「ビーチクラフト キングエア」の版間の差分

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キングエアは大きく分けてモデル90シリーズ、モデル100シリーズ、モデル200シリーズ、モデル300/350シリーズの4つのファミリーが存在し、特にモデル200/300/350シリーズは[[1996年]]まで'''スーパーキングエア'''と呼ばれていた。また派生型として、主として[[コミューター航空会社|コミューター]]用途の[[:en:Beechcraft Model 99|ビーチクラフト モデル99]]、その発展型の[[ビーチクラフト 1900]]が存在する。
 
[[File:Kunikaze at GSIQueenAir.JPGjpg|thumb|250px|モデル65 クイーンエア(測量用航空機「くにかぜ」)]]
[[1960年代]]後半に登場した最初のキングエアは、[[ビーチクラフト クイーンエア|モデル65 クイーンエア]]をベースにターボプロップ化したものである。このキングエアの原型であるモデル65クイーンエア自体は1960年代前半に登場しているが、当初はその開発目的であった兵員輸送の為の太い胴体がもたらす容姿が不評であったという。しかしその後、機体が大型化・高性能化されていくに伴い、その太い胴体の収納力や機体構造上の拡張性が威力を発揮した。同様な例としてクイーエアのベースある[[ビーチクラフト ツイン・ボナンザ|ツイン・ボナンザ]]は、クイーンエアと同じ主翼を用いながら小ぶりな胴体で外観上のデザインバランスそれ良い。大きな機体に小さなキャビン、2列のベンチシートに3名ずつ分れて着座するという贅沢から「空飛ぶ[[キャデラック|キャディラック]]」と言わていたが、クイーンエアの多用途性・積載性には適わず、徐々に生産数好評減じていっ博した。
 
一方、[[1980年代]]当時のキングエアのライバル機([[パイパー・エアクラフト|パイパー]]社製[[:en:Piper PA-31T Cheyenne|シャイアン]]、[[ロックウェル・インターナショナル|ロックウェル]]社製[[エアロコマンダー 500|ターボコマンダー]]、[[セスナ]]社製[[:en:Cessna 425|コンクェスト]]など)は、それらのベースとなったレシプロ機がキングエアのベースであるクイーンエアと比べて小ぶりであったことからキャビン容量ではキングエアには敵わず、大柄なキングエアが不得意とする高速性能を伸ばすことに活路を見出し、細身の胴体を活かすことで300kt(555km/h)の高速巡航を謳うようになった。[[セスナ]]社製[[:en:Cessna 421|421ゴールデが、キイール]]なエアほどのレシプロ双発機もターボプロップ化さ成功は収めらたが、結局キャビン容量や用途拡張性の点でキングエアに敗れたといえよう。
 
ビーチ社はモデル300では300ktの巡航性能を実現したが、ライバル機と比べて機体価格や運航コストは高価であり全くクラスの違う機体である。その点グッドバランスであったモデル200は順調に生産数を伸ばしていった。キングエアは大型化されるにつれて、力強い外観に加えて独特の高級な雰囲気を持つようになり、これは企業所有のビジネス機マーケットで強い優位点となった。ビーチ社の設計思想である機体の堅牢性や信頼性もさることながら、機体価格や運航コストを上回る価値を時代を超えて顧客に提供し得たことが、シリーズとしての成功要因であろう。今なお高水準を保つ中古価格(リセールバリュー)がそれを如実に物語っている。
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現在もモデルC90GTxの生産が続いており、モデル90の生産総数は2,400機を超えている。堅牢な機体、高品質な作り、快適なキャビン、積載量に比して手頃な運航コストなど、時代のニーズに対応し改良され続けながら、現在でも世界の双発タービン社用機/訓練機/実用機クラスの偉大なるデファクトスタンダードである。[[2009年]]モデルの工場引き渡し機体価格は約290万ドル。
 
[[1963年]]、ビーチクラフト社はレシプロ双発機クイーンエアを与圧・ターボプロップ化した'''モデル65-80'''の試験飛行を開始した。[[1964年]][[9月9日]]、最初の量産モデルがロールアウトし、名称が混乱を招きやすいという理由で暫く'''モデル65-90'''と呼ばれた。主翼構造はクイーンエアと変わるところはなく、構造的にはボナンザの主翼を外翼として利用し、それを直線的な内翼で結ぶという[[ビーチクラフト ツイン・ボナンザ|ツイン・ボナンザ]]同様の手法である。この内翼は胴体とは完全な一体構造でエンジンナセルの外側で外翼とテンションボルトによって結合されるが、その固定方法はセレーション加工された接合面にアルミワッシャを共締めして位置決めするというボナンザ以来の特徴的な方法を採る。特徴的な丸いキャビンウインドウは偏光フィルタの原理を上手く利用しており、内側窓を回転することによって透過率を調整できカーテンを不要にした。モデル90には大きく分けて2つの系統があり、それぞれ以下のように改良が重ねられた。
 
[[ファイル:Raytheon C90GT King Air AN1258730.jpg|thumb|250px|キングエアC90GT]]
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;:54機生産。モデルC90の改良型。与圧能力向上(5.0psi)、キャビン後方荷物室の拡大、機首[[アビオニクス]]機器ベイの拡大。
;;モデルC90A([[1984年]])
;:235機生産。モデルC90-1の改良型。エンジンはPT6A-21(550shp)を搭載し、エンジン吸気口はモデル300において開発されたピトーインテーク(後述)を採用、排気管も従来の円断面から楕円断面の変形し空気抵抗低減とともに排気効率も向上、与圧能力向上(5.5psi)、主脚の引き込み機構を油圧式に変更し信頼性向上とメンテナンス容易化。
;;モデルC90B([[1992年]])
;:456機生産。モデルC90Aの改良型。キャビン静粛性向上の為の4翅プロペラ、新型プロペラ同調装置、艤装のエアフレームへの取り付け方法変更(バイブレーションアブソーバー(Tuned Dynamic Vibration Absorber)と称する金具を介してフローティングマウントする)によってキャビン内のノイズレベルを低減。コックピットには[[グラスコックピット#電子飛行計器システム|EFIS]]を導入。
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;:90機生産。モデルC90GTのアビオニクス改良型。機体はそのままに、操縦計器にロックウェル・コリンズ社製の統合型アビオニクス・パッケージのプロライン21を装備したモデル。プロライン21は中型クラスのビジネスジェットにも装備されている複合的な計器システムで、従来のモデルC90に比べフライトマネジメント機能は格段に向上した。これまでビーチ社ではモデルC90GTはエントリークラスのタービン機という位置付けから、意図的に複合的EFISの装備を行わなかったようだが、モデルC90の価格帯の機体は殆ど[[グラスコクピット]]化されていること、乗員訓練も最初からグラス式計器で行われるようになって来ている事もありプロライン21を装備することとなった。現在では[[:en:Garmin G1000|ガーミンG1000]]などの安価なグラスコクピットが開発されたことで、同社の[[ビーチクラフト ボナンザ|G36ボナンザ]]や[[:en:Beechcraft Baron|G58バロン]]等のレシプロ機にもG1000が標準装備されるようになっている。
;;モデルC90GTx([[2010年]]~現在生産中)
;:モデルC90GTiの翼端を延長して[[ウィングレット]]を装備し、最大ペイロードを1,365kgから1,501kgへ増大させたモデル。
 
[[ファイル:Beech F90 King Air AN0688420.jpg|250px|thumb|キングエアF90]]