「ペピ2世」の版間の差分

 

== 来歴 ==

 

ペピ2世の治世の間に州侯の勢力はますます拡大した。元々[[エジプト第5王朝|第5王朝]]以来、増大する官吏の人件費を確保するために、元来葬祭儀礼等に関わるピラミッド都市などの管理職や領地を、給与・恩賞として分与する政策を採っていた。この方法は少なくとも各官吏の職権と給与を確保する手段としては有効であり、第6王朝の長期安定と対外遠征の勝利はこうした措置によって得られた強力な官吏に支えられたものであった。そしてこうした役職や給与を下賜することによって王自体も官吏らに対する権威を保っていた。しかし、これは長期的には官吏の勢力を王の手の及ばない規模まで拡大させた。既に第6王朝の初期から州侯職を世襲する有力家系が発生しており、外戚のクウイ家もそうした家系の1つである。ペピ2世の治世後半にはこれら州侯に対する中央政府の統制は急激に緩んだ<ref>エジプト第6王朝の中央権力は継続的に弱体化したと見られがちであるが、中央政府の統制力が劇的に弱まるのはペピ2世の時代であり、少なくてもそれ以前においては王権はかなり強力な状態を維持していたとされている。</ref>。取り分け「上エジプト長官」（[[ヘリー・テプ・アー]]）が、[[上エジプト]]の地方神殿の管理権を手中に収めると上エジプトにおける第6王朝の影響力は大幅に減退した。<ref>こうしたピラミッド都市の問題については「ピラミッドと古王国の王権」『[[岩波講座世界歴史|岩波講座 世界歴史]]2』に詳しい。</ref>。