「新生代」の版間の差分

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=== 第四紀の範囲の問題 ===
その一方で、第四紀の専門家の間では、当時、鮮新世の最後期とされていた[[ゲラシアン]]を第四紀に含め、第四紀の始まりを258万年前の[[ピアセンジアン]]・ジェラシアン(Piacenzian-Gelassian)境界とするのが一般的となっていた。[[氷河時代]]がこのころ始まっているなど、第四紀を特徴付ける気候変動が起こっているからである。
 
第四紀の専門家以外(特に第三紀の専門家)は、公式の区分どおり、ジェラシアンを第三紀に含めることが多い。この不一致を解消するため、時代区分の改訂作業が進められた。
 
==== 2004年の提案 ====
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==== 2005年の提案 ====
2004年の改定に対して、[[国際第四紀学連合]](INQUA)などから反対が起こったため、IUGSの下部組織である[[国際層序委員会]](ICS)の第四紀層序小委員会(ICS-SQS)とINQUAからなる合同チームで調整が図られ、[[2005年]]に新しい提案がなされた。<ref>{{PDFlink|[http://wwwsoc.nii.ac.jp/qr/report/QRNL1206.pdf 日本第四紀学会会報「第四紀通信」Vol.12 No.6]}} 10ページ「鮮新世は第四紀?」</ref>
 
新生代を新第三紀・古第三紀に分けることはIUGSの提案と同じである。しかし、第三紀・第四紀は新生代を(新第三紀・古第三紀とは別の境界で)2つに区分する亜代とされた。新しい第三紀と第四紀の境界は、従来の新第三紀と第四紀の境界だった181万年前の鮮新世・更新世境界から、258万年前の鮮新世ピアセンツィアン・ジェラシアン境界に移動させられた。これは、第四紀の研究者の間では258万年前を第四紀の始まりとすることが多いことを反映させたものである。
 
{|class="wikitable"
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|-align="center"
|rowspan="2"|鮮新世
|ジェラシアン
|rowspan="3"|新第三紀
|-align="center"
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==== 2007年の提案 ====
しかし、2005年の案は伝統的な階層構造と適合しないため、IUGSに拒否された。それに応じINQUAは、[[2007年]]5月、新しく次のような提案をし、ICSも承認した。
 
第四紀を亜代ではなく正式な紀とするが、範囲は2005年の提案と同じに広げる。それにともない、階層構造を維持するために、更新世も広げられる。つまり、従来、新第三紀鮮新世に含まれていたジェラシアンは、第四紀更新世に移される<ref>{{PDFlink|[http://www.stratigraphy.org/request.pdf ICSによるIUGSへの新提案]}} {{En icon}}</ref>。
 
{|class="wikitable"
129行目:
|更新世
|-align="center"
|ジェラシアン
|rowspan="2"|鮮新世
|rowspan="3"|新第三紀
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==== 第四紀の地位と定義の確立 ====
2007年のINQUA提案と2008年のIGCでの討論会を受けて、ICSにおける議論と決定が急速に進んだ結果、2009年6月30日にIUGS執行委員会は新たな第四紀の定義を批准した。新しい定義では、
#更新世の下限をジェラシアンを含むように引き下げ、ジェラシアンの下限が定義されているモンテ・サン・ニコラGSSP(Global Boundary Stratotype Section and Point)によって定義する。
#第四紀と新第三紀の境界は、モンテ・サン・ニコラGSSPによって公式に定義される。すなわち、更新世及びジェラシアンの下限に一致する。
#以上の定義により、ジェラシアンを、鮮新世から更新世に移動する。
とされた。これにより第四紀の地位と定義に関わる問題は解決した<ref>[http://wwwsoc.nii.ac.jp/qr/news/teigi09.html 日本第四紀学会#第四紀学最新情報#第四紀の定義]2010年9月17日 (金) 16:57 (UTC)閲覧</ref>。