「スラップ奏法」の版間の差分

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'''スラップ奏法'''(-そうほう)は、[[ベース (弦楽器)|ベース]]の[[奏法|演奏方法]]のひとつ。'''スラッピング'''('''slapping''')、[[日本]]に限って'''チョッパー'''とも言う。スラップ「''Slap''」とは本来、[[英語]]で「'''(平手で)打つ'''」という意味の[[動詞]]である。
 
== コントラバスのスラッピング ==
[[コントラバス]]では主に[[クラシック音楽]]以外の[[ジャンル]]においてスラップ奏法は使用される。
 
*指弦を引っかけて指板に対して張り垂直に強く引っ張ってす事で指板に当て、スラップと共に[[音程]]を伴った実)と同時にスラップ音を発生させる(厳密には違うが[[クラシック音楽|クラシック]]の奏法に於ける[[ピッツィカート#バルトーク・ピッツィカート|バルトーク・ピッツィカート]]が厳密には違うが類似している)奏法
*指でや指板に指を叩き付けるようにして弦を指板にぶつ打ち付、その直後に振り抜ことスラップ音と共に実音(音程伴った実音を発生させる鳴らす奏法
*手首近くの手のひらの柔らかい部分を用いて、素早く低音側の弦を指板に打ち付けスラップ音のみを発生させる奏法
 
いずれの奏法も[[指板]]上に[[弦 (楽器)|弦]]を[[指板]]上に叩きける様に当てた際に事で[[スネアドラム]]の[[リムショット]]のような音らす事ができ、通常の音色(実音)に打楽器的な表現を加える事が出来る。古くは[[拡声器]]の無い頃の[[ジャズ]]の[[ビッグバンド]]でベース奏者が大音量を出すために用いたが、後に[[ロカビリー]]、[[サイコビリー]]、[[ジャイヴ (曖昧さ回避)|ジャイヴ]]、[[ウエスタンスィング]]、[[ブルーグラス]]、[[カントリー]]等で多用されるようになる。
 
== エレクトリックベースのスラッピング ==
[[エレクトリックベース]]においてのスラップ奏法は、[[親指]]で弦を叩くようにはじく動作(サムピング([[英語|英]]:''thumping''))と、人差し指や中指で弦を引っ張って指板に打ちつける動作(プル、プリング([[英語|英]]:''popping''))があり、この二つの動作を組み合わせて、アタックの効いたあたかもる事で[[打楽器]]のようなパーカッシブな効果が得られるのが特徴。基本的な弾き方としてはサムピングで低音弦、プリングで高音弦を奏する。
 
誕生以来、スラップは主に[[ファンク]]で聞かれたが、現在では様々な[[音楽のジャンル一覧|音楽ジャンル]]の楽曲で使われているようになった。スラップは、[[ラリー・グラハム]]は自身がドラムレスの[[バンド (音楽)|バンド]]で低音弦のサムピングを[[バスドラム]]、高音弦のプリングをスネアに見立て奏したのが始まりだと、グラハム自身は語っている(ただし彼はスラップという言葉は用いず「Thumbpin`& pluckin`」と呼ぶしかし、スラップの元祖には異論が多くあり、同時期音楽シーン自然発生したのではないかという見方もある。
 
楽器を腰より上に構えるか([[ファンク]]、[[フュージョン (音楽)|フュージョン]]系の奏者が多い。[[ラリー・グラハム]]、[[マーカス・ミラー]]、[[小林武尊]]等、[[ファンク]]、[[フュージョン (音楽)|フュージョン]]系に多い)、腰より下に低く構えるか(ロック系の奏者が多い。[[フリー (ミュージシャン)|フリー]]、[[TMスティーブンス]]等、ロック系に多い)で親指の角度と共に奏法が大きく変わる。そのため、低く構えるベーシストの中にも複雑なスラップ奏法の際には転がしのモニタ・スピーカや台に足を乗せ高く構えた時と同様の高さまで[[楽器]]を持ち上げるベーシスト([[ロバート・トゥルージロ]]等)もいる。
 
== 日本に於ける起源と「チョッパー奏法」 ==
日本におけるスラップ奏法の始祖として、[[ザ・ドリフターズ]]の[[いかりや長介]](後年[[近田春夫]]が「それは自分が広めたデマだ」と発言した)、[[細野晴臣]]、[[田中章弘]]などの名前が俗説として挙げられる。ただし、上記前述した自然発生的な側面や米軍基地でアメリカ人プレーヤーの演奏を見てスラップ奏法を始めたベーシスト多くいるなど厳密な定義は出来な難しい。その反面、スラップ奏法を日本で著名にした曲は明らかになっており、[[1975年]]発表の[[ティン・パン・アレー (バンド)|ティン・パン・アレー]]のアルバム『キャラメル・ママ』に収録された「チョッパーズ・ブギ」(ベースは[[後藤次利]])とされている。日本においてスラッピングのことを俗に「チョッパー」と呼ぶのはこの曲が起源である。題名における「チョッパー」は[[ヒッピー]](オートバイのチョッパースタイルという説もある)の別称であったが、当時の日本にはスラップ奏法に特有の呼称が無かったためこの曲のタイトルから、「チョッパー奏法として広まる事になる。また、オートバイのチョッパースタイルという説もある。ほどなく日本の音楽界に広がった[[フュージョン (音楽)|フュージョン]]ブームの影響も特定の年齢層はスラップ奏法の事を「チョッパー」という名称で呼ぶ事が多いが、名称の起源の通り完全な[[和製英語]]のため日本でしか通じず英語では「Slapping & popping」または「Thumbpin' & pluckin'」と呼ばれるのが一般的。昨今の一部の教則本などでは「スラップ」と「チョッパー」を別の演奏方法として紹介する場合もあるが、その定義は曖昧である。
 
==注意点==
スラップ奏法は瞬時に高いエネルギーの信号を発生させるため、[[ロック (音楽)|ロック]]等で顕著な大音量で弾いた際に[[スピーカー]]を故障させたり、[[真空管]]を用いた[[アンプ (楽器用)|アンプ]]に至ってはアンプその物を故障させる可能性がる。また音楽的にもスラップ以外の奏法時音量落差が激しいのは音楽的にも好ましくない事が多い。そのためスラップ奏法を行う際は右手のコントロールで確実にダイナミクスを調整するか、音量を抑える[[リミッター (音響機器)|リミッター]]、[[コンプレッサー (音響機器)|コンプレッサー]]等の音量を抑える[[エフェクター]]を使用して過大入力を防ぐ事を考慮しなければならない。
 
==関連項目==