「日本国憲法第96条」の版間の差分

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== 修正条項論 ==
「この憲法と一体を成すものとして」とは、改正条項が「日本国憲法と同じ基本原理の上にたち、同じ形式的効力をもつもの」であることを示すと解されている<ref>[[芦部信喜]]著・高橋和之補訂『憲法 第四版』、岩波書店、2007年。</ref>。[[アメリカ合衆国憲法]]と同じ[[アメリカ合衆国憲法修正条項|増補の方式]](改正後も原条文はそのままにして、修正第1条・修正第2条…と修正条項を増補する方式)を要求する趣旨だという特別の意味は、含まれていないと解される。また、全部改正についても、憲法改正権の限界を逸脱するものでないかぎり、必ずしも排除されているわけではないと解される。
 
==比較==
各国憲法の改正に関する条項は、以下の通り<ref>以下いずれも、{{Cite book
|author = 初宿正典
|coauthors = 辻村みよ子編
|year = 2010年
|title = 新解説 世界憲法集 第2版
|publisher = 三省堂
|isbn = 978-4-385-31303-0
}}</ref>。
{|class="wikitable" style="font-size:80%; "
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!憲 法
!内 容
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![[アメリカ合衆国憲法]]
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;第5条〔憲法修正〕
:連邦議会は、両議院の3分の2が必要と認めるときは、この憲法に対する修正を発議し、または各州中3分の2の議会の要請あるときは、修正発議を目的とする憲法会議(Convention)を招集しなければならない。いずれの場合においても、修正は、4分の3の州議会によって承認されるか、または4分の3の州における憲法会議によって承認されるときは、あらゆる意味において完全に、この憲法の一部として効力を有する。上記の2つの承認方法のいずれによるかは、連邦議会の定めるところによる。ただし、1808年前に行われる修正によって、第1条第9節第1項および第4項の規定に変更をきたすことはできない<ref>1808年以前においては、憲法修正によって黒人奴隷の輸入を禁止し、また奴隷に対して過大な人口割を課することはできない、という趣旨を確認したものである。</ref>。また、いずれの州も、その同意なしに、上院における平等の投票権を奪われることはない。
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![[イタリア共和国憲法]]
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;第2節 憲法の改正、憲法的法律<br/>第138条〔憲法の改正、憲法的法律の手続〕
:1 憲法改正法律およびその他の憲法的法律は、各議院において、少なくとも3か月の期間をおいて引続き2回の審議をもって議決される。そして、第2回目の表決においては各議院の議員の絶対多数でもって可決される。
:2 前項の法律は、その公布後3か月以内に、一議院の議員の5分の1、50万の有権者または、有効投票の過半数で可決されない限り、審署されない。
:3 第1項の法律が、各議院の第2回目の表決において、その議員の3分の2の多数で可決されたときは、人民投票は行われない。
;第139条〔憲法改正の限界〕
:共和政体は憲法改正の対象となることができない。
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!nowrap| [[ドイツ連邦共和国基本法]] 
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;第79条〔基本法の変更〕
:(1) 基本法は、基本法の文言を、明文で変更しまたは補充する法律によってのみ、変更することができる。講和の法律、講和の規律の準備、もしくは占領法秩序の除去を対象とし、または、連邦共和国の防衛に役立つべく定められている国際法上の条約の場合には、基本法の規定がそれらの条約の締結および発効の妨げとはならないことを明らかにするためには、このことを明らかにすることに限定した基本法の文言の補充で足りる<ref>第1項第2文は、1954年3月26日の第4回改正法律で付加。</ref>。
:(2) このような法律は、連邦議会構成員の3分の2および連邦参議院の票決数の3分の2の同意を必要とする。
:(3) この基本法の変更によって、連邦の諸ラントへの編成、立法に際しての諸ラントの原則的協力、または、第1条<ref>「人間の尊厳、人権、基本権の拘束力」に関する条項。</ref>および第20条<ref>「連邦国家、権力分立、社会的連邦国家、抵抗権」に関する条項。</ref>にうたわれている基本原則に触れることは、許されない。
;第146条〔基本法の失効〕<ref>1990年8月31日調印の統一条約第4条により変更。</ref>
:この基本法は、ドイツの統一と自由の達成後は全ドイツ国民に適用されるが、ドイツ国民が自由な決断で議決した憲法が施行される日にその効力を失う。
