「戦後恐慌」の版間の差分

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企業の経営者は、こうした事態に対し、[[粉飾決算]]をおこなって利益があるように見せかけることが横行し、銀行も[[不良債権]]を隠匿して利益を計上するケースが多く、これが事態をさらにこじらせた<ref name=boom/>。
 
これに対し、[[三井財閥]]、[[三菱財閥]]、[[住友財閥]]、[[安田財閥]]など[[財閥]]系企業や紡績会社大手は手堅い経営で安定した収益をあげ、むしろその地位を向上させ、結果的に[[独占資本]]の強大化をもたらした<ref name="nakataka_026"/><ref name="kasuga_068"/><ref group="注釈">三井、三菱、住友の三大財閥はこのとき、不況業種を他の業種でカバーし、豊富な資金力で苦境に立った企業を支配下に組み入れていった。[[#春日|春日(1989)p.70]]</ref>。[[日本]]の[[テロリスト]]・[[朝日平吾]]はこの恐慌で株で大損し、[[安田財閥]]の首領・[[安田善次郎]]が株を一手に買い占めて2,000万円を儲けたという噂話に憤慨し、安田善次郎暗殺を企てたと言われている<ref>[http://homepage1.nifty.com/oiso/sub2.htm 安田善次郎翁暗殺事件]</ref>。
 
[[1920年代]]は、「慢性不況」と称されるほどの長期不況が支配し、大戦期の花形産業であった鉱山、造船、商事がいずれも停滞して、久原・鈴木は破綻し、[[重化学工業]]も欧米製品が再び流入して苦境に立たされることとなった<ref name="kasuga_068"/>。1920年代の「慢性不況」は、大戦景気と戦争直後の[[バブル経済]]的なブームのあとにきた反動によるものと把握できる<ref name=boom/>。