「デ・ハビランド ベノム」の版間の差分

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ベノムはデ・ハビランド社の前作、[[デ・ハビランド バンパイア|バンパイア]]の性能向上型として開発された機体で、当初は'''バンパイア FB.8'''と呼ばれていた。しかし、機体各部を再設計、改良し変更点が多くなったため、開発途中から'''ベノム'''と改名された。バンパイアの双ブーム形式の胴体を継承しつつ、性能向上のため[[ジェットエンジン|エンジン]]を[[デ・ハビランド ゴブリン]]からより強力な[[デ・ハビランド ゴースト]]に換装し、純然たる直線翼であった[[翼平面形|主翼]]は前縁になだらかな後退角(角度は17度)がかかったものになった。また翼端には[[増槽]]を搭載し、航続距離の延長を図った。
 
試作機は[[1949年]]9月2日に初飛行しバンパイアに比し100 km/h以上の速度向上を示したため[[イギリス空軍]]に採用され、[[1952年]]から部隊配備が開始された。運動性と上昇性能に優れ、機体強度も高かったため、バンパイアに代わる[[戦闘爆撃機]]として使用された。あくまでも本格的な後退翼機が就役するまでの繋ぎとしての性格の機体だったが、直線翼ジェット戦闘機としては性能が極めて優秀で、特に高高度での性能は[[F-86 (戦闘機)|F-86 セイバー]]などの当時の最新鋭後退翼機を上回る部分もあった。後継となる[[ホーカー ハンター]]の就役が遅れたこともあり、イギリス空軍は[[1962年]]まで本機を使用した。この時点でもまだ戦闘爆撃機として十分通用する性能を有していたため、海外では以降も使用され、[[スイス]]では[[1983年]]まで現役にあった。
 
[[1950年]]、フランスによってアメリカの[[F-84 (戦闘機)|F-84 サンダージェット]]と併せて[[NATO]]標準戦闘機とする案が提唱され、イギリスの主導の下イギリス、フランス、イタリアの各国で2000機以上を生産する計画が建てられた。しかし、第2次世界大戦終結後間もないイギリスにはそれだけの生産計画を主導する工業力がなく、計画は実行の目処が立たなかったために実現せずに終わった。