「フォトマスク」の版間の差分

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半導体に次ぐ市場規模を持つ液晶ディスプレイ用のフォトマスクでは、半導体とは状況が異なり微細化に大きな注力はなされず、基板サイズで製造ラインの世代を分類する Gx(Generation x)で表現すると、携帯電話用などの中小型パネルを生産するG3-G4の古く基板の小さい世代でも、マザーガラスの1辺が2mを超える最新のG8でも、プロジェクション方式の露光機の解像度の指標の1つである[[開口数]](NA)は殆ど変わらない。一方では、パネルと製造・検査装置の大型化が進んでおり、パネルメーカーや装置、部材メーカーの技術開発エネルギーの大半は大型化に注がれている。
 
フォトマスクも世代に合わせて大型化が進んでおり、半導体で使用する5インチ、6インチの正方形とは比較にならないほどの大きさとなっている。G5で520mm×800mm、G6では800mm×920mm、最新のG8では1,220mm×1,400mmと各辺共に1mを超えるサイズとなってきている。また、液晶を形成するガラスと異なり露光機内で基板周辺のみで保持されるフォトマスクでは、たわみを低減させるために板厚が非常に厚くなっており、G8世代では13mmに達する。その結果マスク重量は50kg程度の重さとなり、装置内保持機構のほかマスクの搬送等にも専用の設備が必要な状況となっている。また、G10世代ではさらに大型化し、短辺が約1,600-1,800mmと板厚は20mmを超え、G8世代の3-4倍の約150kgに達している。
 
現在、G8世代のマスクフォトマスクの価格は1枚あたり数千万円する。一般にTFTアレイ側の加工で4-6枚、カラーフィルター側の加工で4-7枚程度のマスクが必要であり、半導体同様にセットレベルでのマスクコストの高騰がいわれていた。そこへ2008年からの急激な景気後退によりパネルメーカーの収益が悪化、パネルやセット価格が大幅に低下したことからマスクに対する価格低下圧力が従来にも増して非常に強くなり、3年前と比較すれば単価は50%以上低下している。フォトマスクは、製造しようとするパネルの回路設計によってその都度デザインされ、加工される一点物であり、スケールメリットが出しにくい商材であること、パネルメーカーと比較してマスクメーカーの規模がやや小さく大規模投資が望みにくい一方で、市場規模に対してマスクメーカーの数がまだ多いことから、ほぼ全てのマスクメーカーの収益性は従来と比較して急激に悪化している。