェット機|ジェット戦闘機]]、[[Me-262]]の離着陸時の護衛に用いられたと言う説が一般的である{{sfn|長谷川|2007|p=75}}{{sfn|飯山|2004|pp=397-398}}{{sfn|同朋舎|1992|p=23}}。ただしこのような運用であれば結果的にはわざわざ高々度戦闘機としてTa152を開発せずともFw190D型で十分だったのではないかとの指摘もある{{sfn|野原|2009|p=76}}。
 
また、ヨーゼフ・カイル上級曹長は、 1945年2月21日の[[B-17_(航空機)|B-17]]撃墜を皮切りに、[[P-51 (航空機)|P-51]]、[[P-47 (航空機)|P-47]]各1機、[[Yak-9 (航空機)|Yak-9]]を2機撃墜し、Ta152で唯一の[[エース・パイロット|エース]]となった{{sfn|野原|2006|p=83}}<ref group = *>ただしこの文献はでは、Ta152に乗るまでに1機、B-17 1機、マスタング1機、機種不明5機、Yak2機とも読める。</ref>。{{sfn|野原|2009|pp=74-75}}他にも、僅かながら実戦に参加した機が、終戦までに戦果を記録している{{sfn|野原|2009|pp=74-75}}。また、敵機に撃墜されたTa152は存在しないとする文献言われてい{{sfn|フラッペ|ローラン|1999|p=460}}、1944年7月にフランス人エースの[[ピエール・クロステルマン]]の操縦するスピットファイアが[[ガーン]]上空で撃墜したともいう{{sfn|坂本|2002|p=118}}。<!-- 手記が日本語版でも出版されているため、後日要確認 -->
 
なお有名な逸話として次の様なものがある。終戦間際の頃、[[ベルリン]]南部の[[コットブス]]での会議に出席するため、タンクはTa152を操縦していた。その時、2機の[[P-51]]に遭遇してしまった。彼らに襲いかかられそうになった時、タンクは、水メタノール噴射装置を作動させた。するとTa152は急激に速度をあげ、P-51を完全に振り切ってしまったという{{sfn|フラッペ|ローラン|1999|p=9}}。''田中ら''によればこれはH-0型だったようだ{{sfn|田中|飯田|佐藤|2006|pp=26-27}}。長谷川 (2007) では、タンクは自身はあくまで民間人であるので戦闘はしない、との信条から逃走を選んだとしているが{{sfn|長谷川|2007|p=148}}、『栄光のドイツ空軍』では、タンクが自身を民間人と認識していると同時に、そもそもこの機体は武装はされていたものの実弾を搭載していなかったとされている{{sfn|成美堂出版編集部|2000|p=139}}。
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: Hシリーズはアスペクト比の高い主翼を持つ、高々度向け機体。最優先で開発された{{sfn|野原|2009|p=62}}。H-0は翼内燃料タンクを装備しない先行型{{sfn|野原|2009|p=97}}{{sfn|フラッペ|ローラン|1999|p=455}}。
: エンジンはJumo213Eを搭載。前述したが、Fw190D-9にも搭載されたものがJumo213Aで、これは1段2速過給器で離昇1750馬力、高度6000mで1500馬力、高度9800mで1020馬力と言うものであった。Jumo213E型は過給器を2段3速に改め、圧縮比を6.5から8.5と大幅に引き上げ、離昇出力は1750馬力と従来のままだが高々度性能は大きく向上し、高度9800mで1420馬力を発揮した{{sfn|野原|2009|pp=108-114}}。なおJumo213はDB603に比べ排気量は小さいが、回転数で馬力を稼いでいる{{sfn|野原|2009|pp=108-114}}。
: ''鈴木五郎''著『フォッケウルフ戦闘機』1979年 サンケイ出版 185項によれば、ユモ213Eあるいはユモ213Fが間に合わずにユモ213Aが搭載されていたといい、また「高々度戦闘機」を意味するHoenjägerの頭文字を取ってH型と名付けられたなどとしている<ref>この記述は文庫版で確認した。</ref>
 
