「熱力学第二法則」の版間の差分
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{{出典の明記|date=2011年10月}}
'''熱力学第二法則'''(ねつりきがくだいにほうそく、
エネルギーの移動の方向と、エネルギーの質についていえば、例えば、[[液体]]を、電気的に加熱する時など、エネルギーは一方向にしか移動しないことは自明である。電気エネルギーは冷水を暖めることはできるが、熱水自体からは電気エネルギーは生じない。つまり、電気エネルギーは質の高いエネルギーであるが、温水のエネルギーの質は低い。
== 法則の表現 ==
この法則には様々な表現がある。
; [[ルドルフ・クラウジウス|クラウジウス]]の法則▼
: 低温の熱源から高温の熱源に正の熱を移す際に、他に何の変化もおこさないようにすることはできない。▼
▲;[[ルドルフ・クラウジウス|クラウジウス]]の法則
; [[ウィリアム・トムソン|トムソン]]の法則あるいはケルビンの法則▼
▲:低温の熱源から高温の熱源に正の熱を移す際に、他に何の変化もおこさないようにすることはできない。
: 一つの熱源から正の熱を受け取り、これを全て仕事に変える以外に,他に何の変化もおこさないようにする[[熱機関の理論サイクル|サイクル]]は存在しない。▼
▲;[[ウィリアム・トムソン|トムソン]]の法則あるいはケルビンの法則
; [[ヴィルヘルム・オストヴァルト|オストヴァルト]]の原理▼
▲:一つの熱源から正の熱を受け取り、これを全て仕事に変える以外に,他に何の変化もおこさないようにする[[熱機関の理論サイクル|サイクル]]は存在しない。
: ただ一つの熱源から正の熱を受け取って働き続ける熱機関([[永久機関|第二種永久機関]])は実現不可能である。▼
▲;[[ヴィルヘルム・オストヴァルト|オストヴァルト]]の原理
; クラウジウスの不等式▼
▲:ただ一つの熱源から正の熱を受け取って働き続ける熱機関([[永久機関|第二種永久機関]])は実現不可能である。
: ''n''個の熱源を考え、温度''T<sub>i</sub>''の熱源''i''(1≤''i''≤''n'')から''Q<sub>i</sub>''の熱を受け取り、その総和分の仕事<math>\sum_{i=1}^n Q_i</math>をするサイクルを作ると、<math>\sum_{i=1}^n \frac{Q_i}{T_i}\le0</math>である(''i''→∞の極限を考えると、熱源の温度を''T<sub>e</sub>''、受け取る熱を''Q''とすれば<math>\oint\frac{d'Q}{T_e}\le0</math>)。▼
▲;クラウジウスの不等式
▲:''n''個の熱源を考え、温度''T<sub>i</sub>''の熱源''i''(1≤''i''≤''n'')から''Q<sub>i</sub>''の熱を受け取り、その総和分の仕事<math>\sum_{i=1}^n Q_i</math>をするサイクルを作ると、<math>\sum_{i=1}^n \frac{Q_i}{T_i}\le0</math>である(''i''→∞の極限を考えると、熱源の温度を''T<sub>e</sub>''、受け取る熱を''Q''とすれば<math>\oint\frac{d'Q}{T_e}\le0</math>)。
これらの表現は全て[[同値]]である。まず、オストヴァルトの原理はトムソンの法則と全く同じ主張をしている。クラウジウスの法則とトムソンの法則は、それぞれの反例となるサイクルを認めると、[[カルノーサイクル]]との合成サイクルを作ることにより互いの反例が生じてしまう。つまり[[対偶]]を示すことにより同値であることが示せる。クラウジウスの不等式はカルノーサイクルを連結し合成サイクルを作ることによって、トムソンの法則と、それより導かれる[[カルノーの定理 (熱力学)|カルノーの定理]]を用いて示せ、またクラウジウスの不等式において''n''=1としたものはトムソンの法則そのものである。熱力学では伝統的にはクラウジウスの不等式を用いてエントロピーを定義し、それが増大することが証明されるが、エントロピーを他の方法を用いて定義し、かつエントロピー増大則を原理として認めれば、他の諸原理を示すことができる。
== 歴史 ==
<!-- === 法則の確立 === -->
{{節stub}}▼
=== マックスウェルの悪魔と情報理論 ===
{{Main|マクスウェルの悪魔}}
=== ボルツマン ===
: [[ルートヴィッヒ・ボルツマン|ボルツマン]]は、1872年[[H定理]]による熱力学第二法則の証明を発表した。しかし下記の[[時間の矢]]のパラドックスを指摘され、その証明の欠陥が指摘されることになった。しかし、その後その業績を引き継ぎGibbsが完成させた熱力学は化学反応や合金設計などの強力な基礎理論と発展している。しかも熱力学第二法則は「[[等確率の原理]]」と等価であるため中心極限定理と言われる正規分布を中心とした統計学の基盤も提供している。
:
{{節stub}}
== 現代における熱力学第二法則の展開 ==
現時点で「熱力学第二法則」は、データによる検証という意味では正しいが、証明(物理の証明とは、ある法則を別の独立した物理法則から導くこと。ここではミクロな物理法則から、マクロな法則である熱力学第二法則を導くこと。)は未完成であり、[[統計物理学]]の懸案事項の一つとなっている。本法則を確立するために、「
: 1993年に提案された「ゆらぎ定理」を用いる、時間の矢のパラドックスの解釈が提案されている。これは、時間の矢のパラドックスの解決の一つとして挙げられている。▼
▲*時間の矢のパラドックス
▲:1993年に提案された「ゆらぎ定理」を用いる、時間の矢のパラドックスの解釈が提案されている。これは、時間の矢のパラドックスの解決の一つとして挙げられている。
: マクスウェルの悪魔は情報処理を行っており、「[[ランダウアーの原理]]」により、''n'' [bit] の情報を消去するのに ''k''ln ''n'' の
; エントロピー増大の証明
▲*[[マクスウェルの悪魔]]の否定
: 現在下記の証明候補が挙げられている。▼
▲:マクスウェルの悪魔は情報処理を行っており、「[[ランダウアーの原理]]」により、''n'' [bit] の情報を消去するのに ''k''ln ''n'' の[[エントロピー]]が増大し、熱力学第二法則に反しないと説明されている(''k'' は[[ボルツマン定数]])。なお、ランダウアーの原理の統計力学的な証明は、特殊な形状のメモリについてはJarzynski等式を用いてなされているが、一般的な場合についてはなされていない。
:: '''Jarzynskiの不等式による証明'''(要確認)▼
▲*エントロピー増大の証明
:
▲:現在下記の証明候補が挙げられている。
▲::'''Jarzynskiの不等式による証明'''(要確認)
▲* [[リチャード・P・ファインマン|ファインマン]]の[[ブラウン・ラチェット]]
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{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}} -->
<!-- == 参考文献 == -->
== 関連項目 ==
<!-- {{Commonscat|}} -->
* [[熱力学]]
** [[熱力学第零法則]]
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== 外部リンク ==
* [http://www.ipmt-hpm.ac.ru/SecondLaw/index.en.html 熱力学第二法則の量子限界] {{En icon}}
* [http://proceedings.aip.org/proceedings/confproceed/643.jsp 熱力学第二法則の量子限界第一回世界会議] {{En icon}}
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{{DEFAULTSORT:ねつりきかくたいにほうそく}}
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