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![[フランス共和国憲法|フランス第五共和国憲法]]
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;第16章 改正(De la Révision)<br/>第89条〔憲法改正〕
:1 憲法改正の発議権は、首相の提案に基づいて共和国大統領に、および国会議員に、競合して属する。
:2 政府提出改正案または議員提出改正案は、第42条第3項に定める期間に関する要件に従って審議され、両議院によって同一の文言で表決されなければならない。改正は、人民投票によって承認された後に確定的となる。
:3 ただし、〔政府提出の〕改正案は、共和国大統領が両院合同会議(Congré)として招集される国会に付託することを決定したときは、人民投票にはかけられない。この場合、〔政府提出〕改正案は、有効投票の5分の3の多数を集めなければ、承認されない。両院合同会議の理事部は、国民議会の理事部とする。
:4 領土の一体性が侵害されているときは、いかなる改正手続も、着手され、あるいは継続されることはできない。
:5 共和政体は、これを改正の対象とすることができない。
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![[スイス連邦憲法]]
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;第4編 国民およびカントン<br/>第2章 イニシアティヴとレファレンダム<br/>第138条(連邦憲法の全面改正のための国民イニシアティヴ)
:1 10万人の有権者は、そのイニシアティヴが官報に公示されてから18か月以内に、連邦憲法の全面改正を要求することができる。
:2 この要求は、国民の意見を聞くための投票に付されなければならない。
;第139条(連邦憲法の部分改正のための国民イニシアティヴ)
:1 10万人の有権者は、そのイニシアティヴが官報に公示されてから18か月以内に、連邦憲法の部分改正を要求することができる。
:2 連邦憲法の部分改正のための国民イニシアティヴは、一般的な提案形式、または完成された草案形式をとることができる。
:3 イニシアティヴが、形式の統一性、対象の統一性、あるいは国際法の強行規範を侵害する場合、連邦議会は、イニシアティヴの全部あるいは一部を無効と宣言する。
:4 一般的な提案形式によるイニシアティヴに同意する場合、連邦議会は、イニシアティヴの趣旨にそって部分改正案を起草し、それを国民とカントンの意見を聞くための投票に付する。イニシアティヴを拒否する場合、連邦議会は、国民の意見を聞くためにイニシアティヴを投票に付する。国民は、作業を続行する必要性があるか否かについての決定を行う。国民が続行することに同意する場合、連邦議会は、イニシアティヴの要求にそった法案を作成する。
:5 完成された草案形式によるイニシアティヴは、国民とカントンの意見を聞くための投票に付される。連邦議会は、イニシアティヴの可決あるいは否決を勧告する。連邦議会は、イニシアティヴに対案を付すことができる。
;第139b 条(イニシアティヴと対案の投票手続)
:〔省略〕
;第140条(義務的レファレンダム)
:1 以下の事項は、国民とカントンの意見を聞くための投票に付される。
::a. 連邦憲法の改正
:〔中略〕
:2 以下の事項は、国民の意見を聞くための投票に付される。
::a. 連邦憲法の全面改正のための国民イニシアティヴ
::b. 連邦議会によって拒否された、一般的な提案形式による連邦憲法の部分改正のための国民イニシアティヴ
::c. 両院の意見が一致しない場合の、連邦憲法の全面改正が実施されるべきか否かについての質問
;第142条(必要過半数)
:1 国民の意見を聞くために投票に付される法案は、投票者の過半数が賛成する場合、可決される。
:2 国民とカントンの意見を聞くために投票に付される法案は、投票者の過半数とカントンの過半数が賛成する場合、可決される。
:3 カントンにおける国民投票の結果は、当該カントンの票とみなされる。
:4 オプヴァルデン、(中略)の各カントンは、それぞれ、2分の1のカントン票を有する。
;第6編 連邦憲法の改正と経過規定<br/>第1章 改正<br/>第192条(原則)
:1 連邦憲法は、何時でも、全部あるいは一部を改正することができる。
:2 連邦憲法とそれに基づく立法が、別のことを規定していない場合、改正は法律立法の方法で行われる。
;第193条(全面改正)
:1 連邦憲法の全面改正は、国民または両院の一院がこれを提案することも、連邦議会がこれを決議することも可能である。
:2 国民によりイニシアティヴが提出される場合、あるいは両院の意見が一致しない場合、全面改正を行うか否かは、国民がこれを決定する。
:3 国民が全面改正を行うことに同意する場合、両院は新たに選挙される。
:4 国際法の強行規範を侵害することは許されない。
;第194条(部分改正)
:1 連邦憲法の部分改正は、国民が要求することも、連邦議会が決議することも可能である。
:2 部分改正は、対象の単一性を遵守しなければならず、国際法の強行規範を侵害することは許されない。
:3 部分改正についての国民イニシアティヴは、さらに、形式の統一性を遵守しなければならない。
;第195条(効力の発生)
:全面改正あるいは部分改正された連邦憲法は、国民とカントンにより承認された場合、発効する。
|}
 
== 関連条文 ==