; Ta152H-1
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* {{Citation |last=飯山|first=幸伸| year = 2007 | contribution = 16の視点から読み解くドイツ空軍機の実像 09 敵機より高く…成層圏での戦闘 | series = 歴史群像 第二次大戦欧州戦史シリーズ | volume = 26 | title = ドイツ空軍全史 | publisher = 学習研究社 | isbn = 978-4-05-604789-9}}
* {{Citation |last=河野|first=嘉之| year = 2009 | publisher = 新紀元社 | isbn = 978-4-7753-0529-4}} - いわゆる三次資料であるが、三次資料で「究極のレシプロ戦闘機」と称されている例として。
* {{Citation |last=坂本|first=明| year = 2002 | title = 大図解 20世紀の航空兵器ベスト100 | publisher = グリーンアロー出版社 | isbn = 4-7663-3341-1}} - 軍用機100機の紹介だけでなく、軍用機の基礎的なところもある程度解説されている。
* {{Citation |last=鈴木|first=五郎| year = 2006 | title = フォッケウルフ戦闘機 ドイツ空軍の最強ファイター | publisher = 光人社 | isbn = 4-76980-2487-4}} - 一部の記述の検証に利用したが・・・。
* {{Citation |editor=成美堂出版編集部| year = 2000| title = 栄光のドイツ空軍 第2次世界大戦のドイツ空軍戦略と最強戦闘機群 | publisher = 成美堂}}
* {{Citation |last1=田中|first1=義夫|last2=飯田|first2=雅之|last3=佐藤|first3=幸生|editor-first=義夫|editor-last=田中| year = 2006 | series = ミリタリーイラストレイテッド | title = ドイツ軍用機名鑑 1939-45 | publisher = [[コーエー|光栄]] | isbn = 4-7758-0368-9}}
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* {{Citation |editor=同朋舎| year = 1991 | contribution = フォッケ・ウルフFw190 "モズ" | title = 週刊Aircraft | volume = 123 | publisher = 同朋舎}} - 分冊百科。原著はイギリスのAerospace Publishing Limitedによる。日本語版監修は[[佐貫亦男]]、[[久保田弘敏]]。
* {{Citation |editor=同朋舎| year = 1992 | contribution = フォッケ・ウルフFw190/Ta152 "長鼻たち" | title = 週刊Aircraft | volume = 191 | publisher = 同朋舎}}
* {{Citation |last=野原|first=茂| year = 1990 | title = 図解 世界の軍用機史 1903‐45 | publisher = グリーンアロー出版社 | isbn = 978-4766331219}}
* {{Citation |last=野原|first=茂| year = 2003 | title = ドイツの最強レシプロ戦闘機 Fw190D&Ta152の全貌 | publisher = 光人社 | isbn = 4-7698-1162-4}}
* {{Citation |last1last=野原|first1first=茂| year = 2006 | title = ドイツ空軍戦闘機 1935-1945 メッサーシュミットBf109からミサイル迎撃機まで | series = 世界の傑作機 別冊 | publisher = 文林堂 }}
* {{Citation |last=野原|first=茂| year = 2009 | title = ドイツの最強レシプロ戦闘機 Fw190D&Ta152の全貌 | publisher = 光人社 | isbn = 4-7698-1162-4}} - 主にTa152の方に紙幅が割かれている。巻末に1945年2月に刷られた、Ta152H-0/H-1操縦技術用取り扱いマニュアルの一部が掲載されており、本書で掲載されている図版の多くはそれからの抜粋であると言う。電気系統整備マニュアル、航空補給廠向けのマニュアルも紹介されている。
* {{Citation |last1=長谷川|first1=忍| year = 2007 | title = 第2次大戦のドイツ軍用機列伝 | volume = 1 | publisher = 酣燈社 | isbn = 978-4-87357-265-9}}