「日本の地上デジタルテレビ放送」の版間の差分

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チャンネル[[帯域幅|帯域]]はアナログ方式と同じUHF帯だが放送の方式が大きく異なるため視聴するには地上デジタル放送に対応した[[デジタルチューナー]]を搭載した[[テレビ受像機]](テレビ)、[[DVDレコーダー]]、[[BDレコーダー]]、[[ハードディスクレコーダー]]などの各種レコーダー、単体チューナー、[[パーソナルコンピュータ|パソコン類]]が必要である。
 
[[1996年]]、郵政省(現在の総務省)では世界のテレビジョン放送のデジタル化に遅れない必要性と日本国内のデジタル放送技術開発および(映像)圧縮技術さらにデータ送信技術の高度化を鑑み、それまでアナログ放送を念頭に開発されていた次期放送衛星BS-4後発機(打ち上げ成功後の[[BSAT-2a]])の仕様変更が検討され約1年の審議の結果衛星放送のデジタル化に目処が付いた<ref>{{Cite web|title=BS-4後発機の在り方|url=http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/japanese/misc/BS_Manual/status9902/current_status_2-4.html|accessdate=2011-06-25}}</ref>。[[1997年]][[3月14日]]地上放送のデジタル化に向けた取組が正式に検討課題であることが審議され、開始時期を衛星放送のデジタル化と同時若しくは間を置かず実施する旨検討された<ref>{{Cite web|title=電波監理審議会議事要旨|url=http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/japanese/radio/70411j01.html|accessdate=2011-06-25}}</ref>。その後、地上デジタル放送懇談会が[[1998年]]10月、正式な答申を行うに至った<ref>放送文化2011年秋号7ページ「地上波デジタル化(アナログ停波)年表」より、一部文章を加工して抜粋</ref>。
 
[[2003年]][[12月1日]]11時より3大都市圏である[[東京]]、[[大阪]]および[[名古屋]]の[[日本放送協会|NHK]]3局、[[民間放送|民放]]16社から放送が開始され、[[2006年]]12月1日には43県の[[県庁所在地]]および近接する市町村で放送が開始された。国の政策により、これまで放送されていた地上アナログテレビジョン放送は[[2011年]][[7月24日]]までに放送を終了し停波することになっていたが、山村や離島などにある中継局の未整備などにより、受信が不可能な地域もまだ存在している([[ケーブルテレビ]]で受信できる場合はあるが、[[携帯電話]]・[[スマートフォン]]などの[[ワンセグ]]では受信できない地域も多い)。このため、停波予定日までにすべての地域で受信可能にすることを目標に各地で[[送信所]]・[[中継局]]の整備が進められ、整備が追い付かない一部の地域向けにはケーブルテレビ・[[通信衛星]]による送信や[[IP放送]]といった代替手段を利用することも検討された。終了時期については、普及状況などによっては変更される可能性もあったが、[[日本経済新聞]]の[[2007年]][[7月10日]]付け朝刊は総務省が地上アナログ放送を地域によって段階的に停止することを「地上デジタル放送推進に関する検討委員会」の答申案に盛り込むと報じた。しかし、[[総務省]]は[[2008年]]3月に「概ね2010年末までに従来のアナログ放送と同等のエリアを確保すること」との具体的指針を[[官報]]で告示し、関係する基本計画を変更した。[[朝日新聞]]の2007年[[7月24日]]付け朝刊は、総務省が[[アンテナ]]工事の集中や機器の品切れを防ぐために対応機器の普及率の高い(=人口の多い)地域から前倒しでアナログ放送を終了する方向に傾きつつあることを報じた。
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一部報道によると<ref>[http://web.archive.org/web/20070302053454/http://it.nikkei.co.jp/digital/news/index.aspx?n=AS1D0101I%2002022007 地デジ放送違法複製防止、ICカードも個人登録も不要] - 日本経済新聞(2007年3月2日時点の[[インターネット・アーカイブ|アーカイブ]])</ref>2008年秋ごろを目途にB-CASカードが担っている機器認証機能をテレビ本体の[[ファームウェア]]に組み込み、視聴するだけならB-CASカードは不要になる予定である。そうなった場合、未だ抵抗感の根強いユーザー登録制度が不要となる見込みである。これにより、放送局が負担している<ref>[http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20070629/276244/?ST=network 新RMP対応の地上デジタル放送、新たな放送設備の設置が放送事業者の負担に]</ref><ref group="注">現行の地上デジタル放送の[[ブロック暗号|スクランブル]]解除に必要なB-CASカードの発行や運用に必要なコストは、放送事業者などが負担している。</ref>ICカード発行配布などに関わるコストが低減される。また、取外しが困難になるので機器認証としてのセキュリティ強度も向上する。2007年[[8月31日]]、[[インテル]]は[[ハードウェア|ハード]]によらない[[ソフトウェア|ソフト]]CAS方式の導入を目指す事を表明した<ref>[http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0831/intel.htm インテル、デジタル放送のB-CASにかわるソフトCASの導入を目指す]</ref>。
 
