「ボイジャー1号」の版間の差分

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== 概要 ==
[[File:Voyager spacecraft structure.jpg|thumb|right|220px|ボイジャー1号の構造図]]
ボイジャー1号は[[1977年]][[9月5日]]に打ち上げられ、2011年<!-- 修正時点で2012年は未だ完結していないので前年の表記としておく -->現在も運用されている。同機は[[地球]]から最も遠い距離に到達した人工物体となっており、[[太陽]]の影響圏から広大な[[星間空間]]へと遷移する空間を飛行している。2012年681825日頃に[[太陽圏]]を脱出し、太陽圏外探査へ踏み出した<ref name="voyager20130912"/>。2013年9月12日現在、太陽から約180188億kmの距離を時速約6万km超で飛行中<ref>ロイター2012年6月24日閲覧</ref>。2012年末までに[[ヘリオポーズ]]を脱出し太陽系外探査へ踏み出す見通しであり、<ref>AFPBB News2012年6月24日閲覧<name="voyager20130912"/ref>2012年8月25日頃に太陽系を脱出した
 
ボイジャー1号は太陽から約140億km(約95[[天文単位|AU]])の距離で[[ヘリオポーズ|末端衝撃波面]]を越え、太陽と星間空間の間の衝撃波領域である[[ヘリオポーズ|ヘリオシース]]に入ったと見られている。将来その後、ボイジャー1号が最終的にヘリオポーズを通過してもまだ探査機の機能が生きていれば、研究者が星間物質の状態を直接観測したデータを初めて得ることができると期待されている
 
2011年現在のボイジャー1号の距離では、探査機からの信号が[[ジェット推進研究所]]の管制センターに届くまでには13時間以上かかる。ボイジャー1号は[[双曲線軌道]]に乗り、太陽の[[宇宙速度#第三宇宙速度|脱出速度]]に達している。ボイジャー1号は[[パイオニア計画|パイオニア10号や11号]](共に運用終了)、姉妹機である[[ボイジャー2号]]とともに星間探査機へと役割を変えている。
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ボイジャー1号は太陽系外に向かって飛行中、太陽風の速度が、それまでの時速112万kmから16万km以下に極端に落ちた。また太陽系外の星間物質(ガス)が検知された。これらからボイジャー1号が末端衝撃波面(Termination Shock)を通過していることが判明した。
 
2012年6月にNASAによって、ボイジャー1号が太陽系の境界付近に到達したことが公表された<ref>ロイター2012年6月24日閲覧</ref>。[[2012年]][[8月25日]]に、ボイジャー1号が[[太陽圏]]外に出て星間空間の航行に入っていることが2013年9月12日にNASAより発表された<ref name="voyager20130912">{{Cite web
さらに2013年9月12日には、ボイジャー1号が星間空間の航行に入っていることがNASAより公式に発表された<ref>{{Cite web
| title = NASA Spacecraft Embarks on Historic Journey Into Interstellar Space
| url = http://www.nasa.gov/mission_pages/voyager/voyager20130912.html
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ボイジャー1号は、[[ボイジャー2号]]と共に、[[太陽系]]の外から来る[[紫外線]]の波長域の1つ「[[ライマンα線]]」を観測している。その中には、地球からの観測では知られていなかった線源も含まれている。ライマンα線は、地球からの観測では、[[星間物質]]に散乱される太陽放射のせいでうまく捕らえることができないものである。
 
=== ヘリオ ===
[[File:Voyager 1 entering heliosheath region-ja.jpg|thumb|right|240px|2006年当時のボイジャー1号の航行位置。現在はヘリオシースを通過して太陽圏外にいる]]
ボイジャー1号が星間空間を目指して飛行する間、探査機の観測装置は太陽系の調査を続ける。ジェット推進研究所の研究者はボイジャー1号・2号に搭載されているプラズマ波実験装置を用いて[[ヘリオポーズ]]の検出を試みている。
 
[[ジョンズ・ホプキンス大学]]応用物理学研究室の研究者は、ボイジャー1号は[[2003年]]2月に末端衝撃波面を通過したと考えている。しかし他の研究者の中にはこれに異議を唱えている人もあり、『[[ネイチャー]]』2003年[[11月6日]]号で議論を行っている。[[2005年]][[3月25日]]に[[ニューオーリンズ]]で行われた[[アメリカ地球物理学連合]]総会での科学セッションで、エド・ストーン博士はボイジャー1号が[[2004年]]12月に末端衝撃波面を通過した明らかな証拠があることを示した<ref>[http://www.agu.org/cgi-bin/SFgate/SFgate?&directget=1&application=sm05&database=%2Fdata%2Fepubs%2Fwais%2Findexes%2Fsm05%2Fsm05&=%22SH22A-01%22 Voyager in the Vicinity of the Termination Shock]</ref>。ボイジャーの太陽風検出器は[[1990年]]に機能を停止しているため、この問題に決着が付くまでには他の観測データが得られるまでなお数ヶ月かかるものと思われた。しかし2005年5月にはNASAのプレスリリースにおいて、ボイジャー1号は現在ヘリオシースを飛行中であり、間もなくヘリオポーズに到達するとされた<ref>[http://www.nasa.gov/vision/universe/solarsystem/voyager_agu.html Voyager Enters Solar System's Final Frontier]</ref>。
 
=== ヘリオポーズ ===
[[2012年]][[8月25日]]に[[ヘリオポーズ]]に到達した<ref name="voyager20130912"/>。ボイジャー1号が星間空間を目指して飛行する間、探査機の観測装置は太陽系の調査を続けていた。ジェット推進研究所の研究者はボイジャー1号・2号に搭載されているプラズマ波実験装置を用いて[[ヘリオポーズ]]の検出を試みてい
 
2012年3月の太陽からの大量の質量放出が2013年4月にボイジャー1号に到達し、ボイジャー1号周辺のプラズマの密度が、太陽圏の果ての40倍高いことが分かり、ボイジャー1号が太陽圏外に出て、星間空間にすでに到達していたことが判明した。過去のデータを調べ、2012年8月25日にヘリオポーズに到達していたことが分かった<ref name="voyager20130912"/>。
 
=== 飛行距離 ===
[[2006年]][[8月]]、NASAはボイジャー1号が100[[天文単位|AU]]の距離に到達したと発表した<ref>[http://www.nasa.gov/mission_pages/voyager/voyagerf-20060815.html Voyager 1: 'The Spacecraft That Could' Hits New Milestone]</ref>。
 
[[2010年]][[12月13日]]、NASAはボイジャー1号が観測している太陽風の速度がゼロになったと発表した。これは太陽圏の端に近づいていることを示しているとしている<ref>[http://www.nasa.gov/mission_pages/voyager/voyager20101213.html NASA Probe Sees Solar Wind Decline]</ref>。
 
[[2011年]][[8月20日]]時点で現在、ボイジャー1号は太陽から約177億150万km(118.010AU)の距離にあり、地球から最も遠くに到達した人工物となっている。ボイジャー1号の速度は太陽との相対速度で17.056km/s(3.598AU/年)で、[[ボイジャー2号]]より約10%速い。ボイジャー1号は2011年現在特定の[[恒星]]をまっすぐ目指しているわけではないが、仮に太陽系に最も近い恒星系である[[ケンタウルス座アルファ星]]に向かったとしても、到着するまでには約8万年かかる。
 
[[2013年]][[9月12日]]現在、太陽圏外に出たボイジャー1号は太陽から約188万kmの距離にある<ref name="voyager20130912"/>。
 
== 脚注 ==