「新生代」の版間の差分

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古第三紀は約6500万年前から約2300万年前までの時代<ref name="GB67">「地球生物学」 P67</ref>で、暁新世、始新世、漸新世からなる。気候は温暖であった白亜紀半ば以後徐々に低温化していったが、約3400万年前の始新世と漸新世の境界時代に南極大陸に巨大な氷床が形成された。これ以後が現在も続いている新生代後期氷河時代である<ref name="FBYHGEC137">「地球環境46億年の大変動史」 P137</ref>。
 
K-T境界の事件で、中生代に地上・海中・空中に繁栄していた恐竜などの大型爬虫類は、ワニ類を除いてほとんどいなくなった。新生代は哺乳類と鳥類の適応放散が起こった。小型恐竜の一部から派生・進化した鳥類は既に白亜紀において空中でも陸上でも翼竜や恐竜と伍して生活していたため当初は哺乳類より有利であり、古第三紀最初(暁新世)の最大の捕食者は鳥類の[[ディアトリマ]]であった<ref name="FUTL214">「魚陸に上る」 P214</ref>。古第三紀が始まったときの哺乳類は、ほとんどが草食や昆虫食で大きさもネズミほどのものが多く最大のものでもネコ程度であったが、爬虫類がいなくなった地上に適応し体も大きくなってゆく。哺乳類は暁新世から始新世にかけて第一次適応放散の後、漸新世で2度目の適応放散を行う<ref name="FUTL298">「魚陸に上る」 P298</ref>。現在見られる哺乳類の多様性は漸新世から始まった。すなわち現代型のクジラ、[[齧歯類]]のリス・ネズミ、[[長鼻類]]のゾウ、[[霊長類]]の真猿類(いわゆるサル)、[[奇蹄類]]のウマやサイ、[[偶蹄類]]のイノシシやラクダ、[[食肉類]]のサーベルタイガーやクマなどが漸新世に現れた<ref name="FUTL300">「魚陸に上る」 P300</ref>。なお 新生代初めオーストラリア大陸は南極大陸(南極大陸が南米とも繋がっていたが)とのみ繋がっており、他の大陸とは海を隔てていたため、これらの哺乳類([[真獣類]])とは系統が異なる[[単孔類]]や[[有袋類]]が適応放散していた<ref name="FUTL284">「魚陸に上る」 P284</ref>。オーストラリア大陸の生物の特殊性は人類がオーストラリアに渡るまで継続した。同じように他の大陸と離れていた南アメリカには北米と繋がるまで一部の真獣類と有袋類が繁栄した<ref name="FUTL287">「魚陸に上る」 P287</ref>。
 
暁新世末の約5500万年前に突発的な温暖化が起こり、海洋の中層から低層に生息していた有孔虫の35-50%が絶滅した。この時海洋深層水の温度は5-7℃<ref name="GB153">「地球生物学」 P153</ref>、気温は6-8℃上昇し5万年から10万年かけて元に戻った。原因として当時の海底に大量に存在していた[[メタンハイドレート]]が融解し、数千年の間<ref name="CEEL218">「生命と地球の共進化」 P218</ref>に炭素量換算1500ギガトンのメタンガスが大気中に放出され、メタンによる温室効果と その後メタンが酸化されてできる二酸化炭素による温室効果が想定されている<ref name="WKRHE296">「最新地球史が良くわかる本」 P296</ref>。またこの時メタンが放出されたとされる地形が北大西洋のノルウェー沖で見つかって2004年に発表されている<ref name="WKRHE299">「最新地球史が良くわかる本」 P299</ref>。1500ギガトンという温室効果ガスの量は、産業革命以来人類が発生させてきた二酸化炭素量と今後発生させると予想される二酸化炭素量の合計に匹敵するとされている<ref name="WKRHE297">「最新地球史が良くわかる本」 P297</ref>。
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ファイル:Dinoceras.jpg|古第三紀中期(始新世)の原始的な草食哺乳類([[恐角目]])[[ウインタテリウム]]、体長3-3.5mあったが脳は小さかった。
ファイル:Hyracotherium Eohippus hharder.jpg|始新世の[[ヒラコテリウム]]、[[ウマ]]の祖先で全長50cm。
ファイル:Basilosaurus1DB.jpg|始新世の[[原クジラ亜目]]の [[バシロサウルス]] 全長15m以上 体は現在のクジラよりも細い。
 
ファイル:Mammut skeleton Museum of the Earth.jpg|ゾウの祖先の[[マストドン]]、長鼻類は漸新世に現在のゾウに近い体型になった。