地上デジタル放送ではB-CASのユーザー登録をしなくても、BSデジタル放送の様にNHK視聴中のテレビ画面左下には「ユーザー登録のお知らせ」は表示されない<ref>イメージ画像は [http://web.archive.org/web/20060105225421/http://www.nhk.or.jp/digital/qa/guide/qa_05.html NHK「受信確認メッセージ」](2006年1月5日時点の[[インターネット・アーカイブ|アーカイブ]])を参照。</ref>。
 
B-CASカード廃止の提案策には[[著作権]]を保護するためコピー禁止(ネバーコピー)も考案されていて、その場合以前にあった「コピー・ワンス」よりも権利が強く保護されることになる。ネバーコピーは[[録画]]を一切禁止するものである。また、B-CASカードは縦55mmx横85mmと一般的なカードサイズである。そのため据え置き型のテレビでは問題にならないものの、パソコン用の周辺機器には大きさの制約から小型化が難しい。そのため大きさを優先するとカード不要のワンセグ放送専用にせざるを得ないため、改善を求める声が上がっていた。こうした要望に応え、2009年11月よりminiB-CASカード(地上デジタル専用)の運用が始まったほか、[[2012年]]7月からはB-CASカードを使用しないソフトウェア制御によるCASが段階的に導入される予定(詳細は[[地上放送RMP管理センター]]を参照)。
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「[[チューナー]]」とは、放送を[[チューニング|選局]]する機器またはその機能を言う。「単体チューナー」は録画機能・画像表示機能が無い機器。
 
出力として「[[コンポジット映像信号]]出力端子」を基本として持つが、更に多くの出力方式を備えている。これらはS映像出力端子、D3/D4など[[D端子]]コネクタ、[[コンポーネント端子|コンポーネント映像信号の出力端子]](緑、青、赤の3色、市販品でこの端子を持つ機種は少ない)、HDMIコネクタと呼ばれる。多くの機種はD1/D2/D3/D4までの出力機能を持ち基本的にD3端子を備え、一段優れるD4端子のものもあり固定と選択切り変えが行える。HDMI端子を備える機種は少ない(2008年1月現在)<ref>[http://www.geocities.jp/bokunimowakaru/misc-tuner.html チューナー単体の比較表] UNIDEN DT100-HDMI、YAGI DTC-10、AVOX YDIT-10など少数機種、[[カカクコム|価格.com]]での調査を含む</ref>。
 
地デジ放送開始初期にはBSデジタル・CS110度と地デジの受信機能を持った単体チューナが数万円で発売されていたが2009年以降、いわゆる激安チューナー(後述の[[#簡易地デジチューナー]])が発売され5000円以下で買える物も登場した。この商品は<!-- [[イオングループ]]の各店舗の家電製品売り場や[[西友]]の各店舗の家電製品売り場[[家電量販店]]のチューナー売り場(売り場面積の狭い中小規模の店は除く)-->[[家電量販店]]や[[ホームセンター]]、大型スーパーの家電売り場、パソコン販売店などで購入可能である。
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[[ファイル:Digital television cooperation transmission tower in Muroran Hokkaido,JAPAN.jpg|thumb|right|送信所の共同使用の例 - [[北海道]][[室蘭市]]<br/>([[北海道放送|HBC]]、[[札幌テレビ放送|STV]]、[[北海道テレビ放送|HTB]]、[[北海道文化放送|UHB]]による共同施設。右側は従来からのHBC地上アナログ放送送信施設)※建設中に撮影]]
{{要出典範囲|date=2011年6月|なお、他の地域でも建設費のコストを抑えるためNHK・民放各局が共同で費用を出しているケースもある。}}また、既存の施設をそのまま利用する場合でもアナログ放送では局単独の施設であってもデジタル放送では複数の局で共同使用するケースもある。<ref group="注">基幹送信所での例:[[北海道テレビ放送]]網走送信所(相乗り局は[[札幌テレビ放送]]と[[テレビ北海道]])、[[北海道文化放送]]網走送信所と帯広送信所(相乗り局は[[北海道放送]])、札幌テレビ放送帯広送信所(相乗り局はテレビ北海道)、[[NHK盛岡放送局]](相乗り局は[[IBC岩手放送]])、[[NHK長野放送局]](相乗り局は[[信越放送]])、[[NHK福井放送局]](相乗り局は[[福井放送]])、[[石川テレビ放送]]親局(相乗り局は[[北陸放送]])、[[讀賣テレビ放送]]生駒山親局(相乗り局は[[MBSテレビ|毎日放送]])、[[NHK大分放送局]](相乗り局は[[大分放送]])、[[鹿児島放送]]親局(相乗り局は[[NHK鹿児島放送局]]と[[南日本放送]])</ref>
 
