「日本司法支援センター」の版間の差分

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'''日本司法支援センター'''(にほんしほうしえんせんたー)は、総合法律支援法に基づき、[[独立行政法人]]の枠組みに従って、日本国が設立された[[法務省]]所管の[[法人]]で、総合法律支援に関する事業を迅速かつ適切に行うことを目的としている。
 
裁判制度の利用をより容易にするとともに、[[弁護士]]のサービスをより身近に受けられるようにするための総合的な支援の実施及び体制の整備に関し、[[民事]]、[[刑事]]を問わず、あまねく全国において、法による紛争の解決に必要な情報やサービスの提供が受けられる社会の実現を目指して、その業務の迅速、適切かつ効果的な運営を図っている。

愛称は'''法テラス'''で、「[[法令|法]]で社会を明るく照らす」「陽当たりの良いテラスのように皆様が安心できる場所にする」という思いを込める。
 
[[2006年]](平成18年)4月10日に設立され、同年10月2日から業務を開始している。
 
== 概要 ==
従来、日本では、私人間の法的トラブルに直面したとき、[[市町村]]役場などの[[行政機関]]や[[警察]]に相談することが多く、[[裁判所]]などの[[司法機関]]や[[弁護士]]、[[司法書士]]などの法律専門職に相談することは少なかった。その原因としては、司法的手段へのアクセスの悪さや、手続の煩雑さ、処理の遅さや不透明な費用報酬負担などが挙げられる。

特に[[過疎地]]においては、身近に法律専門職がいないことも多く、法的トラブルの不公平な処理に泣き寝入りする人も多かった。これは、[[法の支配]]をあまねく行き渡らせ、公平な[[裁判を受ける権利]]を保障する[[日本国憲法]]の理想に反する状況である。

また、行政経費を削減して「[[小さな政府]]」を実現するためにも、透明で公正な「法による紛争の解決」がより広く利用される事後統制機能([[行政指導]]などによる事前統制機能との対比)の充実が求められる。
 
そこで、このような司法制度利用の障害をなくし、法律専門職によるサービスをより身近に受けられるようにするための総合的な支援('''総合法律支援''')を推進するため、[[司法制度改革]]の一環として[[総合法律支援法]]が制定され、この「総合法律支援」に関する事業を迅速かつ適切に行うことを目的として、総合法律支援法により設立された。
 
 
[[法務省]]などの行政機関のみならず、[[最高裁判所 (日本)|最高裁判所]]をはじめとする司法機関、[[日本弁護士連合会]]、[[日本司法書士会連合会]]などの法律専門職の[[職能団体]]も運営に携わる。主たる事務所は[[東京]]に置かれ、[[資本金]]は[[日本政府が出資する。役職員は[[みなし公務員]]となる。国の[[都道府県庁所在地]]と[[函館市]]・[[旭川市]]・[[釧路市]]の計50か所に[[地方事務所]]、[[地方事務所]]の[[支部]]を計11か所、[[出張所]]を計9か所設置するほか、大きな都市や、[[弁護士]]や[[司法書士]]がいない地域などにも、必要に応じて地域事務所(計36か所)を設置している。
 
役職員は[[みなし公務員]]となる。全国の[[都道府県庁所在地]]と[[函館市]]・[[旭川市]]・[[釧路市]]の計50か所に[[地方事務所]]、[[地方事務所]]の[[支部]]を計11か所、[[出張所]]を計9か所、地域事務所を計36か所設置している。
 
 
また、[[日本司法支援センター]]に[[常勤]]する[[弁護士]]もおり、各種サービスを提供する。
 
[[日本司法支援センター]]の[[常勤]][[弁護士]]は、[[判事]]・[[検事]]と同等の[[待遇]]が手厚く保障されている。
 
 
[[理事長]]は、[[弁護士]](元[[日本弁護士連合会]][[会長]])の[[梶谷剛]]。
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次の5つがある。
#情報提供業務 - 法的トラブルの解決に役立つ法制度の情報提供を行う。また、一般国民は、全国各地の事務所で、支援センターの専門職員に法的トラブルについて相談することができる。相談を受けた職員は、相談内容に応じて、最も適した機関や団体([[弁護士会]]や司法書士会、地方公共団体など)を紹介する。[[インターネット]]での情報提供や[[電話]]による相談も受け付ける。ただし、個別の事案に関する具体的なアドバイスや対処法などの法律相談とは異なる。
 
#[[民事法律扶助]]業務 - 資力の乏しい国民に対して、無料の法律相談を行う。弁護士や司法書士に支払う裁判代理費用や書類作成費用の立て替えも行う。
 
#[[国選弁護制度]]、国選付添人、国選被害者参加弁護士関連 - [[捜査]]段階での[[被疑者]][[弁護]]から、[[起訴]]後の[[被告人]]弁護まで、刑事手続の各段階を通じて、一貫した刑事弁護体制を整備する。[[少年保護手続]]における国選[[付添人]]、[[被害者参加制度]]における国選被害者参加弁護士の選任手続も取り扱う。
 
#[[犯罪]]被害者支援業務 - 被害者支援に通じた弁護士や専門機関の紹介や情報提供を行う。
 
#司法過疎対策 - 司法過疎地域(法律専門職の少ない地域)での法律サービスを行う。