「コットンテンソル」の版間の差分

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Enyokoyama (会話 | 投稿記録)
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[[微分幾何学]]では ''n'' 次元(擬)リーマン多様体上の'''コットンテンソル'''({{lang-en-short|Cotton tensor}})は、{{仮リンク|ワイルテンソル|en|Weyl curvature}}のように、[[計量テンソル|計量]]に伴う3階の[[テンソル|テンソル場]]である。''n''≥4n≥4 のときのワイルテンソルがそうである(多様体が共形平坦となることと同値)ように、''n=3'' の場合には、コットンテンソルがゼロになることと、多様体が{{仮リンク|共形平坦|en|conformally flat}}であることとは同値である。''n''<3 に対し、コットンテンソルは恒等的にゼロである。この命名は{{仮リンク|エミール・コットン|en|Émile Cotton}}にちなんでいる。
 
''n''&nbsp;=&nbsp;3 の場合のコットンテンソルがゼロとなることと計量が共形平坦となるという古典的な結果の証明は、{{仮リンク|アイゼンハルト|en|Luther P. Eisenhart}}により標準的な{{仮リンク|可積分性|en|Integrable system}}の議論をもちいてなされた。この{{仮リンク|テンソル密度|en|tensor density}}は、任意の計量に対して微分可能であるという要求と結びついた共形性という性質により一意に特徴づけられることが、{{Harv|Aldersley|1899}}により示された。
 
最近、3-次元空間の研究では非常に注目されている。その理由は、コットンテンソルは[[アインシュタイン方程式]]の中で物資の{{仮リンク|エネルギー・モーメントテンソル|en|energy-momentum tensor}}と[[リッチテンソル]]の間の関係を制限し、[[一般相対論]]の[[ハミルトン力学|ハミルトニアン定式化]]で重要な役割を果たすからである。
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== 定義 ==
 
座標を使って ''R''<sub>''ij''</sub> で[[リッチテンソル]]を表し、''R'' で[[スカラー曲率]]を表すと、コットンテンソルの成分は、
 
:<math>C_{ijk} = \nabla_{k} R_{ij} - \nabla_{j} R_{ik} + \frac{1}{2(n-1)}\left( \nabla_{j}Rg_{ik} - \nabla_{k}Rg_{ij}\right).</math>
 
となる。コットンテンソルは[[微分形式|2-形式]]に値を持つべクトルとみなすことができ、''n''&nbsp;=&nbsp;3 に対しては{{仮リンク|ホッジスター作用素|en|Hodge star operator}}を使い、これを2階のトレースがゼロとなる自由テンソル密度
 
:<math>C_i^j = \nabla_{k} \left( R_{li} - \frac{1}{4} Rg_{li}\right)\epsilon^{klj},</math>
 
へ変換することができる。これを'''コットン・ヨークテンソル'''と呼ぶこともある。
 
== 性質 ==
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:<math>{\widetilde{R}^{\lambda}}_{\mu\alpha\beta}={R^{\lambda}}_{\mu\alpha\beta}+\nabla_{\alpha}S^{\lambda}_{\beta\mu}-\nabla_{\beta}S^{\lambda}_{\alpha\mu}+S^{\lambda}_{\alpha\rho}S^{\rho}_{\beta\mu}-S^{\lambda}_{\beta\rho}S^{\rho}_{\alpha\mu}</math>
 
<math>n</math> -次元多様体では、[[リッチテンソル]]は縮約したRiemannテンソルで表すことで、次の式のようになることが分かる。
 
:<math>\widetilde{R}_{\beta\mu}=R_{\beta\mu}-g_{\beta\mu}\nabla^{\alpha}\partial_{\alpha}\omega-(n-2)\nabla_{\mu}\partial_{\beta}\omega+(n-2)(\partial_{\mu}\omega\partial_{\beta}\omega-g_{\beta\mu}\partial^{\lambda}\omega\partial_{\lambda}\omega)</math>
47行目:
:<math> \tilde{C} = C \; + \; \operatorname{grad} \, \omega \; \lrcorner \; W,</math>
 
となる。右辺の勾配(gradient)の部分は{{仮リンク|ワイルテンソル|en|Weyl tensor}} &nbsp;''W'' の対称性を保つ部分との内積を取ることを意味する。
 
===対称性===
62行目:
:<math>\delta W = (3-n) C, \, </math>
 
ここに <math>\delta</math> は ''W'' の第一成分の正の発散(divergence)である。
 
==参考文献==