また、多数の送信所からUHF放送を受信している家庭では地上デジタル放送がうまく受信できない場合がある。例として[[大阪府]]などの[[近畿地方|関西地区]]では在阪局([[生駒山テレビ・FM送信所|生駒山]]から)のVHF波に加えて[[テレビ大阪]]や[[サンテレビジョン|サンテレビ]]などのUHF局を受信している家庭が多いが通常の混合器で混合するとゴースト障害を起こす場合があるため、約6万世帯で特定地域向け混合器が使われている。しかし、地上デジタル放送が開始される前に製造・発売された物は関西地区の地上デジタル放送で使われるチャンネルをカット(減衰)してしまい上手く受信することができなくなる。このような設備ではアンテナ設備の取替えが必要となる<ref>「[http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20110624-OYO1T00642.htm 地デジ完全移行後、最大8万7000世帯で地元ニュース見られず]」 読売新聞 2011年6月24日。{{リンク切れ|date=2013年4月}}<!--おそらく大阪本社配信の記事--></ref>。
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2011年7月24日のアナログ放送完全停波に1年先駆けて、石川県珠洲市において2010年7月24日にアナログ放送が完全停波されることが総務省より発表された<ref>[http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20091002_319203.html 石川県珠洲市で2010年7月24日に地アナ放送完全停波]、AV Watch、2009年10月2日</ref>。珠洲市は「アナログ放送終了リハーサル」実施地域に指定されており、2009年7月24日にはリハーサルとして珠洲中継局のアナログ放送を1時間休止した。2010年[[1月22日]]正午から同年[[1月24日]]正午まで珠洲中継局のアナログ放送の長時間休止を実施するとともに2010年7月24日正午をもって、珠洲市のアナログ放送は完全停波した。これに伴い、[[珠洲中継局]]エリアのアナログ放送視聴世帯や事業所を対象にピクセラ製簡易地上デジタルチューナーが貸与される。
 
さらに、地デジ早期移行を促すべく2010年7月5日より全てのアナログTV画面が強制レターボックス化(上下に黒帯付加)され、アナログ画面の場合は番組冒頭で「アナログTV放送終了告知」が上下黒帯部に表示されている<ref group="注">当初は番組冒頭の一部分だけだったが、[[9月6日]]に[[山梨県]]を含む[[関東地方]]と[[近畿地方]]から段階的に各地で常時表示(提供クレジットが表示されている間も表示。コマーシャル中は除く)を行うようになった。それ以外の地域でも、日本テレビ系列のネット番組では常時表示が見られるようになった。表示方式は常時固定した字幕を放送するものや字幕をカットイン・アウト方式やクロスカット方式で切り替える方式、ロールテロップ方式などである。</ref>(従来の4:3SD制作番組を放送する場合、アナログ画面では上下に加え左右にも黒帯が入り従前より小さい画面となっている。また民放の場合、画面強制レターボックス化は番組本編のみなのでCM中は従前通り4:3フルサイズ画面となる場合もあった)。
=== 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)被災地 ===
2011年[[3月11日]]に発生した[[東北地方太平洋沖地震]]([[東日本大震災]])の主な被災地である[[岩手県]]、[[宮城県]]、[[福島県]](以下上記3県)に限り、総務省が同年7月24日のアナログ放送の停止を半年 - 1年程度延期する方向で調整に入ったことがメディアで報じられ同年[[4月20日]]に総務省よりその旨が正式発表され<ref>[http://www.soumu.go.jp/menu_kyotsuu/important/kinkyu02_000089.html 地上放送の完全デジタル化について] 総務省、2011年4月20日</ref><ref group="注">地デジ共同受信設備の津波流失、CATV局の津波被災、被災者支援に時間を割かれ、地デジ普及活動が中断を余儀なくされていることなどによる。</ref><ref>[http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011040801000253.html 東北3県の地デジ移行延期の方針 総務省、震災影響を考慮] [[共同通信]]、2011年4月8日</ref><ref>[http://web.archive.org/web/20110411005506/http://mainichi.jp/select/biz/it/news/20110409k0000m020124000c.html 地デジ:被災3県の移行延期 「普及に手が回らない」と] [[毎日新聞]]、2011年4月8日(2011年4月11日時点の[[インターネット・アーカイブ|アーカイブ]])</ref>、同年[[6月15日]]に[[東日本大震災に伴う地上デジタル放送に係る電波法の特例に関する法律]]が[[公布]]・[[施行]]され上記3県におけるアナログテレビ終了期日は当初は最長で[[2012年]][[7月24日]]までに設定されていたが、2011年[[7月5日]]に「岩手・宮城・福島3県におけるアナログテレビ放送終了期日は"2012年[[3月31日]]"とする」旨が正式決定した。