「ジルカロイ」の版間の差分

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ジルカロイ-4の腐食特性は微量のニッケルを加えることで改善できる。ニッケルを添加したジルカロイ-4は[[ノジュラー腐食]]への耐性が有意に高まり、一方で水素吸収速度や[[均一腐食]]への耐性は悪化しない<ref>http://legal.european-patent-office.org/dg3/pdf/t000318eu1.pdf</ref>。
 
原子炉級ジルコニウム合金は[[ハフニウム]]が含まれないように精製されていなければならない。ハフニウムは中性子[[反応断面積|吸収断面積]]がジルコニウムのおよそ600倍と極めて高く、[[燃料棒]]中の[[核燃料]]の[[連鎖反応]]が進まなくなってしまうためである。一般に工業用ジルコニウムは1-5%のハフニウムを含んでいる。ハフニウムの除去プロセスは困難が伴う(ジルコニウムとハフニウムは最も分離が困難な元素の組み合わせの1つである)。分離には主に2つの方法が使われている。1つは2種の金属の[[チオシアン酸]]塩の[[メチルイソブチルケトン]]への溶解度の差を利用して液層で[[抽出]]する方法であり、この方法は主に[[アメリカ合衆国|アメリカ]]で用いられる。もう1つは[[抽出蒸留]]で、この方法は主にヨーロッパで用いられる。結果として原子炉級ジルコニウムはハフニウムが混合した工業用に比べ約10倍の価格となり、原子炉製造が高コスト費用となる要因の1つである。なお、分離されたハフニウムは[[制御棒]]に用いられる。
 
ジルカロイは[[水素]]と強い親和性がある。水素の吸着は[[水素脆化]]を引き起こし、[[燃料要素破損]]([[:en:fuel element failure]])を起こすことで[[ホットパーティクル]]の放出につながる可能性がある。ジルカロイは[[酸素]]と簡単に反応し、表面に[[不動態]]を形成する。ジルカロイは[[オーステナイト]][[鋼]]よりも腐食耐性と中性子透過性に優れている。しかし、不純物(例えば、300ppm以上の[[炭素]]や40ppm以上の[[窒素]])が含まれていると腐食耐性は有意に低下する。[[ジルコニア|酸化ジルコニウム]]の厚い不動態層を作っておくことでジルカロイの腐食耐性を高めることができる。[[酸化チタン(IV)|二酸化チタン]]皮膜も同様に用いられる。